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激闘の再戦ーーWBOフェザー級タイトルマッチ

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(写真:ロイター/アフロ)

 1年ぶりの再戦だ。

 2023年12月9日にWBOフェザー級王座に就いたラファエル・“エル・ディビーノ”・エスピノーザが、来週末、前チャンピオンであるロベイシー・ラミレスの挑戦を受ける。

Photo:Top Rank   現チャンピオンのエスピノーザ
Photo:Top Rank 現チャンピオンのエスピノーザ

 エスピノーザは身長185センチ、リーチ188センチと、フェザー級に収まらないサイズを誇る。一方のラミレスは、ロンドン、リオと五輪で連続Vを果たしたアマチュア界のエリートだ。

 五輪金メダリストとして颯爽とプロ入りしたキューバ人サウスポーは、デビュー戦のファーストラウンドでダウンを喫しての黒星スタート。その後は、慎重に相手を選びながら、白星を重ねた。昨年のエスピノーザ戦は、同タイトル2度目の防衛戦だった。

 エスピノーザのリーチに手こずりながらも、ガードを高くしてじわじわと距離を詰め、第5ラウンド残り2秒で右フックを浴びせダウンを奪う。奇を衒った挑戦者がサウスポーで戦い、本来のオーソドックスに戻した瞬間に捉えたパンチだった。

Photo:Top Rank  前チャンピオンの挑戦者、ラミレス
Photo:Top Rank  前チャンピオンの挑戦者、ラミレス

 この一発が明暗を分けたーーー。その後のラミレスは、「倒そう」「倒そう」と大振りのパンチを繰り返す。見応えのある打ち合いが続いたが、ラミレスの攻撃は雑になった。

 そして試合終了の25秒前、エスピノーザの連打でラミレスは崩れ落ちる。エスピノーザは最終ラウンドだけで120発のパンチを放ち、判定勝ちを収めた。スコアは、115-111、114-112、113-113。

Photo:Top Rank
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 激しく打ち合ったこのWBOフェザー級タイトルマッチは、昨年のファイト・オブ・ザ・イヤー候補となった。大いにファンを熱狂させた両名は、2024年12月7日に“13ラウンド”目を迎えようとしている。会場となるのは、アリゾナ州フィニックスのフットプリントセンターだ。

 メキシカンのチャンピオンvs.キューバ人チャレンジャー。1年前、試合終了のゴングが鳴った時から、彼らはリターンマッチに向けて動き始めていた。

Photo:Top Rank
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 両者共に今年の6月にリングに上がっている。エスピノーザは初防衛戦でセルヒオ・チリノを4ラウンドで仕留め、初防衛に成功した。初回、3回、4回にダウンを奪っての圧勝だった。目下、25戦全勝、21KO。

 一方のラミレスも、第7ラウンドでブランドン・ベニテスをアッパーカットで撃破し、戦績を14勝(9KO)2敗としている。

ESPNが「アップセット・オブ・ザ・イヤー(年間最高番狂わせ試合)」に選んだファイトの再戦は、どんな展開になるか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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