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千原せいじが問う、日本のココ「どうなん?」

中西正男芸能記者
次々と持論を展開する「千原兄弟」の千原せいじ

 歯に衣着せぬ物言いで、オンリーワンの存在感を見せているお笑いコンビ「千原兄弟」の千原せいじさん(49)。番組企画などで月1回は海外ロケに出る生活を繰り返してきましたが、改めて日本を見つめなおす著書「プロに訊いたら驚いた!ニッポンどうなん?」を今夏、上梓しました。本を書き終えてからも、あふれ出る世の中への「どうなん?」をストレートに語りました。

プロに聞く

 今から3~4年前、時事ネタを扱う情報番組をやっていたんです。そこで毎回ニュースごとに専門家に来ていただく中で、プロにお話をうかがうのって本当に面白いもんやなと思いまして。

 だったら、その“プロならではの目線”を本にできたら面白いんじゃないか。そう思って、本を作り始めたんですけど、これがなかなか難しかった。

 というのは、法律とか社会情勢とか、変わるじゃないですか。こっちの話が固まったなと思ったら、また別の方が動き出して、そちらが固まったと思ったら、もう一つの方が動き出して…みたいな感じで。特に、カジノ法案とかはかなり大変でしたけど、そんなこんなで、出すまでに2年ほどかかりました。

日本の飲食店

 本という形にするのは、思いのほか、苦労しましたけど、要は自分で考えて、分からんことは分かっている人にしっかり聞く。そこが一番大事やし、そうやって聞いたら、また自分で考えるし、そのサイクルが大切なんやろうなとは思います。本を書き終えてからも、いろいろ考えることが増えてます。

 例えば、日本って、お店のホスピタリティーが高いみたいなイメージもありますけど、果たして、本当に高いのか。オレ、多分、そんなことないと思うんですよ。残念ながら。日本に来て、ガッカリして帰るインバウンドの人、多いと思うんです。

 海外に行って、現地の人と話をすると、日本に行って「おかしい」と思うことがたくさんあると。この前、ドバイで言われたのが「なぜ、日本人はお店の中で叫ぶの?」ということでした。

 お店で食事をしていて「すみませーん!」と叫ぶと。それを見ると「日本に来たなぁ…」と思うらしいんです。旅行で来て、たまに見ている分には異国情緒があってオモロイなくらいで済むけど、自分がずっとそこで暮らすのはしんどいと。

 要は「すみませーん!」と叫ばなアカンということは、店員さんが呼ばないと来ないということ。お客さんがストレスなく食事ができるためのサポートをサービスとするならば、サービスができていない。そうとらえるんです。もちろん、お店の業態や価格帯にもよるでしょうけど、外から見たら、そう見えるんやなと。

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サービスの可能性

 僕自身も、お店に関して思うことはいくつかあります。この前、クラブで飲んでいて、そこのママと話をしていたら、最近、売り上げが落ちてきたと。お客さんも減っている。なので、お客さんが来なさそうなら、閉店時間よりも早く閉めたりもしていると。

 もちろん、女の子の給料もあるし、経費もあるし、いろいろ都合はあると思います。それはもちろん、分かります。ただ、営業時間はお客さんとの約束みたいなもんで、この時間まではやってるとお店が打ち出してやってるのに、客がいないから閉めるというのはアカン。

 この時間まではやってると思って、得意先を連れてくる人もいるだろうし、見えないところでいろいろなものを失ってしまっている確率が極めて高い。

 「こちらって、何時から何時まででしたっけ?」と聞いた時に「何時にお越しですか?その時間にお待ちしております」というお店が人生で何軒あったかと。もちろん、全てのお店にそこまでのことは求めていないですし、そんなことは不可能です。

 ただ、事実、そういうお店はあるし、そういうお店には心をわしづかみにされる。こういう話をすると「そんな店、ムチャクチャ高いんやろ?」と言われたりしますけど、大衆的なお店でもそういうことをされているお店もある。そう考えると、サービスの枠はまだまだ広がるし、可能性も残されていると思うんですけどね。

日本の仕組み

 あと、世界各国に行って思うのは、日本の人は環境に関して意識が低い。これだけ進んだ国でもあるけど、そこの意識は本当に薄いと僕は感じています。

 オランダに行った時には、道路のいたるところにコンセントがあって、これでもかと電気自動車が走っている。街中が静かやし、空気もきれい。それを目の当たりにして日本を見ると、考えさせられるところはありますね。

 ま、それをもう一つ奥まで考えると、結局、その仕組みを作っている人間。今、日本の決定権を持っている人間、言うたら、50代、60代のオッサンになりますけど、そこの意識が低いんですよ。だから、どうしてもそうなりますよね。

 その世代は、今に比べると環境に関する教育も薄かったし、致し方ないところもあるのかもしれませんけど、そこに起因してるのは間違いないと思います。

 今後、そのオッチャンらがいなくなって、今の若い人が世の中の決定権を握る世代になっていく。そうなったら、今よりは良くなります。それは間違いない。若い子にも、そら、いろいろな人がいるけど、これは教育の力なのか、文化の力なのか、オッサンよりも気が付く子が多いし、優しい子も多い。その子らが上になったら、変わりはしますよ。

 そういったいろいろな思いを込めて、本を出したんですけど、発売から2カ月ちょっとですか…。周りの反応、全くないです(笑)。僕、普通にインスタグラムとかしていて、ダイレクトメールで「読みました!」とか来るのかなと思ってましたけど、全くございません。

 あ、この前、仕事で行った仙台のテレビ局のアナウンサーが「本屋さんを3つまわったんですけど、どこも売り切れでした」と言ってくれたのはありましたね。

 ただ、今の売り上げ部数を聞いたら「なるほど…。あいつは気を遣って、ウソついたんやな」と思います(笑)。ま、もし万一、ウソやとしても、それは良いウソですよ。実際、機嫌良く仕事しましたから。それもホスピタリティーですわね(笑)。

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(撮影・中西正男)

■千原せいじ(ちはら・せいじ)

1970年1月25日生まれ。京都府出身。本名・千原靖史。NSC大阪校8期生。弟の千原ジュニア(当時は本名の千原浩史)と89年、コンビ結成。数々のスターを輩出した「心斎橋筋2丁目劇場」でエース格として活動し、東京に進出。ABCテレビ「世界の村で発見!こんなところに日本人」などで世界各国をめぐり、物おじしない性格でワールドワイドに交流を深める。著書「プロに訊いたら驚いた!ニッポンどうなん?」が発売中。経済学者や軍事アナリスト、カジノ研究者などの専門家に「結局、年金ってもらえるの?」「自衛隊のレベルは世界と比べてどうなん?」「日本人って、なんで成功した人を叩くん?」「カジノの何がダメなんですか?」といった自らが感じている素朴な疑問をぶつけ、日本の矛盾を問う内容。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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