クレームは宝の山!ユニクロが急成長できた理由は「グッドマンの法則」にアリ
突然ですが、「100人」のお客様が商品やサービスに不満を持ったとします。そのうち、クレームを伝えてくる人は何人でしょうか?
答えは「4人」と言われています。100人中「96人」のお客様は、何も言わないまま、二度と商品を買ったりサービスを使ったりすることはなく、離れていきます。クレームとして伝わるのは氷山の一角に過ぎないのです。
クレームの本質を知ることで、あなたも「クレームは宝物」だと感じられるはずです。これよりご紹介する「グッドマンの法則」を生かして、顧客満足度を向上させましょう。
グッドマンの法則とは
「グッドマンの法則」とは、マーケティング調査やコンサルティングを行うアメリカの企業、TRAP社の創業者ジョン・A・グッドマンの名前が由来となっています。
グッドマンは、「アメリカにおける消費者苦情処理」調査を行い、データを取りまとめました。そのデータから、アナウンサーであり、白鴎大学経営学部の教授も務めた佐藤知恭が提唱したのが「グッドマンの法則」です。
「グッドマンの法則は、「クレームの対応によって、その後の再購入決定率が変わってくる」という相関関係を示した法則で、「苦情は宝物」という言葉を生み出しました。
「グッドマンの法則」には、「第一法則」「第二法則」「第三法則」の3つがありますので、見ていきましょう。
迅速な解決が鍵!「グッドマンの第一法則」
「グッドマンの第一法則」とは、「不満を持った顧客のうち、苦情を申し立て、その解決に満足した顧客の再購入決定率は、不満を持ちながら苦情を申し立てない顧客に比べて高い」というものです。
商品やサービスを購入した後、不満を感じてクレームを入れたが、その不満が迅速に解決できた場合、次に同じ商品やサービスを再購入する率は「82%」にも上ります。
しかし、不満を感じたのにクレームを入れなかった場合、次に同じ商品やサービスを再購入する率は、たったの「9%」にまで落ちてしまいます。再購入しなかった「91%」は、何も言わないまま他の企業に流れたのです。
企業として注目すべきなのは「クレームの数」ではなく、「既に起こったクレームの対応」であることが理解できると思います。
悪い口コミは2倍伝わる「グッドマンの第二法則」
次に「グッドマンの第二法則」です。この法則は、「苦情処理に不満を抱いた顧客の非好意的な口コミは、満足した顧客の好意的な口コミに比較して、2倍も強く影響を与える」というものです。
調査によれば、好意的な口コミは1人につき「5人」にしか伝えませんが、非好意的な口コミは「10人」に伝えます。さらに、「20人以上に伝える」という人も12%いました。
グッドマンが調査を行ったのは、1980年頃のことでした。当時はインターネットのないアナログな時代でしたが、現在ではSNSの普及により、口コミはあっという間に広がるため、非好意的な口コミの影響は2倍どころではないかもしれません。特に、悪い内容はすごい勢いで拡散されますので、当時とは比べ物にならない慎重さが求められます。
先ほども述べた通り、クレームを訴える人は、不満を持った人の「4%」にしか過ぎません。不満を持っても黙っているサイレントクレーマーの「96%」を放置すると、一気によくない口コミが広まってしまう可能性があるのです。
欲しい情報がファンを生む「グッドマンの第三法則」
最後の「グッドマンの第三法則」とは、「顧客に適切な情報を提供することによって、その企業に対する消費者の信頼度が高まり、好意的な口コミの波及効果が期待されるばかりか、商品購入意図が高まり、かつ市場拡大に貢献する」というものです。
消費者との信頼関係をつくるためには、顧客がほしい情報をしっかりと提供することが大切です。企業は、お客様が求めている情報を定期的に提供することで、消費者を「ファン」にすることができるのです。
自ら掘り起こしたクレームが、企業を成長させる
「できれば聞きたくない」というものが、クレームかもしれません。だからといって耳を塞いでいては、当然のことながら不満の解決にはつながりません。
積極的に顧客がクレームを言える場をつくり、不満をどんどん言ってもらいましょう。たとえば、ホームページに「苦情お問い合わせ窓口」をわかりやすく表示しておいたり、店内にアンケート受付ボックスを設置して、苦情を募集するといった方法も使えます。
ユニクロに悪口を言って100万円
あの「ユニクロ」が以前に実施した広告をご存知でしょうか。全国紙に一面広告を出し、「ユニクロの悪口を言って100万円」というキャンペーンを張ったのです。このキャンペーンには、約1万通の「悪口」が寄せられ、ユニクロは大きな顧客満足度の向上に成功しました。肌着「エアリズム」の新色「ベージュ」がヒットしたのも、「白の肌着は透けてしまう」というお客様のクレームが、元になっているそうです。
まとめ
クレーム対応は、精神的にきついものです。そこを一歩乗り越えて、なかなか表には現れない、顧客の不満を知ることこそが、企業の成長につながるのです。
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太田 章代