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元ヤクルトのロマンが「最後の」ウインターリーグ参戦。20年の現役生活にピリオドへ

菊田康彦フリーランスライター
ロマン(Photo courtesy of Orlando Roman)

 東京ヤクルトスワローズのセットアッパーとして、2015年のセ・リーグ優勝に大きく貢献したオーランド・ロマン(40歳)。先月28日で不惑を迎えた彼は、今年も現役選手として故郷プエルトリコでウインターリーグに参戦している。

 まだ20歳だった1999年にニューヨーク・メッツからドラフト31巡目指名を受けたロマンは、その後は米国のマイナーリーグ、台湾、日本、そしてまた台湾と各国のリーグでプレー。今年は初めてプロのマウンドに上がることのないまま秋を迎えたが、そこで現役生活に幕を引くことはなかった。

“今季”初登板で勝利投手に

 11月に開幕したプエルトリコのウインターリーグ「リーガ・デ・ベイスボル・プロフェシオナル・ロベルト・クレメンテ」に、3年連続で参戦。慣れ親しんだクリオーヨス・デ・カグアスの背番号34のユニフォームに身を包み、11月16日のカングレヘーロス・デ・サントゥルセ戦に先発すると、5回1失点、5奪三振で勝利投手になった。

 ロマンは2012年から4年間在籍したヤクルトでは、先発に救援に計133試合に登板し、18勝22敗6セーブ、防御率3.00を記録。チームが14年ぶりのリーグ優勝を果たした2015年は「勝利の方程式」の一角として、23ホールドをマークした。

 この年限りでヤクルトを退団すると、その後は台湾プロ野球(CPBL)で2年間プレー。オフの間はカグアスの一員としてプエルトリコのリーグ戦を連覇し、中南米5つの国と地域の王座を争うカリビアンシリーズも2年連続で制していた。

「現役で投げるのはこれが最後」

 今年はどのチームとも契約には至らなかったロマンだが、故郷のプエルトリコで趣味の釣りを楽しむかたわら、地道にトレーニングを続けていたという。

「今までと同じように、毎日ハードに練習してきた。健康のためにもそのほうが良いからね。1999年に(メッツ傘下のマイナーで)プロ野球人生をスタートさせて、今年で20年目。現役で投げるのはこれが最後だ」

 そう話すとおり、目標として掲げていた「プロ20年」を区切りに、現役生活にピリオドを打つつもりだ。その最後をカリビアンシリーズ3連覇で飾ることができれば、最高のフィナーレとなるが……。

現役最後の目標は……

 ロマンの所属するカグアスは、12月18日現在で10勝16敗で4球団中の最下位と苦戦を強いられている。ロマン自身も2度目の先発となった11月25日のヒガンテス・デ・カロリーナ戦では、福岡ソフトバンクホークスから派遣されている真砂勇介に適時三塁打を許すなど、5回途中4失点で敗戦投手となった。

 それでもロマンは「現役生活で最後の目標」というカリビアンシリーズ3連覇を目指し、可能性のある限りあきらめるつもりはない。プエルトリコのウインターリーグもレギュラーシーズンは残すところ10日あまり。ロマンの登板は多くてもあと2試合程度の見込みだというが、20年間に及んだ現役生活を良い形で締めくくるためにも、最後の最後まで全力を尽くす。

※文中の日付はすべて現地時間

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フリーランスライター

静岡県出身。小学4年生の時にTVで観たヤクルト対巨人戦がきっかけで、ほとんど興味のなかった野球にハマり、翌年秋にワールドシリーズをTV観戦したのを機にメジャーリーグの虜に。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身した。07年からスポーツナビに不定期でMLBなどのコラムを寄稿。04~08年は『スカパーMLBライブ』、16~17年は『スポナビライブMLB』に出演した。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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