インド空軍大将「AI技術はエアフォースの在り方を変える。数年のうちに空軍を自律化させていく」
1月の軍事パレードでは自律型攻撃ドローン75機を上空で披露
インド空軍は数年のうちに無人ドローンを空軍の戦略の重要な柱にしていくことと、人工知能(AI)技術によるさらなる自律化を目指していくことを2021年4月にインド商工会議所主催で開催されたオンラインシンポジウムでインド空軍大将(Air Chief Marshal)のRKS・バダウリア氏が語っていた。
2021年1月15日にデリーでインド国民軍の軍事パレードが開催された時には、AI(人工知能)を搭載した75機の徘徊型の自律型攻撃ドローンが初めて上空を飛行するところが披露された。
バダウリア氏は「インド空軍は常に最新技術を軍事のあらゆる面に取り入れてきました。AIは軍事分野以外での活用も進んでおり、これからも大きく成長していく分野です。そしてAIは確実に空軍の戦略にとっても重要な技術であり、将来の空での戦い(エアフォース)の在り方を大きく変えます。機材などのメンテナンスの向上にもAI技術を活用していきます」と語っていた。
またバダウリア氏は「AI技術を活用することによって軍の作戦計画と統制に必要なコマンドコントロールなどの"C4I(Command Control Communication Computer Intelligence system)"のループにおける"OODA (Observe, Orient, Decide, Act:観察・情勢への適応・意思決定・行動)"の自律化をより効率的にしていけます」とも語っていた。
中国・パキスタンへの抑止に
AI技術は軍事分野でも多く活用されており、アメリカ、ロシア、中国などでもAI技術を軍事に積極的に活用している。兵器の自律化も進んできている。インド政府も自律型ドローンの開発は次世代戦争において重要な兵器と位置づけて積極的に開発の支援をしてきた。ドローンなので無人機だからインド軍の軍人が犠牲になることはない。
AI技術の軍事分野での活用で、自律型殺傷兵器の開発は進んできており、2021年1月にはインドの軍事パレードで自律型攻撃ドローンが披露された。人間の判断を介さないでAI技術を搭載した兵器自身が判断して標的に攻撃を行うことが非倫理的であると国際NGOや世界の30か国が自律型殺傷兵器の開発と使用に反対を訴えている。
このように積極的にAI技術を軍事に活用しているインドは自律型殺傷兵器の開発と使用には反対していない。アメリカ、ロシア、イスラエル、欧州主要国も自律型殺傷兵器の開発と使用に反対していない。インドと国境を接して敵対している中国は使用には反対しているが、開発には反対していない。また同じようにインドと敵対しているパキスタンは自律型殺傷兵器の開発と使用に反対している。自律型ドローンを初披露し、AI技術を軍事に積極的に活用していくことをアピールすることはインドにとっても敵国の中国とパキスタンへの抑止につながる。