「花火大会」はオワコン。温暖化を助長し、環境を破壊する。涙を呑んで積極的に中止すべき!
■中止の最大の原因は物価高騰による資金難
夏の風物詩といえば、花火大会。
今年も全国各地で行われているが、いくつかは中止、あるいは開催の危機に瀕している。すでに今年になって中止された花火大会は20大会を超える。
その原因は、さまざまに挙げられているが、最大の原因は主催する自治体や組織の資金難。原材料費や人件費の高騰で、採算が取れなくなってしまったことだ。
また、近年は、地元住民からの花火の燃えかすやゴミ、騒音などのクレームが相次ぎ、中止せざるをえなくなったところもある。
たとえば、岐阜県笠松町の「笠松川まつり」は船上から打ち上げる花火が目玉だったが、資金難で、コロナ禍が明けても再開されないままになっている。一方、神奈川県鎌倉市の花火大会は、クラウドファンディングによって、今年はなんとか復活にこぎつけた。
■打開策の一つとしての有料席の導入
相次ぐ花火大会の中止や開催危機に関して、「惜しむ声」が多く、その声に応えた自治体や組織では、打開策を実施してきた。
その一つが鎌倉市のクラウドファンディングだが、もっとも多く行われているのが、有料席の導入だ。現在、主要な花火大会の約7割が導入している。
ただし、この有料席がさらなる弊害を招いた例がある。それは、有料席を囲う高さ4メートルの「目隠しフェンス」を設置した滋賀県琵琶湖の花火大会。フェンスの隙間をこじ開けて覗き見る人、よじ登って見る人が続出した。
このように、日本人は花火大会への思いれが強いが、欧米はそうではなくなってきた。近年、欧米でも花火大会が中止されることが多くなっている。その理由は、コロナ禍が大きく影響しているが、財政難が主原因の日本とはまったく違っている。
■花火は地球温暖化を加速し、環境によくない
アメリカで花火と言うと、誰もが独立記念日の打ち上げ花火を思い浮かべる。しかし、この独立記念日恒例の行事は、近年、各地で中止されている。
その代わりに夜空を彩るのは、ドローンの大群。いわゆるドローンショーである。これは欧州でも同じだ。
ドローンショーが増えているのは、ドローンへの関心が高いこともあるが、花火が環境によくないからである。爆発によって有害物質が撒き散らされ、大気汚染が進む。また、気候変動と地球温暖化が進むいま、花火はそれをさらに加速化する。
近年の夏の猛暑で、干ばつが常態化しつつあるオーストラリア東部、アメリカ中西部では、花火の危険性が増す。ヒートのなかで花火を打ち上げれば、山火事を引き起こす可能性が高まる。
実際、花火により山火事が起こった例がある。
■ドイツでも中国でも花火そのものが禁止に
花火大会は別として、花火そのものが、最近は禁止される傾向にある。北欧やドイツなどでは、新年のカウントダウンとして個人でロケット花火を打ち上げるのが伝統的に行われてきた。そのためドイツでは、花火は大晦日の3日前から、スーパーなどで販売が始まる。
しかし、コロナ禍も影響して、ここ数年は花火の販売が禁止されるようになった。
中国の正月(春節)と言えば、邪気を払うとされる爆竹と花火。しかし、2015年以降、北京、上海などの大都市と多くの地域で、大気汚染を理由として、個人が爆竹をすることが禁止されるようになった。
とくにコロナ禍でロックダウンされていたときは、全面的に禁止された。それが、今年の春節では規制が緩和されて、各地で爆竹の音が鳴り響いたが、それも今年限りという話が出ている。
■どちらにせよ、夏の風物詩は中国産
このように見てくれば、今後世界的に、花火そのものと打ち上げ花火などを使ったイベントは、徐々になくなっていくと思われる。なにより、これ以上温暖化を進める行為は許されないからだ。
しかし日本は、なぜか、温暖化や気候変動に対する意識が低い。そのため、まだまだ、花火大会をどうやって開催するかという話ばかりしている。
ここは、花火大会などは思い切って取り止める。涙を呑んで、積極的に止めるべきだろう。夏の風物詩と言うが、35度を超える猛暑のなかでは「納涼」にもならない。むしろ、さらに猛暑を招くだけだ。
それでもどうしてもやりたいなら、ドローンショーに切り替えるなどするほかない。ただし、同規模の花火大会とドローンショーを費用面で比較すると、ドローンショーの方が割高という。
最後に、本筋とは関係ないことを書き添えておくと、花火の9割、ドローンの8割は中国で生産されている。結局どうなろうと、私たちが楽しむ夏の風物詩は中国産にほかならない。