注目される「韓国人戦犯」を巡る憲法裁判所の「判決」 元慰安婦、元徴用工問題と並ぶ「3大懸案」の行方!
韓国にとっては元慰安婦、元徴用工問題と並ぶ3大懸案の一つである韓国人B,C級戦犯の補償問題に関する憲法裁判所の「判決」が本日(31日)午後2時に下される。
戦前日本軍に徴用され、戦後は戦争犯罪人扱いされた故李学来氏ら韓国人B級、C級戦犯被害者遺族ら10人は2014年に「韓国政府が紛争を解決せず放置していたのは違憲である」とする趣旨の憲法訴願を出していた。
韓国政府が盧武鉉政権下の2006年、韓国人戦犯被害者を「強制動員被害者」と認定したことから戦犯被害者らは日本政府に対する「補償請求権が残っている」として外交部に対して日本政府と交渉するよう求めてきたが、これまで外交部は応じてこなかった。
戦犯被害者の多くは青少年期に日本に徴用された後、太平洋戦争連合軍の捕虜収容所の監視などの業務を担っていた。終戦後、連合国の捕虜の監視を行っていたとして連合軍の「戦犯裁判」で有罪判決を受け、東南アジアの刑務所で収容されていた。その数は148人に上ると推定されている。
今年3月に死去した唯一の生存者であった、東京在住の李鶴来氏は日本軍軍属としてタイの捕虜収容所監視員を務めていたが、シンガポールで開かれ連合国によるB、C級戦犯裁判で死刑判決を受けていた。減刑後、東京に移され、1956年に仮釈放されていた。
李氏ら韓国人戦犯は1991年に日本政府を訴えたが、1審、2審、3審いずれも敗訴したため今度は韓国政府を相手に2014年に日本と交渉しないのは「基本権の侵害である」として憲法裁判所に訴えていた。
元慰安婦問題では李明博政権下の2011年8月30日に憲法裁判所は日本政府と交渉をしない外交部長官を相手に起こした元慰安婦らの違憲訴願審判で「日本と交渉しないのは行政不作為である」として、違憲の判決を下していた。
元徴用工問題では元慰安婦らと同様の訴えを起こした元徴用工らは地裁、高裁、いずれも敗訴していたが、慰安婦問題に関する憲法裁判所の判決が影響したのか、朴槿恵政権下の2012年5月に大法院(最高裁判所)は「個人請求権は消滅してない」との差し戻し判決を言い渡し、翌年8月にソウル高裁が日本企業に賠償支払いを命じる判決を下していた。そして、文在寅政権下の2018年10月に大法院は「(元徴用工らの)請求権は日韓請求権協定の対象外である」との判決を下している。
時の李明博元大統領から後継者の朴槿恵前大統領、そして現在の文在寅大統領もこの判決に縛られ、今日の「最悪の日韓関係」に陥っているのは周知の事実である。
実際に憲法裁判所の判決から2週間後の9月15日に李明博政権は元慰安婦賠償請求権問題に関する外交交渉を日本政府に正式に要請したが、日本が不服を唱えると、3か月後の12月14日、駐韓日本大使館前に初めて慰安婦像が設置されるに至った。
数日後,京都で行われた日韓首脳会談の場で慰安像の撤去を求めた野田総理に対して李大統領の口から日本が誠意を持って慰安婦問題を解決しなければ「第2、第3の像が建てられるだろう」と日本にとっては半ば脅しに近い言葉が飛び出したのはあまり知られていない。
李大統領は2008年2月に政権発足後、福田康夫、麻生太郎、鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦と5人の首相を相手にしたが、笑顔を見せなかった首脳会談はこの時が初めてだった。そして、怒り心頭したのか、それとも支持率を上げるための国民向けパフォーマンスなのか、翌年8月には初代の李承晩大統領を含め歴代大統領の誰一人として上陸したことがなかった「禁断の地」である竹島(韓国名:独島)上陸を決行している。
仮に、憲法裁判所が韓国人戦犯被害者らの訴えを認めれば、日韓は元慰安婦、元徴用工問題に続いて新たな「難問」を抱えることになる。