日本海溝・千島海溝巨大地震の被害想定!死者最大約19.9万人・岩手県宮古市で30mの津波
日本で発生する巨大地震といえば、誰もが「南海トラフ地震」と回答するはず。ところが、2022年(令和4年)12月16日から気象庁では「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を運用しています。
これは、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震に備えるための情報です!
今回は、北海道から関東地方にかけて、272市町村(1道7県)に影響がおよぶとされている『日本海溝・千島海溝巨大地震の被害想定』をお伝えします。
日本海溝と千島海溝の地殻の境界等を震源とする巨大地震
日本海溝・千島海溝地震とは、房総半島東方沖から三陸海岸の東方沖を経て、択捉島(えとろふとう)の東方沖までの、日本海溝と千島海溝の地殻の境界等を震源とする巨大地震のことです。
地震が影響する範囲は上記のとおりで、ピンクの地域が令和4年に追加され「1道7県:272市町村」にのぼります。
日本海溝・千島海溝周辺では、昔からマグネチュード7~8を超える巨大地震や、揺れが小さくても大きな津波を発生させる「津波地震」と呼ばれる地震など、さまざまな地震が発生し大きな被害をおよぼしています。
そのため中央防災会議では、巨大地震が発生した際の甚大な被害を少しでも軽減するため、後発地震への注意を促す情報の発信が必要である旨が提言されました。
この提言を踏まえて、気象庁では2022年(令和4年)12月16日から「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を運用しています。
聞きなれない「後発地震」ってなに?
マグニチュード7クラスの地震が起きたあとに発生する、より規模の大きな地震のことを「後発地震」と呼んでいます。
例えば、1963年に起きた択捉島(えとろふとう)南東沖地震では、マグネチュード7の地震が起きた約18時間後に、マグネチュード8.5の巨大地震が発生。
さらに、まだ記憶に新しい2011年の東日本大震災では、マグネチュード7.3の地震が起きた約2日後に、マグネチュード9の巨大地震によって、強い揺れと想定外の津波に襲われました。
北海道・三陸沖では続いて発生する巨大地震に備えよう!
北海道・三陸沖ではマグネチュード7.0以上の地震が起きたら、続いて発生する巨大地震の可能性が高いため「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が発表されます。
内閣府や気象庁では、甚大な被害に対し1週間程度の備えの再確認や、迅速な避難態勢の準備を呼びかけています。
- すぐに逃げ出せる態勢での就寝
- 非常持出品の常時携帯
- 緊急情報の取得体制の確保
- 想定されるリスクから身の安全の確保
- 日頃からの備えの再確認
日本海溝・千島海溝地震の被害想定
日本海溝・千島海溝地震の被害想定は「日本海溝地震」と「千島海溝地震」で異なります。日本海溝地震のほうが千島海溝地震よりも被害は甚大で、死者数は最大約19.9万人、被害総額は約31兆円にもおよびます。
以下に、各地震による被害想定を紹介しましょう。
▼日本海溝地震の被害想定
▼千島海溝地震の被害想定
上記の推計項目にある「低体温症要対処者」とは、津波から逃れたものの、低体温症で死亡するリスクが高まる人のことです。
津波の高さは岩手県宮古市で最大30m
日本海溝・千島海溝地震による津波の推定は以下のとおりで、岩手県宮古市で最大30mと予測されています。
▼日本海溝沿い
- 福島県南相馬市:19m
- 宮城県気仙沼市:16m
- 岩手県宮古市:30m
- 青森県八戸市:27m
▼千島海溝沿い
- 北海道えりも町や釧路町:28m
今後10年間の防災対策で、死者は約80%減少できる!
気象庁では今後10年を目標に、避難意識の改善や避難ビル&避難タワーなどの活用と整備によって、死者数を約80%減少する目標を設定。さらに、以下のさまざまな施策を拡充して、被害を最小限に留める計画です。
- 訓練、防災教育等による早期避難への意識の向上
- 避難路、避難施設等の整備、指定等の推進
- 住宅、学校、医療施設等の建築物の耐震化
- 防災情報のデータ連携のための環境整備
- 防寒具・暖房器具等の備蓄による、避難時の低体温症対策の推進
- 避難路・避難施設等の整備での、積雪や凍結等の影響への配慮
日本中どこで巨大地震が起きてもおかしくない
南海トラフ地震への関心が高まっていますが、千葉県から北海道にかけても「日本海溝・千島海溝地震」によって甚大な被害が想定されていました。
確かに東日本大震災では地震が発生する約2日前に、大きな揺れを観測しています。時代を遡っても、東北や北海道では津波を伴う地震が数多く発生しているのは事実です。
能登半島での地震も考慮すれば、日本のどの地域で巨大地震が起きても、おかしくない時代になっているのかもしれませんね。