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「ユヴェントスよ、信じろ!」 CL敗退危機も、カルチョのレジェンドたちが「逆転可能」

中村大晃カルチョ・ライター
2月20日、CLアトレティコ・マドリー戦でのC・ロナウド。第2戦で雪辱なるか(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

「ポジティブに考えて、信じよう」

クラブ公式チャンネルで、クリスティアーノ・ロナウドはサポーターにこう呼びかけた。

ユヴェントスは3月12日、チャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦セカンドレグに臨む。敵地でのファーストレグは、アトレティコ・マドリーに0-2と敗れた。堅固な守備を誇るディエゴ・シメオネのチームを相手に、2点差を挽回するのが困難を極めるのは、言うまでもない。

実際、初戦で0-2と敗れたチームが逆転したケースは少ない。『コッリエレ・デッロ・スポルト』は11日、過去20回で逆転は3回しかないことを伝えた。ただ、そのすべてが直近の出来事(2013年、14年、16年)であり、希望の兆しともつけ加えている。

◆求められる10点満点

『コッリエレ・デッロ・スポルト』は「10点満点のユーヴェが必要」とし、キーポイントを伝えた。

グループステージでボルシア・ドルトムントに0-4と敗れたのを例に挙げ、堅い守備のアトレティコでも負ける時は大敗もあると指摘。また、今季のCLアウェーゲームでは枠内シュート8本の2得点にとどまっており、カウンターの脅威を感じる必要はないとした。

ジエゴ・コスタやトーマス・パーテイ、リュカ・エルナンデス、フィリペ・ルイスと、アトレティコは出場停止や負傷でベストメンバーを組むことができない。その中で、今季のCLですでにマンチェスター・ユナイテッドやアヤックスが逆転劇を見せていることも励みになる。

また、『コッリエレ・デッロ・スポルト』は、ファーストレグの出来が今季最低クラスだったにもかかわらず、60分まで均衡を保っていたと指摘。そして、本拠地アリアンツ・スタジアムの後押しがあるセカンドレグでは、ファーストレグ以上のプレーができるはずだと期待を寄せた。

そのためには、マッシミリアーノ・アッレグリの戦略や、シメオネ率いるアトレティコに負けない闘争心が必須だ。シメオネはイタリア勢に5勝2分けで無敗と強く、1失点しか許していないが、『コッリエレ・デッロ・スポルト』は、いつかは初勝利が訪れるものとした。

そして何より、C・ロナウドの存在だ。今季はCLで1得点にとどまっており、ファーストレグでもアトレティコに抑えられたが、背番号7がキーマンなのは言うまでもない。

◆逆転を信じるレジェンドたち

『ガゼッタ・デッロ・スポルト』でも、イタリアサッカー界のレジェンドたちが、ユヴェントスの逆転は不可能ではないと述べた。

登場したのは、ブルーノ・コンティ、エヴァリスト・ベッカロッシ、ルイス・スアレス、ネヴィド・スカラ、デメトリオ・アルベルティーニ、ロベルト・ドナドーニ、ジャンルカ・パリュウカ、エルナン・クレスポ、アンドレア・カルネヴァーレ、ジュゼッペ・ジャンニーニの10名だ。

ベッカロッシは「信じることが大事」と述べ、アルベルティーニは、逆転可能であることこそが「サッカーの素晴らしさ」だと表現した。

1995年のカップウィナーズカップで、初戦を0-3と落としながらも逆転突破した経験を持つスカラは、「違いをつくるのはモチベーション」とコメント。ドナドーニも「技術より精神面、足より頭が重要」と指摘している。

心理的には、早い時間帯に得点がほしいところだ。コンティも「何より必要なのは忍耐」としながら、早く先制するのが重要になると話した。ただ、ドナドーニは、開始から一気に攻め立てるのは「非生産的になり得る」とし、「冷静を保つほうが有益なこともある」と、焦ってはいけないと助言する。

一方、スアレスは「こういう試合に勝つには、プレーの“キッチン”である中盤」とコメント。「できあがり加減をしっかりチェックし、サプライズのメインを用意して、試合をコントロール」しろと述べた。

キーマンは、前述のように、C・ロナウドだ。

パリュウカは「どんな状況でもチーム全体をけん引できる」特別な存在だと評し、カルネヴァーレは「誰よりもCLから敗退したくないのはC・ロナウド」とコメント。コンティは、ファーストレグでアトレティコのサポーターにプライドを刺激されたことが、C・ロナウドを正しく奮い立たせると期待した。

また、ジャンニーニは、C・ロナウドが重要なのは当然としたうえで、「こういう試合では決して間違わない」と、マリオ・マンジュキッチが決定的な存在になり得ると述べた。

◆準備は万端

『メディアセット』のアンケートでは、2万7000人を上回るユーザーのうち、54%と過半数が逆転できないと悲観的な見解を示している。

だが、クレスポはアリアンツ・スタジアムが「地獄」になるとコメント。「このグループでCLを制覇する最後のチャンスと分かっており、逃さないと思う」と、ユーヴェの逆転突破を予想した。

確かなのは、1996年以来となる悲願の欧州制覇を目指すユーヴェが、絶対にあきらめていないということだ。クラブは「GETREADY」のハッシュタグで、サポーターを盛り立てている。

アッレグリの進退にも影響すると言われる大一番は、間もなくキックオフだ。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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