欧州都市が欲しがる「緑の賞」って何? 2021年の首都は、北欧のあの国
ヨーロッパでは、各国が「ぜひ受賞したい」と思っている「緑の賞」がある。
欧州グリーン首都賞(European Green Capital Award)は、EUの欧州委員会環境局によって授与される。
環境・気候変動対策で、優秀な自治体に贈られるものだ。
日本ではほとんど知られていない賞。
だが、欧州にある都市にとっては「喉から手が出るほど」欲しいタイトルともいえる。
シンプルにいうと、この賞をもらえれば、ずっと自慢できるし、政治家や市民の自尊心もアップする。
「私たちの自治体では、このような取り組みをして、自然も市民もハッピー」
「すごいでしょ? どうぞどうぞ、ぜひインスピレーションを受けて、真似してください」
と、自治体や政治家の手腕PRには最高。
ヨーロッパの「緑の街」の代表として、以下の指標で評価される。
- 交通・移動手段
- 都市緑化
- 気候変動対策
- 騒音
- ゴミ処理
- 自然と生物の多様性
- 大気の質
- 水質
- エコ関連のイノベーションと持続可能な雇用
- 自治体の環境管理
- エネルギーの使用効率
各国の自治体が参加可能なので、競争率は高い。
- 最初の年に受賞したのは、スウェーデンのストックホルム(2010年)
- 2019年は、私が住んでいるノルウェーのオスロ
- 2020年はポルトガルのリスボン
そして、つい先日(21日)に、オスロでは2021年の受賞国が発表されるセレモニーが開催された。
2021年の「緑の首都」は……。
フィンランドのラハティ!
ちなみに、2014年に受賞したのはデンマークのコペンハーゲンだった。北欧各国が意外と多い。
この賞レベルの基準を達成できている都市環境では、市民の高い幸福度(日常生活の満足度)・政治家の手腕の高さも比例する傾向にある。
フィンランドのラハティが受賞した理由には、これまでの都市開発の功績、大気汚染改善などがあげられる。
市民の99%が緑地から300メートル以内で生活。スキー、釣り、ベリーやキノコ狩りなどの自然活動が、市民の日常に溶け込んでいることも評価された。
2021年、環境対策のアンバサダーとして、ラハティは自分たちの活動を各国にお披露目することになる。
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「ふーん、そうなんだ」
「あ、そうですか」
と、遠い国のことのように感じるかもしれない。
「いいな!おもしろそう!」と、日本に住む人でも、関心をもてる対策や暮らしのヒントが紛れ込んでいることもあるのだ。
この賞は、日本でもうちょっと知られるといいなとも思う。
Photo&Text: Asaki Abumi