55年前の台風がからんだ梅雨前線豪雨、今年はようやく台風1号が発生か
梅雨前線に発達した台風が接近する場合、大きな豪雨災害の可能性が高くなります。
しかし、発達していない台風や熱帯低気圧によって梅雨前線が活発化し、大きな豪雨災害となることは珍しくありません。55年前の梅雨前線豪雨がそうでした。
昭和36年梅雨前線豪雨
今から55年前、昭和36年(1961年)6月26日21時に四国沖で発生した台風6号は、本州付近に停滞している梅雨前線に接近しています(図1)。台風6号の中心気圧は、最盛期でも996ヘクトパスカルしか下がらず、発達した台風ではなかったにですが、梅雨前線を刺激し、四国から関東地方および北陸地方で大雨となっています(図2)。
このため、全国で死者・行方不明者は357名(長野県136名)などの大きな被害が発生しました。特に、長野県では天竜川が氾濫したほか、伊那谷地域を中心に多数の土砂崩れが発生しました。
気象庁では、この時の大雨と、7月3~5日の東北地方や九州地方の大雨を合わせ「昭和36年梅雨前線豪雨」と命名しています。
台風1号の発生か?
今年は、台風1号の発生が遅れています。
台風は東経180度以西の北西太平洋で、最大風速が毎秒17.2メートル以上になった熱帯低気圧をさします。
そして、その年で最初に発生した台風が台風1号で、以後、発生順に番号が付けられています。
気象庁が台風の統計をとりはじめた昭和26年(1951年)以降の65年間で、6月になるまで台風の発生がなかったのは、今年を含めて6回しかありません。
しかし、南シナ海にある熱帯低気圧は、6月25日12時では中心気圧1006ヘクトパスカル、最大風速が毎秒15メートル(最大瞬間風速が毎秒23メートル)ですが、今後24時間以内に最大風速が毎秒18メートル(最大瞬間風速が毎秒25メートル)となる予想になっています。
つまり、気象庁では、今後24時間以内に台風1号の発生を予想しているのです。
そして、予想通り発生すれば、昭和26年以降、3番目に遅い台風1号の発生ということになります(表)。
南シナ海で台風が発生した場合、ただちに日本の梅雨前線を刺激して豪雨というわけではありませんが、北上して接近する場合には、たとえ発達していなくても、熱帯低気圧に衰えていても、豪雨の可能性が十分にあり、台風の動きに注視する必要があります。