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世界を救うオシャレなスパイは、超絶イケメン2人組

渥美志保映画ライター

今回は今月のおすすめ映画5本の中でも、イチオシの一本『コードネーム U.N.C.L.E.』をお送りします。もうタイトルにも書きましたが、2人の超絶イケメンを始め、娯楽作に欲しいものをぜーんぶぶっこんだメチャメチャ楽しい作品!ということで早速いってみましょう。

まずは物語。舞台は第二次大戦後、アメリカとロシアが水面下でスパイ合戦を繰り広げていた東西冷戦下の1960年代。CIAの凄腕スパイ、ナポレオン・ソロは、失踪した元ナチスの天才科学者ウド・テラー博士の行方を捜し、そのカギとなる一人娘ギャビーを亡命させるため東ベルリンに向かいます。そこで待ち構えていたのは、KGBのエリート、イリヤ・クリアキン。壮絶な追いかけっこの末にソロ&ギャビーは西側へ、ところがしつこいイリヤの追跡は西側にまで!と思いきや、両者の上司が登場し「お前ら今日からチームだから」。テラー博士を手に入れて巻き返しを図るナチス残党、その野望を阻止するためのCIA&KGBの連合チームがここに出来上がるのですー。

右からソロ、イリヤ、ギャビー
右からソロ、イリヤ、ギャビー

見どころは――アクションにファッションに俳優のイケメンぶりにと、どこから書いていいのか分からないくらい盛り沢山な作品なんですが、私的に一番楽しかったのはソロ&イリヤの凸凹コンビぶりです。このふたり、何もかも真逆で性格が全く合わないんですね~。ソロのちゃらんぽらんぶりに堅物のイリヤはイライラするし、単なるチンピラ相手でさえ“カチーン”と来たら本気でボコるイリヤに、クールなソロは「正体バレるから!」とヒヤヒヤ。洗練されたモテ男のソロは、垢抜けない純情イリヤを「ダサっ!」と笑い、最新兵器を使いこなすエリート軍人イリヤは、元泥棒(服役の代わりにスパイになった人なんです)であるソロの古式ゆかしい「七つ道具」を「古っ!」と笑う、そういうテンポのいいやりとりがいちいち笑えます

でも、ソロはどんな時も仲間を見捨てないバカ真面目なイリヤを見直してゆくし、イリヤはルール無用で自分だけを信じるソロのクールなしなやかさに一目置くようになっていく。いやいや組まされたコンビがやがて友情を築いていく、こういうドラマの流れは誰もがすんなり入り込めるエンタテイメントの王道です。

ソロ役ヘンリー・カヴィルは185cm、イリヤ役アーミー・ハマーはなんと196cm!
ソロ役ヘンリー・カヴィルは185cm、イリヤ役アーミー・ハマーはなんと196cm!

加えてこの二人がめちゃくちゃイケメン(しかも肉体派!)というところも、もちろんすごーい見どころです、当然ながら。ソロ役のヘンリー・カヴィルは『マン・オブ・スティール』の来日で取材した時に、「そんな大胸筋して、ヘナヘナした役やれなくなっちゃうじゃないですか」と聞いたら、「身体は単なる道具ですから!」なんて言ってましたけど、そのお道具が本作の全編スーツ姿に存分に生かされています。スーツの前ボタンをほぼ外さないのにも、「ここは胸板強調してこう!」的な制作側の意図がありありとうかがえます。

メカニックとドライビングテクニックが凄腕のギャビー
メカニックとドライビングテクニックが凄腕のギャビー

ですが!今回の映画では個人的にアーミー・ハマーを、ギャビーを好きなのになんもできないイリヤの可愛さを、猛プッシュいたします!鼻っ柱が強く酒癖の悪いギャビーがイリヤにケンカ(口喧嘩じゃなくてつかみ合いの)を売る場面があるんですが、いくら本気で殴りかかってきても、小柄な女性のギャビーにイリヤがやり返せるはずもなく、あしらってるうちになんだか妙な雰囲気に――って、なんというベタな!ベタだけども!いいじゃないかベタだって!でもってこれ以来ギャビーを好きになっちゃって、なんもできなくなっちゃうって、そんなデカいなりして童貞か!チェリーボーイか!イリヤ!不器用で武骨で女に不慣れでバカ真面目って、いい年こいた男としては処置ナシのキャラが、イケメンだとこうなってしまうという典型例です。怖いわ、イケメン。

さらにこの二人がいい雰囲気になると、その度にソロが邪魔に入るっていうのがまたシャレています。『ロック・ストック&トゥー・スモーキングバレルス』というデビュー作を覚えている方もいるかと思いますが、ガイ・リッチー監督の作品は会話とかテンポとかタイミングが絶妙で、どんなシーンでも深刻になり過ぎない軽妙さがあるんですね。『キングスマン』でマシュー・ボーンがサミュエル・L・ジャクソンに言わせた「深刻になり過ぎない昔のスパイ映画が好き」というセリフがありましたが、この作品はまさにそういう感じ。

それでていてユルくならないのは、やっぱり身体を張ったアクションが効いているから。冒頭のベルリン、初めて出会うソロとイリヤが繰り広げるカーチェイスなんかも、アイディア満載のソロと力技のイリヤというキャラクターに笑いを取り混ぜつつも、そこ突っ込んでいくのか!そんな戦法か!素手か!車を素手で止めんのか!って感じで、スピード感も迫力も満点。その他にもボートありバイクあり、重量級の肉弾戦ありで、アクション好きな男性でもきっと楽しめると思います。

長身の悪役ヴィクトリア様、敵でも美女なので当然お手合わせ願っちゃったソロ
長身の悪役ヴィクトリア様、敵でも美女なので当然お手合わせ願っちゃったソロ

最後になりましたが、カッコいい60年代ファッションもすごく大きな見どころです~。小柄なギャビー(アリシア・ヴィキャンデル)が着こなすミニワンピはどれもこれも可愛く、長身の悪役ヴィクトリアが纏うドレスの数々はセクシーでゴージャス。ベルトのバックルみたいなブレスレット、キャンディみたいなイヤリング、ポップなサングラスなど、大ぶりのアクセサリーも個性的でかわいいものだらけ。とにかく画面の中にワクワクがたくさん詰まった、この秋一押しの作品です!何も考えずスカッして下さいねー。

『コードネーム U.N.C.L.E.』

11月14日(土)公開

(C)2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC ALL RIGHTS RESERVED

Daniel Smith

映画ライター

TVドラマ脚本家を経てライターへ。映画、ドラマ、書籍を中心にカルチャー、社会全般のインタビュー、ライティング、コラムなどを手がける。mi-molle、ELLE Japon、Ginger、コスモポリタン日本版、現代ビジネス、デイリー新潮、女性の広場など、紙媒体、web媒体に幅広く執筆。特に韓国の映画、ドラマに多く取材し、釜山国際映画祭には20年以上足を運ぶ。韓国ドラマのポッドキャスト『ハマる韓ドラ』、著書に『大人もハマる韓国ドラマ 推しの50本』。お仕事の依頼は、フェイスブックまでご連絡下さい。

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