元日本代表の箕内拓郎。サンウルブズのコーチとしてスーパーラグビーへ。【ラグビー旬な一問一答】
現役時代に日本代表のキャプテンとして2003、07年のワールドカップを戦ったNTTドコモのフォワードコーチ、箕内拓郎は、指導者として国際リーグのスーパーラグビーに挑んでいる。日本から今季初挑戦のサンウルブズでスポットコーチに就任。国内の試合がある週の練習に参画している。自身にとって初の実戦を終えた3月19日、思いを語った。
この日はオーストラリアのレベルズに9―35で敗戦。ゲームのなかった第2節を挟んで開幕3連敗となったが、箕内が現役時代にプレーしたフォワード第3列(バックロー)の面々はハードワークを重ねていた。
チームは26日、シンガポール・ナショナルスタジアムで南アフリカのブルズと第5節をおこなう。
以下、ミックスゾーンでの一問一答(一部。編集済み)。
――スーパーラグビーのチームを指導して。
「1週間しか関わっていないですが、未知の世界でした。(チームは)よくなっているなと、何試合かを観ていて感じていました。次も楽しみです」
――(当方質問)特に、バックローがハードワークしています。
「そうですね。エドワード・カーク、トーマス・レオナルディ、アンドリュー・デュルタロ。彼らの仕事量がチームを支えている。これから連戦が続くと疲れも出てくると思うので、周りのメンバーがバックアップしていけるようになればもっとチーム力は上がる」
――(当方質問)経験上、これからが疲れそうだと…。
「ハハハ。しんどいのかなと思いますけど、彼らはタフにやってくれるのかな、とも。他のスーパーラグビーのチームのバックローと比べても、非常にタフな3人だと思います。これを日本人が勉強するのも、非常に大事かとも思います」
――(当方質問)「彼らはタフ」。どのあたりで感じますか。
「僕も直接対戦したわけではないですが、遠くから観たらそれほど大きくないようなサイズなのにボールを持ったら強い。相手のボールにも絡む。注目しています」
――サンウルブズについて。
「日本にとっていい機会。代表の底上げにも繋がると思います。色んな情報も降りてくるでしょうし、(厳しい戦いを)経験した人間がそれを口に出して語るようになるのも、大きい。このチームができた経緯を聞くと、苦労しているようです。ただ、準備を整えたからといって上手くいくとは限らない。1人ひとりが危機感を持ってやっているのが、いまはいいのかなと思います。ゴタゴタしながら始まったのも、かえってよかったのかもしれないです! まだ勝ち星には恵まれていないですが、1年目で戦えている」
――選手がうらやましいとは思いませんか。
「こうなるまで彼ら(15年のワールドカップで3勝を挙げた日本代表)がやってきたことを、僕は尊敬しています。(現役時代の)僕がここまでできたかと言われれば、わからない。ここ数年、ショータ(サンウルブズのキャプテンでレベルズでもプレー経験のある堀江翔太)、フミ(日本人初のスーパーラグビープレーヤーとなった田中史朗)のように世界で認められる選手が出てきたのも…まぁ、うらやましいな、とは思いました。今後、彼らを超える選手が出てくるのも楽しみです。スーパーラグビーを経験している人間は、タフですよ。今回、皆、どんどんタフになってくる」
――スポットコーチとして参加して。
「色んなチームを見て、聞いて、体験するのが大事だと思っていました。色んなコーチと話して、そのやり方を知るのは勉強になるなと思いました」
――今後、チームに何を期待しますか。
「経験していくしかないです。ゼロからチームカルチャーを作っている段階。(チームカルチャーの)幹が太くなればなるほど、来年以降に入りたい選手も増えてくる。今回、一番すごいと思ったのは、1人ひとりのチームにコミットする姿勢です」
――(当方質問)「コミットする姿勢」。どこに感じますか。
「いろんな国からメンバーが集まっていのに、『やってあげているんだぞ』という雰囲気を出す選手がひとりもいない。いいチームだなと思いました」