日本の長期金利は1%を付ける
22日に10年国債の利回り(長期金利)は、2013年5月以来およそ11年ぶりに1%を付けてきた。
21日に0.980%に上昇しており、1%が見えていた。さすがに1%が大きな壁として認識されており、その達成にはもう少し時間が掛かるかとみていた。ところが、22日の40年国債の入札がやや低調な結果となったことをきっかけに、意外とあっさり1%を付けてきた。
長期金利は1990年以来の上昇局面となっており、1%を超えてくるのも時間の問題とみていた。これは本格的に物価が上昇してきたことが大きな要因といえる。さらに日銀が正常化に向けて歩みを進めるとの見方も背景にある。
早ければ6月の金融政策決定会合での政策修正、つまり0.25%の利上げと国債買入減額の正式アナウンス(まずは6兆円の看板外し)があるのではないかとの見方も強まりつつある。
円安の進行もあり、4月と同様に日銀が無回答ということは考えづらい。米国のイエレン財務長官も円安対応は為替介入ではなく、政策修正を求めるような発言をしていた。日銀が利上げに動く可能性は強いと個人的にはみている。
長期金利が1%を付けたのは2013年5月以来およそ11年ぶりとなる。日銀がアベノミクスを受けて異次元緩和を決定したのがこの年の4月であり、そのあたりに付けた水準といえる。
1%は大きな節目ではあるが、長期金利の上昇がこれで天井を打つことのほうが考えづらい。
個人的には日銀は年内、少なくとも2回の利上げを実施するとみており、それを受けて長期金利は1.5%あたりまで上昇すると予想している。
その後の利上げも可能となれば、大きな節目となる2%が見えてくる。過去に長期金利が2%近くを付けていた当時(2000年から2008年あたり)の消費者物価は前年同月比でマイナスを付けることも多かった。
足元物価が2%を上回った状態が続いていることを考慮しても、長期金利が2%を付けてきても何ら不思議ではない。むろん、物価だけが長期金利を決める要因ではないことも確かなのだが。