アマナキ・レレイ・マフィが「試合よりも緊張」した瞬間とは。【ラグビー旬な一問一答】
ラグビー日本代表で「フィジカルモンスター」の異名をとるアマナキ・レレイ・マフィが、大役を務め上げた。練習前のプレゼンテーションだ。
チームは普段、小型カートに備え付けた大画面でプレーの意図などを確認する。練習に取り組む前に、すべき内容を整理するためだ。
神戸製鋼灘浜グラウンドでトレーニングをした6月19日は、神戸製鋼との合同練習後にカートを搬入。画面の前に選手が集まった。ジョン・プラムツリーディフェンスコーチが話したのち、タブレットを片手に立ち上がったマフィが防御時のポイントなどを伝えた。
トンガ出身のマフィは身長189センチ、体重112キロの28歳。花園大学時代は無名の存在も、2014年にNTTコミュニケーションズに入るや一気にブレイクした。ナンバーエイトとして持ち前のパワーとスピードを攻守で活かし、代表戦出場歴にあたるキャップは21も積み上げてきた。
6月は9、16日のイタリア代表との2連戦を1勝1敗で終え、23日には愛知・豊田スタジアムでジョージア代表と激突する。パワフルさが自慢の相手を制すべく、多角度的なアプローチで勝利を目指している。
プレゼンテーションと練習をおこなった後、英語と日本語を交えて記者団の取材に応じた。
以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。
――ジョージア代表戦に向け、コンディションは。
「いい感じ!」
――先週前半は怪我で練習を抜けていたが、その時と比べたら…。
「よくなっています。先週は休みがありましたが、自信はあります。トレーニングもうまくいっている。試合を楽しみにしています」
――16日の試合ではリザーブスタートでしたが、先発への意欲は。
「先週はレストのためにベンチに入ることになったと思います。ラグビーの試合を多くしていたので(スーパーラグビーのレベルズでも主力として活躍していた)、ジェイミー(・ジョセフヘッドコーチ)が休ませてくれたのでしょう。チームのために貢献したいので、前半からだろうが後半からだろうが、自分の役割を果たすだけです」
――ディフェンス練習の前にプレゼンテーションをしていました。
「初めてプレゼンテーションをしました。試合よりも緊張しました。チーム内のディフェンスグループの一員なのですが、(グループ内の)他の皆が僕を(プレゼンテーション役に)選びました」
――ポイントは。
「ジョージア代表は重たい選手が多い。ラッシュ、バインドをしなくてはいけないと伝えました。相手のボリュームに負けないように」
ここでの「ラッシュ」は鋭い出足で飛び掛かる必要性を、「バインド」はタックル時に相手を掴んで倒しきることを意味していそう。マフィは「ジョージア代表は、イタリア代表よりも個々のフィジカルが強いと思います。それに対し、準備しないといけない」とし、プレーの起点であるスクラムについてもこう話した。
「ジョージア代表は、スクラムとモールが強みです。スクラムが長い時間続くのは、避けたいと思います。攻撃ではそこからすぐ、抜け出さないといけない。ディフェンスでは、そこをストップしなくてはいけない」
現体制の日本代表が初白星を挙げたのは、2016年11月12日(現地時間)のジョージア代表戦だった。
敵地トビリシ・ミルヘイキスタジアムでのこの試合では、ノーサイド直前も自陣ゴール前で防戦一方。しかしマフィが強烈なタックルで相手を右タッチラインの外へ出し、28-22と逃げ切った。
直後に語った言葉は、「勝ちたいじゃなくて、マストで勝つ」だった(アマナキ・レレイ・マフィは「勝ちたいじゃなく勝つ」。久々の日本代表勝利に…。【ラグビー旬な一問一答】)。
次戦では先発の予定。当時よりもグラウンド外での貢献が求められるようになった格好だが、もちろん、グラウンド内でもインパクトを残す。