ラトビア軍、所有する全ての携帯式防空ミサイルシステム「スティンガー」をウクライナ軍に供与
ドローンからヘリコプター、戦闘機まで破壊:多くのドローンを破壊
2023年4月にラトビアのイナーラ・ムールニエツェ国防大臣は、ラトビアが所有している携帯式防空ミサイルシステム(man-portable air-defense systems:MANPADS)の「FIM-92スティンガー」をウクライナ軍に提供すると発表した。
ラトビアは2022年2月にロシアがウクライナに侵攻する直前にもウクライナ軍に携帯式防空ミサイルシステム「スティンガー」を供与していた。
このような地対空ミサイルではドローン以外にもヘリコプターやミサイル、戦闘機などの迎撃に適しているが、破壊しているもののほとんどがドローンである。
2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。
「スティンガー」のような携帯式防空ミサイルシステム(MANPADS)はこのような上空のドローンを迎撃して破壊するのに適している。ロシア軍はロシア製の監視ドローン「Orlan-10」やイラン製軍事ドローン「シャヘド」、ロシア製軍事ドローン「Lancet」を主に使用してウクライナを攻撃している。
携帯式防空ミサイルシステムを手にしたウクライナ兵が草原や塹壕の中、ビルの屋上などからロシア軍のドローンを迎撃して破壊している。またバンやトラックなどの後ろに携帯式防空ミサイルシステムを持ったウクライナ兵が乗った「移動式ドローン迎撃車」でロシア軍が奇襲してくるサイレンが鳴ると、その場所に行って迎撃している。
上空のドローンを迎撃するのは、電波を妨害(ジャミング)してドローンの機能を停止させるいわゆる"ソフトキル(soft kill)"と、対空機関砲のように上空のドローンを爆破させる、いわゆる"ハードキル(hard kill)"がある。携帯式防空ミサイルシステム(MANPADS)は明らかにハードキルの方だ。
攻撃ドローンだけでなく、監視・偵察ドローンも発見したら、すぐに迎撃しなくてはならない。偵察ドローンは攻撃をしてこないから迎撃しなくても良いということは絶対にない。
ロシア軍が使用している監視ドローン「Orlan-10」や民生品ドローンのような安価な偵察ドローンに対してこのような地対空ミサイルシステムで迎撃して破壊するのはコストパフォーマンスが低い。
だが偵察ドローンに自軍の居場所を察知されてしまったら、その場所にめがけて大量のミサイルを撃ち込まれてしまい大きな被害を招きかねないので、偵察ドローンを検知したら、すぐに迎撃して爆破したり機能停止させたりする必要がある。また回収されて再利用されないためにもドローンは上空で徹底的に破壊しておいた方が効果的である。ロシア軍に対しての迎撃能力誇示による抑止にもなる。
▼ラトビアのイナーラ・ムールニエツェ国防大臣のSNSで、所有する「スティンガー」全てをウクライナ軍に提供することを伝える。
▼携帯式防空ミサイルシステム「スティンガー」