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たった1回の転倒で「寝たきり」「要介護」になることも 大雪に注意!

太田差惠子介護・暮らしジャーナリスト
イメージ画像(提供:イメージマート)

 2月5日(月)昼頃~6日(火)午前にかけて都心にも大雪の予報が出ています。転倒による骨折や頭部外傷などの大けがにつながりやすく、それが原因で介護が必要な状態になることがあります。特に、シニア世代の方は注意を。家族に高齢の方がいる場合も、注意喚起を。たった1回の転倒で寝たきりになることもありますから。

2年前の大雪で都内で530人も救急搬送

 2022年1月6日、大雪が降ったことを覚えている人も多いかもしれません。東京都内でも最深積雪が10センチ、路面の凍結などによる転倒で530人が救急搬送されました。積もった雪や凍結した路面で転倒……。報道によると、シニア層で重症や重体となった人もいました。

 実際、筆者も、道路で転倒する人の姿を複数目撃しています。

 実は、あのとき、筆者も転倒し、右手首を骨折しました。転倒がいかに危険かは知っていたため、細心の注意を払って歩いていたにもかかわらず、ツルっと滑って、右手を道路についてしまったのです。

 大雪でその日は病院に行けず、翌日、受診すると、案の定、折れていました。医師から、「ちょっと転倒の仕方が違ったら大腿骨骨折とかがある。寝たきりになってしまうよ」と言われました。

 手首の骨折でも、相当不自由な生活となりましたが、動けることに感謝したものです。

「骨折・転倒」は介護が必要になった原因の第3位

 介護が必要となった主な原因を探った報告があります(「2022(令和4)年 国民生活基礎調査」厚生労働省)。

「認知症」が最も多く、次いで「脳血管疾患(脳卒中)」。そして3位が「骨折・転倒」となっています。

 たとえ、骨折の症状が軽くても若いときに比べると回復に時間がかかります。さらに、転倒による不安や恐怖で意欲がわかず、気力がなくなり、活動が抑制され、そのことが転倒リスクの増加を招くという悪循環につながっていきます。

現在の要介護度別にみた介護が必要となった主な原因(上位3位)

「2022(令和4)年 国民生活基礎調査」(厚生労働省)
「2022(令和4)年 国民生活基礎調査」(厚生労働省)

日頃からの筋力トレーニングが大切

 今回は大丈夫だったとしても、未来永劫、転倒は避けたい重要案件です。

 近所の散歩や買い物などにも転倒しやすい場所があります。雪の日だけでなく雨の日も、道路や建物内の床が濡れて滑りやすいため注意が必要です。道路と建物の境目など、床面が異なる材質の場所には用心を。犬の散歩中に転倒する人も多いので気を付けましょう。滑りにくい靴を履くことも大切です。

 もしも転倒しても大けがに至らないよう、日頃から無理のない範囲で、下半身や体幹の筋力トレーニングを行いたいものです。筆者は、あの骨折以来、朝、近所の公園でのラジオ体操に参加しています。

介護・暮らしジャーナリスト

京都市生まれ。1993年頃より老親介護の現場を取材。「遠距離介護」「高齢者住宅」「仕事と介護の両立」などの情報を発信。AFP(日本FP協会)の資格も持ち「介護とお金」にも詳しい。一方、1996年遠距離介護の情報交換場、NPO法人パオッコを立ち上げて子世代支援(~2023)。著書に『親が倒れた!親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと 第3版』『高齢者施設 お金・選び方・入居の流れがわかる本 第2版』(以上翔泳社)『遠距離介護で自滅しない選択』(日本経済新聞出版)『知っトク介護 弱った親と自分を守る お金とおトクなサービス超入門』(共著,KADOKAWA)など。

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