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元ヤクルトのロマン、プロ20年目に意欲も「良いオファーなければ引退も…」

菊田康彦フリーランスライター
カグアスのカリビアンシリーズ制覇を伝えるMLB公式サイト。画像の左端にロマンの姿が見える
カグアスのカリビアンシリーズ制覇を伝えるMLB公式サイト。画像の左端にロマンの姿が見える

 中南米5つの国と地域のウインターリーグ優勝チームが、一堂に会して王者の座を争うカリビアンシリーズ。今年もその戦いを制し、2年連続で中南米王者となったのが、プエルトリコ代表のクリオーヨス・デ・カグアスである。そして、歓喜に沸くそのナインの先頭にいたのは、日本でもおなじみの顔──2012年から4年間、投手として東京ヤクルトスワローズでプレーしたオーランド・ロマン(39歳)であった。

カリビアンシリーズが“最後”になる可能性も

「若い選手たちがハングリーに戦ったからね。同じチームが2年連続でカリブ海王者になるのは、プエルトリコでは初めてなんだ」

 そう語るロマンは、ヤクルト退団後は2016、2017年と台湾でプレー。いずれもシーズンが終わると故郷プエルトリコでウインターリーグに合流し、今年もカグアスの一員として投げた。

 プエルトリコのリーグ戦で4試合に先発し、カリビアンシリーズでは準決勝のベネズエラ代表、カリベス・デ・アンソアテギとの試合に先発。4回までは1失点でしのぐなど、なんとか試合を壊さず後続にバトンを渡した。だが、この試合がロマンにとって、現役最後のマウンドとなる可能性もある。

「今はプエルトリコの自宅に戻ってのんびりしている。まだ、良いオファーは来ていないんだ。今年もプレーすれば20年目になるので、本当はそれを区切りにしたいんだけど…」

台湾での八百長報道には憤り隠さず

 ロマンは1999年のドラフトでニューヨーク・メッツからドラフト31巡目で指名され、この年にマイナーリーグのルーキー級からプロ生活をスタートさせている。その後はマイナーとメキシコを往復し、2010年からは台湾、日本、そして再び台湾と渡り歩いた。

 台湾の中信ブラザーズでプレーした昨シーズンは、5月5日の富邦ガーディアンズ戦で完封勝利を記録したものの、救援1試合を含む23試合の登板で4勝8敗、防御率4.46の成績。終盤には現地の八百長報道に巻き込まれ、「あれでオレの評判はガタ落ちだ。何の証拠もないし、だいたいそんなことをする理由もない」と憤りを隠さない。

 それでも故郷のチームの一員としてカリビアンシリーズを連覇したことで、そんな憂さも少しは晴れた。あとはもう1年現役でプレーすれば、心置きなく選手生活にピリオドを打つことができるが──。

「とにかく状況を見守るしかない。良いオファーがなかったら引退するつもりだけど、その時はヤクルトのスカウトになれたらいいね」というロマン。これから先、望むオファーが得られるかどうかはわからないが、節目のプロ20年目を区切りにするため、今しばらくは吉報を待つ。

フリーランスライター

静岡県出身。小学4年生の時にTVで観たヤクルト対巨人戦がきっかけで、ほとんど興味のなかった野球にハマり、翌年秋にワールドシリーズをTV観戦したのを機にメジャーリーグの虜に。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身した。07年からスポーツナビに不定期でMLBなどのコラムを寄稿。04~08年は『スカパーMLBライブ』、16~17年は『スポナビライブMLB』に出演した。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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