フワちゃん、中丸雄一と続いた芸能活動休止騒動ーーSNSが作り出した新たな「世間」への違和感
芸能活動休止騒動が相次いだ
不祥事でタレントが芸能活動休止になる事例がこの間、続いた。
1例はフワちゃんで、芸人のやす子さんへの「死んでください」などという誹謗投稿をX(旧ツイッター)に公開。本人は操作ミスだったと釈明し、やす子さんにも謝罪したというが、炎上は収まらず、活動休止に追い込まれた。
もう1例は『週刊文春』8月15・22日号「KAT-TUN中丸雄一が女子大生とアパホテル密会」の波紋だ。中丸さんといえば日本テレビ「シューイチ」のレギュラーコーナーほかコメンテーターを務めるほか、最近は講談社からマンガを出版するなど多才ぶりを発揮していた。
『週刊文春』発売前日の8月7日に記事内容が文春オンラインで速報されると騒動になり、事務所が「謹慎」を発表。レギュラー番組の出演が見送られた。「謹慎」の意向自体は、同誌が最終段階で事務所へコメントを求めた時点で決まっていたようで、記事の中でもそれが示されている。
記事は7月4日に中丸さんが女子大生に続いて同じホテルから出てきた様子を詳細に伝え、写真も掲載している。同誌が後日、女子大生を直撃したところ、ホテルに一緒に入ったことは認めたものの、「相談事をして、すぐに部屋を出ました」と釈明。不倫については当事者が否定したことから見出しも「不倫」でなく「密会」だったが、中丸さんは今年1月に「シューイチ」で共演した元日本テレビのアナウンサーと結婚したばかりだっただけに、非難の嵐が吹き荒れた。本人もそうなることを覚悟して謹慎の意向を固めたのだろう。
SNSで炎上し、収拾がつかず
2つの事例に共通するのは、SNSで激しく炎上し、収拾がつかなくなってしまったことだ。中丸さんについては、相手の女子大生が、別れ際に中丸さんが財布にあった7000円をタクシー代として渡したが、タクシー代としては足りなかったという話も披露しており、そのことや利用したのがアパホテルだったことに、人気タレントとしてどうなんだという突っ込みがSNSで入れられた。
ちなみにこの記事については、2人がホテルに入ったことを『週刊文春』側がピンポイントで把握していることや(長期取材で把握したのであれば、そのプロセスも記事に含まれるのが普通)、そのホテルの現場を押さえてから女性への取材までに日にちが経っていることなどから、事情通はこの話は相手の女子大生がネタ元ではないかという憶測も語っている。確証はないが、確かに記事によると、中丸さんが何度も執拗に女性に迫っていたという経緯が語られているから、それに辟易した女性が週刊誌に密告した可能性もないではない。
世間に対して謹慎することへの異論も
ただ、中丸さんが「シューイチ」を始め活動休止となったことについては、異論も呈されている。例えばTBS系の番組「アッコにおまかせ!」で和田アキ子さんが、奥さんには謝るべきだけど謹慎というのはどうなの?と疑問を呈した。妻に対する謝罪は当然だが、世間に対して謹慎という形で詫びるのはおかしいのではないかという指摘だ。他にも三浦瑠璃さんなど同様の声はネットに上がっている。
『週刊文春』などの不倫・密会報道については、以前から疑問の声があがっていた。今回のスキャンダルも面白おかしくネットで消費されているのだが、こうした波紋は、ネット社会の進展で大きくなるばかりだ。なかには被害者であるはずの妻も一緒に世間に詫びるケースもある。
当事者同士の問題を離れて、まずは世間を騒がせたことを詫びて迷惑をかけたテレビ局やスポンサーなどに謝罪するというわけだ。フワちゃんの事例など、本人が釈明しても「お詫びになってない」とさらに騒ぎが拡大している。
ネット社会が新たな「世間」に
最近はテレビの制作者なども、SNSの反応を気にするようになっているという。世間がどう受け止めるのか、という時の「世間」がSNSだったりする。
発言が匿名であるゆえに、大炎上とバッシングが過熱するというSNSがそんなふうに新たな「世間」として肥大化していくこのあり方のほうがむしろ気になってしまう。その傾向は今のところエスカレートするばかりという印象だが、このままで大丈夫なのだろうか。