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ハリケーン・ローラ「カテゴリー3」以上の勢力でアメリカ南部上陸か

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
フロリダ半島の東で渦を巻くハリケーン「ローラ」(出典: NASA)

2005年8月末、アメリカ南部に巨大なハリケーンが襲い、未曾有の被害をもたらしました。「カトリーナ」です。大規模な高潮と猛烈な風雨がルイジアナ州を襲い、死者は1,800人超に達しました。被害総額は1,000億ドル以上に及んで、全米のハリケーン史上最大の被害額となったのです。

あれから15年たった今、再びハリケーンの恐怖がアメリカ南部を襲っています。

「カテゴリー3」以上の勢力で上陸か

ローラの予想進路図 (出典: 国立ハリケーンセンター)
ローラの予想進路図 (出典: 国立ハリケーンセンター)

そのハリケーンとは、現在メキシコ湾で渦を巻いている「ローラ」です。現地時間26日(水)未明時点、中心気圧978hPa、最大風速45m/sの「カテゴリー2(上から4番目に強い)」の勢力となっています。

NOAA出典のメキシコ湾の海水温の図に筆者加筆 (24日)
NOAA出典のメキシコ湾の海水温の図に筆者加筆 (24日)

現在メキシコ湾の海水温は、平年よりも2℃も高い30℃以上となっていて、ハリケーンが発達しやすい状態です。

このためローラは、まもなく「カテゴリー4(上から2番目に強い)」へと発達する見込みです。予想されるハリケーンの中心付近の平均最大風速(1分平均)は59m/sで「猛烈な台風」に匹敵する強さです。

そしてカテゴリー3以上の勢力で27日(木)未明までにルイジアナ州とテキサス州の境界付近に上陸する可能性があります。もし進路がやや西にずれるようなことがあれば、200万人が住む大都市ヒューストンも直撃を受ける可能性があります。

予想される高潮

大雨、暴風、竜巻などに加え、非常に懸念されているのは高潮による被害です。上陸が満潮と重なった場合、最大で4.5メートルの危険な潮位が予想されているのです。

これがどれだけ危険かというと、ルイジアナ州やテキサス州の海岸線は、そのほとんどが海抜3メートル以下、特にルイジアナ州にいたっては、海抜0メートル以下の地域もあるほどです。きわめて深刻な高潮被害が出る可能性があります。

カトリーナ vs ローラ

上述のカトリーナと比べると、どちらが強いのでしょうか。

カトリーナは、ハリケーンの階級でもっとも強い「カテゴリ―5」の勢力で、アメリカ南部に接近しました。しかしルイジアナ州直撃時には「カテゴリー3」まで弱まっています。

ローラはカテゴリー3以上で上陸する予想が出ていることから、上陸時だけの強さで見ると、カトリーナと同じかそれ以上の強さで上陸することになります。

ルイジアナ州などでは、カトリーナを教訓に堤防の整備や防災の教育などハリケーンの対策が強化されてきました。しかし今年に限っては新型コロナの問題もあります。避難所への移動も非常に困難でしょう。どうか多くの人々が無事に避難をして、犠牲者が出ないことを願うばかりです。

※ハリケーンの情報を更新しました。

*追記(8/30)*

ローラは27日未明、最大風速67m/sの「カテゴリ―4」の勢力で、ルイジアナ州南西部のキャメロン付近に上陸した。これはカトリーナよりも強い勢力で、ルイジアナ州の観測史上1856年のハリケーンと並び史上最強となった。14名が死亡、テレビ局の鉄塔が折れたり、40万世帯が停電になる等、深刻な被害が発生した。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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