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唯一生き残ったレジェンドバイク CB400SB/CB400SF 試乗インプレッション

相京雅行下町のバイクパーツメーカー/ディレクター

ここ数年でマイナーチェンジ、モデルチェンジを繰り返しながら長年カタログにラインナップされてきたバイクがどんどんカタログ落ちしています。

例えば、カワサキのエストレア、ヤマハのSR400、セロー250など。

新しい排気ガス規制や海外に合わせて規制を変更した結果、適合するのが難しくなり継続販売が難しくなったようです。

僕がバイクの免許を取得したのは20年前ですが、その当時から現在までラインアップされている車種は少なくなってしまいました。

そんな数少ない歴史的バイクの一台がホンダCB400SF、そしてCB400SF(シービー400スーパーフォア)にハーフカウルを装備したCB400SB(シービー400スーパーボルドール)です。

大きなモデルチェンジは二回

初代CB400SF
初代CB400SF

CB400SFは1992年に登場しました。型式はNC31。僕のバイク人生において最も所有していた期間が長いバイクもNC31のCB400SFでした。

NC39 CB400SF
NC39 CB400SF

その後1999年にモデルチェンジ。可変バルブシステムHYPER VTECを採用しました。型式はNC39。

回転数に応じて効率の良い2バルブと高回転でのびやかな加速を実現する4バルブを切り替えるシステムで、切り替わった瞬間に強烈に加速するためターボのような加速感を味わえました。

しかし反面、やや扱いにくく教習車両ではHYPER VTECはキャンセルされていました。

その後HYPER VTECシステムは2002年にHYPER VTEC2、2003年にHYPER VTEC3に進化。

NC42 CB400SF
NC42 CB400SF

2007年にはHYPER VTECシステムが更に刷新されHYPER VTEC REVOとなりABSをタイプ設定。型式はNC42となりました。

2021年現在販売されているCB400SFも基本的にはNC42がベースとなっており、2017年に法規対応を実施したモデルとなっています。

CB400SBの装備をチェック

2021年式 CB400SB
2021年式 CB400SB

年式によってABSのあるなしなど、様々なタイプ設定がされていた同車両ですが、現在はクラシックなネイキッドスタイルのCB400SF、CB400SFにハーフカウルを追加したCB400SBの二種類のみとなっています。

今回はハーフカウル付きのCB400SBを借りましたので、こちらの装備を解説していきたいと思います。

以前はタイプ設定されていたABSですが現行型では標準装備となりました。更にグリップヒーターとABS車載機が採用されツーリングでの使い勝手を向上しています。

ヘッドライトとテールはLEDを採用、ウインカーは一般的なバルブとなっています。

前後サスペンションはプリロードの調整機構が採用されています。フロントフォークはマイナスドライバー、リアサスペンションはフックレンチなどで調整可能です。

車体後部左側にはヘルメットロックを装備、メインキーで操作できるのが便利です。

シートは鍵で開閉可能で狭いながらもスペースが確保されています。ETCの車載機はここに収められており、他にも簡単な工具や書類を入れることができます。

ハンドル下のハーフカウル部分左右にはラゲッジスペースが確保されていて、左側は鍵で開閉が可能になっています。

ツーリング時にはグローブを一時的にいれておくのに便利でした。

現行CB400SBの足つき性

CB400SBのシート高は755mm。

最近のバイクのシート高は平均すれば800mm前後程度だと思います。比べればかなり低い印象です。

ですが反面シート幅が広く、実際に座ると数値よりは足つきが悪く感じます。

また以前のモデルに比べても足つきが悪いように感じました。恐らくですが以前より前後サスペンションのセッティングが固くなっており、ライダーが体重をかけても以前ほど沈まない事が原因だと思われます。

CB400SBの燃費

下田までツーリングに行ってきました。往復380kmほど走行して燃費は30km/L。

燃料タンク容量は18Lなので、連続航続距離は計算上540km。

平日のツーリングで高速も下道も空いていたので燃費はかなり伸びましたが、低回転時は2バルブ、高回転時で且つアクセル開度が大きい時のみ4バルブ化されるHYPER VTECの恩恵もありそうです。

以前よりスポーティーな印象に変わった

教習車両としても使われていることから初心者ライダー向けバイクという印象でしたが、最新のCB400SBに関しては少し変わった感じがしました。

2017年の法規対応で最高出力が向上し、高回転域が出力アップしました。マフラーのサイレンサーも小型化され、音量がアップ。重低音の効いたサウンドはバイク好きなら気にいるはず。

400ccのエンジンなので低回転時にトルク不足を感じることはありませんが、以前に比べると低回転時は多少おとなしくなった印象です。反面高回転時は更に気持ちよく伸びるように。

サスペンションも前後共に少々硬くなった印象。乗り味的にはスポーティーになりました。

ただサスペンションに関しては前後ともプリロード調整機構が採用されており、どちらも更に柔らかく調整できるので足つきが気になる方や動きを柔らかくしたい方はセッティングを変更してみてもいいかも。

HYPER VTECの動作はなめらかに

僕はHYPER VTEC搭載したモデルは初期型のNC39と法規対応前のNC42、そして今回の法規対応後の3つのモデルに試乗した経験があります。

初期型NC39バルブが切り替わった瞬間に勢いよく加速するのが楽しくて無意味に回転を上げたり下げたりした記憶があります。

ですが、VTEC REVOになってからは切り替わりがわからないほど滑らかになりました。

あれが楽しかったのに!という方もいるかもしれませんが、個人的には扱いやすくなって良いと思っています。

全ての操作が急かされない感じが良い

CB400SBの魅力はとにかく「ちょうどよい」という事。

今どきの400cc~750ccクラスは車両重量が200kg以下が普通になってきました。

CB400SBは206kgと少々重め。ですが、高速道路での安定感は抜群です。

動きは軽快ではありませんが、重たく感じるというほどではなくアクセルレスポンスも早すぎず、遅すぎずといった感じ。

ブレーキはダブルディスクに4ポッドキャリパーを装備しています。

前述したようにこのクラスは軽量な車両が増えてきているのでフロントブレーキもシングルディスクが増えています。

そのためブレーキ豪華だなと思いましたが、ブレーキタッチはいたって扱いやすい印象でした。

サスペンションこそ少々硬めでしたが、その他の装備は扱いやすく運転が楽に感じます。

お値段が少々高めなのがネック・・・

元々設計が古いエンジンを規制対応させるために様々な装備が追加されていますし、製造コストの高い4気筒エンジンを搭載しているので仕方がないのですが、二色塗装のCB400SB販売価格は108万4600円。400ccクラスとしては高額です。

充実した装備や質感の高さなどを考えても割高に感じる人は多いはず。

昔は初心者の入門バイクの立ち位置だったCB400は少しだけ立ち位置が変わったように感じます。初心者用にしては高額すぎるのです。

ですがゼファーやXJRなどネイキッドバイクに熱狂した僕世代のライダーにはおススメ。

20年前に初めて所有したCB400SF。現行モデルは洗練されているとはいえ同軸上にいます。

いまや純粋なネイキッドバイクはネオレトロやクラシックに分類されるようになってきています。

最近流行りのストリートファイター系車両はソリッドな印象がですが、昔ながらのどっしりとしたネイキッドバイクが好みなら試乗してみてはいかがでしょうか?

「今どきのバイク」とは違った魅力を感じることができるはずです。

下町のバイクパーツメーカー/ディレクター

下町の小さいバイクパーツメーカーで番頭を務めています。面白い事には大抵首を突っ込みます。ワークマンでアンバサダーをやっていたり、オールアバウトでバイクガイドを担当していたりします。

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