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「土壌雨量指数」は土砂災害危険度の高まりを表す!30日は静岡県から神奈川県の沿岸部が危険

栗栖成之防災士ライター
出典:photo AC

今回の台風10号のニュースでは頻繁に「土壌雨量指数」との言葉が使われています。何気なく見ているだけだと、頭に入ってこないので「ふぅ~ん」とスルーしてしまうでしょう。

ところが、この「土壌雨量指数」は、土砂災害から命を守るために重要な数値なのです。そして、30日は静岡県から神奈川県の沿岸沿いにて、土砂災害のリスクが高くなっています。

「土壌雨量指数」は土の中に溜まった水分量を数値化したもの

出典:気象庁 大雨・洪水警報注意報基準の新しい指標
出典:気象庁 大雨・洪水警報注意報基準の新しい指標

大雨によって起きる土砂災害は、今降っている雨の量だけでなくこれまで降った雨が、土の中(土壌)にどれだけ溜まっているかが重要とされています。

土壌雨量指数は最近ではなく、2008年(平成20年)5月28日より、大雨および洪水警報・注意報などの基準に、土砂災害や水害の発生と対応のよい新しい指標として「土壌雨量指数・流域雨量指数」を導入しています。

台風による大雨が降り止んだとしても、土の中に雨が多く貯まっている状態なら、翌日に降る少量の雨でも、土砂災害が起きる可能性があります。

土の中に残っている雨の量が重要なため、この「土壌雨量指数」が使われる訳で、気象庁が発表する大雨警報(土砂災害)や、土砂災害警戒情報などの判断基準にも使われます。

土壌雨量指数はタンクモデル化にて計算される

出典:気象庁 土壌雨量指数
出典:気象庁 土壌雨量指数

土壌雨量指数は上図のように、「表面からの流出⇒表層浸透流出⇒地下流出」と、雨が土壌に溜まっていく様子を、タンクに見立ててモデル化して計算しています。

簡単にいえば、斜面の各地層をタンクとして、流れ出た量と残った量を算出。そして各タンクに残った量を合計した数値が、土壌に溜まっている水分量に相当します

30日20:30現在でも、静岡県から神奈川県の沿岸部が危険!

出典:気象庁キキクル(危険度分布)
出典:気象庁キキクル(危険度分布)

本稿を執筆している30日20:30分現在でも、静岡県から神奈川県の沿岸部が紫色となり「警戒レベル4相当」と危険度が高い状況です。

土砂災害の危険度を知るには、気象庁が公開している「キキクル(危険度分布)」で確認できます。

実際に熱海市では本日早朝5:30分に、市全域にあたる21,035世帯・34,750人に避難指示が発表。また、神奈川県ではあわせて24の市町村に、避難指示が現在も発表されています。

土砂災害から命を守るには、その場から逃げるしかない!

出典:イラストACを加工
出典:イラストACを加工

土砂災害から命を守る方法は、その場から逃げるしか方法はありません。ただし、夜間や浸水などで避難が難しい場合は、山から離れた2階の部屋などに避難します。

土砂災害警戒区域内に自宅や会社がある方は、大雨警報が発表された時点で避難することが望ましいです。

早め早めの避難が命を守るベストな選択なため、悩むことなく逃げる決断が求められます。

防災士ライター

これまで、洪水・土砂災害・地震・津波・高潮など、あらゆるハザードマップを作成。2017年に防災士とひょうご防災リーダーの資格を取得。2014年からWEBライターとして活躍し、現在では経験と資格を活かしてさまざまなメディアに多ジャンルにて記事を投稿中!

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