ラコステのパロディ商標登録が異議申立により取消
商標の審決を解説付きでフィードしてくれる大変ありがたいツイッター・アカウント「商標審決」さん経由で知りましたが、LACOSTEのパロディ商標と思われる「OCOSITE」なる商標登録に対して、本家より異議申立が請求され、商標法4条1項15号(他人の業務に係る商品との混同を招くおそれ)により取消となっていました。
上のツイートにもあるように、本家の有名なワニマークとの類似がポイントになっています。審決文が読みたい方は特許情報プラットフォームの審判検索のメニューから番号検索を選び、2020-900312を入力すると見ることができます。
この件のように、パロディ商標の商標登録について、異議申立や無効審判において本家と争われることがたまにありますが、パロディに相当するかどうかという点が直接的な論点になることはあまりなく、単に類似しているかいないかが中心に判断されることが多いです。たとえば、下図に示す、有名なPUMAの2件のパロディ商標登録に関する無効審判では、両方ともパロディであることは明らかであるところ、KUMAはアウト、SHI-SAはOKという結論になっています。KUMAの審判番号は 2011-890089、SHI-SAの審判番号は2007-900349 等(その他複数あり)なので、興味がある方は読み比べてみてください。
ところで、今回調べて知りましたが、SHI-SAの方には独Puma社が繰り返し、無効審判と審決取消訴訟を請求しており、ことごとく請求棄却になっています。しかし、結局、SHI-SAの権利者(個人)は2020年9月に登録を自発的に放棄していました。繰り返し無効審判と訴訟に対応することで費用的に割が合わなくなったからかもしれません(もしそうだとすると、独Pumaの兵糧攻めが成功したということになり、それはそれでちょっと複雑です)。
最後に、余談ではありますが、吉本興業による「面白い恋人」事件の時なども思いましたが、パロディ商品を出す権利は表現の自由として絶対的に尊重すべきと思います(ただし、本家が本気で迷惑している場合に取り止めることが前提です)。しかし、パロディ商品を出している側が商標登録するというのは意味がわかりません。有名ブランドの独占支配に対する反骨精神としてパロディをする側がそのパロディを独占支配したいと言っているのに等しいからです。