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佐々木朗希の完全試合 韓国メディアも絶賛「韓日米初」「18歳の捕手と…」「オーナーもお祝い」

画像はイメージです(写真:アフロ)

佐々木朗希は韓国でもスゴい。

10日の完全試合達成後の韓国での報道でこれを感じさせる一文があった。

「40年の歴史がある韓国プロ野球では、パーフェクトは一度も出ていない。

SSGレンジャースの外国人投手ウォルマー・フォントが今月2日、NCダイナスとのビジターゲームで9イニングを無被安打、無四球、無失点と力投したが、打線の沈黙により9回で勝負を決められず、パーフェクトピッチングが認められなかった」(国内最大の通信社「聯合ニュース」)

日本では「28年ぶりの完全試合」という点も話題になったが、韓国では40年間で一度もないのだ。今季開幕戦でいきなり快投を見せたウォルマー・フォントは確かに「9回パーフェクト」だったが、結局勝ち星はつかなかったのだ。味方打線が点を入れたのは延長戦に入ってからで、SSGが4-0で勝利した。

快投を伝える「MBC」

それだけに佐々木朗希の快挙は、韓国内でも重みをもって伝えられた。

「パーフェクトゲーム達成の日本の佐々木、”甲子園より投手の肩”を選択した高校次代の監督に再スポット」(「韓国日報」)

「佐々木、9イニング19Kパーフェクトゲーム! 韓日米初の13連続奪三振」(「OSEN」)

「日本の160kmドュオ..."パーフェクト" 佐々木 & "MVP"大谷、 2023のWBCを狙う」(同)

「9イニング平均159.8km、ストライク率78.1%…パーフェクトピッチングを作ったのは”基本”だった」(「スポーツ京郷」)

「KBOで失敗したパーフェクトゲーム、22歳の日本の怪物がやってのけた! 28年ぶりの大記録」(「スポーツ朝鮮」)

「18歳の捕手とともに19奪三振…佐々木、パーフェクトゲーム達成」(「ハンギョレ新聞」)

記事の内容はおおむね日本の記事の引用で真新しいものはないが、切り取り方が韓国ならではと感じさせる点も多い。

「辛東彬(シン・ドンビン)日本ロッテオーナー、特別メッセージ…"パーフェクトゲームの主人公"佐々木を直接祝う」(「SPOTV NEWS」)

日本のスポーツ紙が伝えた重光昭夫オーナー・代表取締役のコメントを紹介したのだ。「驚くべき投球だった。合わせて13打者連続奪三振新記録もお祝いします」。

韓国と佐々木朗希の縁は、2019年のU-18ワールドカップ(@韓国)での短い対戦がある。この時の佐々木の大会を通じてたった1度の登板機会が9月6日韓国戦だった(血豆のために1イニングで降板)。韓国内でも注目度は決して高い大会ではなかったが、それでも「怪物投手」としてメディアに取り上げられていた。

  • 当時の韓国でのブルペン投球の様子

ちなみに韓国の1試合西田奪三振記録は「17」で、2010年5月11日にハンファの左腕リュ・ヒョンジン(現トロント・ブルージェイズ)がLG戦で記録したもの。佐々木は「19」を記録した。

1試合内での連続奪三振記録は「10」。1998年5月14日の記録だ。ヘテ(現KIA)のイ・デジンが現代戦で記録した。これは実に24年間も破られていない。これも佐々木は「13」で大きく上回った。

もう一ついうと、日本とも伝統的に語彙の共有が多い韓国の野球用語だが「完全試合」という漢字の言葉はなく、ほとんどのメディアが「パーフェクトゲーム」という表現で伝えた。

韓国ベテラン記者「パ・リーグに注目」

国内のベテラン野球記者、元イルガン(日刊)スポーツのチェ・ミンギュ氏は佐々木の成長と快挙達成をこう見ている。

「2021年、世界で最も速い球を投げたのはニューヨーク・メッツのジェイコブ・デグロムでした。フォーシームの速球の平均球速は159.8km。佐々木の今年の平均は159.1kmです。ジェイコブ・デグロムを超えられるのではないかと見ています。韓国との比較でみても、全般的に投手力の差が大きくなっていると感じますね。日本のプロ野球は”保守的”というイメージもありますが、そのなかでも佐々木もいる革新的なパ・リーグに注目しています。ソフトバンクの投手陣は30代のほうが20代より全般的に速い球を投げるらしいですね。球団の育成システムが上手くいっている印象です。加えてアマチュアからすばらしい素材が育ってきている。個人的にはアマの指導者にもリスペクトを表したいです」

「韓国のKBOも投手の球速が速くなっていますが、日本ほどではありません。リュ・ヒョンジン、キム・グァンヒョン、ヤン・ヒョンジョン以降、長い間代表のエース級が育たないのです。日本には大谷翔平に続き、山本由伸、佐々木朗希などが立て続けに登場しています。先日、就任前のKBO新総裁に会ってきました。就任前の個人的見解として『韓日戦を復活させたい』という思いを口にしていました。理由は『日本との実力差が大きくなっている。日本と試合をしてこそ、韓国の現在地が認識できる』と。この意見に大いに賛成します」

佐々木を含め、多くの好投手が出てきている点が日本球界の良さだと。

もう一つ、今回の佐々木朗希の快挙(韓国関連)でスゴい、と思ったことがあった。国内最大のポータルサイト「NAVER」上での「ササキ」に続く「関連キーワード」(サジェスト)では、ついぞ1位になったのだ。

「コジロウ」「ノゾミ」を上回ったのだから、これまた歴史的快挙だ。

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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