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ジャパン今季国内初戦 エディー・ジョーンズヘッドコーチ「セットプレー避ける」【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター

ラグビー日本代表は5月2日、東京・秩父宮ラグビー場で今季の国内初戦としてアジアラグビーチャンピオンシップ(ARC)の香港代表戦に挑む。1日、エディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)が会見した。

母国であるオーストラリア代表の監督として、03年に自国開催のワールドカップ(W杯)で準優勝。07年には南アフリカ代表のチームアドバイザーを務め、フランス大会を制している。4年に1度あるW杯のイングランド大会を9月に見据え、決意を明かす。

以下、ジョーンズHCによる一問一答の一部。

――4月18日、仁川。韓国代表とのARC初戦。56-30と勝利も反省は残った。

「それはもう過去のことです。ただひとつ言えるのは、二度とあんな試合はしないということです。この試合、やりたいことがあります。アタックのバリエーションをつけること。セットプレーを避けること。エネルギッシュにプレーすること」

――セットプレーを避けるとは。

「南アフリカ(9月18日の本大会初戦で対戦)が強いパックを持っているからです。ボクシングにたとえたら、そんな身長、体重差のある相手との試合をしてはいけないと言われるでしょう。ジャブ、(懐に)入る、出る。そういう試合をしないと勝てない。セットプレーを避ける展開は難しい。ボールインプレー(球が動くシーン)の時間が長くなり、地ハードなランを繰り返さないといけない」

――試合の入り。日本人が苦手としている。

「歴史的にはそうですね。2011年のW杯ニュージーランド大会でのトンガ代表戦(9月21日、18-31で敗戦)は最初の20分で勝敗が決まっていた。それをどう乗り越えるか。我々のトレーニングではファーストスタートを心がけています。チャンスは1回なんだと選手に叩き込んでいます。日本の伝統的なトレーニングは、ミスが起こる、話し合う、もう一回やる…。ラグビーの試合ではそんなことは起きません。その試合のファーストボールが一番、いいボールだという言葉もある。それを無駄にしないように使いたい」

――W杯への登録31枠の争い。

「プレッシャーは全員、感じている。いまは45人がジャパンでプレーできる。ナキ(アマナキ・レレイ・マフィ=ナンバーエイト)は腰のリハビリが思ったより良いので、戻ってくる予定です。(小野)晃征(スタンドオフ)も首の手術が成功した。堀江(翔太副将・フッカー)も3日にはスコッドに戻す。今朝のミーティングで行ったのは、『全員、いいプレーをしなければいけない』ということ。南アフリカに勝ちたいという意図のある選手たちを求めていきます。ロックは4名、フロントローは8、9名、連れて行きたいと思っています。(フロントローは)1試合で(交代を含め)6名も使うので」

――ウイング山田章仁選手、先発。4月下旬までスーパーラグビー(南半球最高峰リーグ)のフォースで試合出場の機会を狙っていました。現在、一時帰国中。

「バックスのなかで一番、フィジカルが強い。(同じポジションの)松井(千人)、福岡(堅樹)、藤田(慶和)は国際レベルで何が必要かを本当には理解していないが、山田は理解している。スピードのリピートは足りない山田だが、こちらへ合流してからの取り組みはすばらしい。6~7年前はいきなり出てきた若手でした。毎日ヘアスタイルを変えていました。毎日です。でもいまは両サイドを刈り上げて、結婚もして、落ち着いた男。ラグビーに対する取り組みは本当にすごい。松井、福岡、藤田のいいお手本です。逆に3人は、ハードワークがどれだけ必要かと言うことを芯から理解しないと、本当のいい選手にはなりません」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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