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はじめしゃちょーとヒカキンから招待『メルペイ』のプロモーション #すすメルペイ #HAJIKIN

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
HAJIKINチャレンジ 出典:メルペイ

KNNポール神田です。

□人気YouTuberのヒカキン、はじめしゃちょーが、本日(2019年)8月30日に都内で行われた『メルペイ新キャンペーン発表会』に登壇した。

□株式会社メルペイは、スマホ決済サービス・メルペイにおいて、本日(2019年8月30日)より友達招待で一人あたり最大1億円相当のポイントを付与する「友達招待キャンペーン すすメルペイ」を開催する。若年層ほど、キャッシュレス利用率が低いが、クチコミを重視しており、特にネットインフルエンサーの影響力が大きいことに目をつけて、今回ヒカキンとはじめしゃちょーを起用したという。

出典:はじめしゃちょー、ヒカキンに“1億円動画”への出演依頼するも「それ大丈夫……?」

【8/30〜9/16】最大1億ポイントがもらえる!?「すすメルペイキャンペーン」開催中!

https://jp-news.mercari.com/2019/08/30/susumerpay/

従来から、SNSを経由した友達紹介キャンペーンは、グロースハックの手法として多く展開されている。まずは、ネット経由からはじまり、大規模な資金調達後はテレビCMというような展開でユーザーを獲得していく。『メルカリ(1357万人)』はその手法によってユーザーを獲得してきた企業だ。そして、『メルペイ(200万人)』も同様にQRコード決済とiQでのタッチ決済と展開し、『メルカリ』アプリとの統合で、メルカリで得られた利益で店頭において『メルペイ』で支払うというある意味、キャッシュを一切介さない特殊な『疑似物々交換』を実現している。また、LINE社の『LINE Pay』ともコンソーシアムを組み、店舗側の開拓においては共有するというキャッシュレス事業を展開している。

■メルカリユーザーの14.7%のシェア向上が課題

ただし、メルカリユーザーのうち14.7%(200万人÷1357万人)しかメルペイのユーザーがいないというのは、まだまだリーチしていない層を掘り起こす必要がある。本人確認と銀行口座とのヒモ付け作業は、時間もかかり面倒でもあるからだ。特に銀行側のスマートフォンでのUX(ユーザーエクスペリエンス)は最悪な状況である。そこで、若年層に強力なモチベーションを感じてもらうために、絶大な人気を誇るYouTuberを起用したキャンペーンを展開した。

■友達招待キャンペーン #すすメルペイ とは?

  1. すすメルペイとは、メルカリアプリをダウンロードしている人に対して、自分の招待コードを友だちに紹介するパターンだ。※最初にメルカリユーザーになることも必須だ。今回のユニークなところは、メルペイ登録をしていないメルカリユーザーからも招待できるところだ。つまり、自分から友達を招待して、友だちの紹介コードから自分もメルペイに登録するというチャンスを与えたところが斬新だ!それと双方への付与の点も友達紹介の心理負担を下げている。

たとえば、ボクのコード番号『sNz916』を入れて登録したユーザーは翌日に1000ポイント分が付与される。つまり1000円分利用できる1000P(ポイント)だ。同時にボクのメルカリにも1000Pがチャージされる。この時点で、メルカリ登録ユーザーでメルペイユーザーを獲得するのに2000P(1円相当で利用可能)を発生させている。今回は1億円の予算で展開されているので10万人分だ。現在のメルペイユーザー200万人強が、18日間でどれだけ獲得できるのかがポイントだ。キャンペーン期間は、2019/08/30(金) 12:00~2019/09/16(月) 23:59までだ。付与されたポイントの有効期限は40日間なのですぐに使わなければ失効してしまうので注意が必要だ。

すでにツイッターやインスタグラムなどでも #すすメルペイ で自分のコード番号を紹介している人も多くなった。この招待する人&招待された人のパターンは紹介する方も、心理的コストが低い。

■特別クーポンコード『HAJIKIN』とは?

特別クーポンコードの HAJIKIN  出典:メルペイ
特別クーポンコードの HAJIKIN  出典:メルペイ

さらに、今回のプロモーションキャンペーンのユニークなところは、『 HAJIKIN 』というクーポンコードを発生させているところに注目したい。『 HAJIKIN 』とは、はじめしゃちょーとHIKAKINのコラボネームであることは安易に想像がつく。そしてこのコードで銀行登録と本人確認でメルペイにはいると、何が起きるのか?

単に1000円づつのお得なキャンペーンでは、まったく動かない若年層でも、はじめしゃちょーとHIKAKINと一緒にあらたなイベント企画に参加できるとなるとハナシがまったく変わってくる。

はじめしゃちょー&ヒカキンが、招待して集めたポイント(招待人数×1,000円分)でファンと一緒に楽しめる大型企画を開催するのだ。

それが、『HAJIKIN』だ。

これは、ファンからすると自分が1000円をもらう事よりも、『HAJIKIN』で1万人で1000万円、10万人で1億円の企画を実現できたほうが大きい。さすがに1億円の無駄遣いができるYouTuberは世界でもいないのでこの企画の実現は、個人の1000円よりも集結したファンイベントによる1億円の原資の付与は大きく変わることだろう。

■テレビ離れの若年層をキャッシュレス化せよ!

テレビを見ない若年層にとっては、テレビで連日レギュラー枠でもっているタレントよりも著名で距離の近いYouTuberとの企画参加はかなりのインパクトを持っていることだろう。むしろ、メルカリユーザー1357万人のうちメルペイユーザーの14.7%がこの企画で増えることによって、YouTuberの収益モデルにも新たな展開が考えられる。YouTubeからの広告収入とインフルエンサーとしてのPR広告が二大収益モデルであるが、そこに『メルペイ』という顧客獲得コストのキャンペーン収入が追加されたのだ。つまり参加人数が多ければ多いほど大きな収益が生まれる。今後は、YouTuberが自ら、メルペイで課金ができるサブスクリプションモデルや広告主に依存しない自らの企画をクラウドファンディング方式ではなく、ファンからのファンディングで実現できるような企画も誕生しそうだ。

YouTuberにとっても作り手とファンとの関係性だけでなく、一緒に作っていくという新たな『テレビ』メディアでは実現できなかった『あそび方』を提案してくれそうな気がする。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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