「新ロゴハンズ」1号店が名古屋でオープン。何が変わって何が変わらない?
ホームセンター大手・カインズグループになったハンズの1号店
「ハンズ名古屋松坂屋店」が11月2日、オープンしました。ホームセンター最大手のカインズが東急ハンズを買収すると報道されたのは、ちょうど1年ほど前。店名から「東急」の名前が外れて、「ハンズ」としてロゴも新たになった全国で最初の店舗となります。
東急ハンズは1号店の藤沢店(神奈川県)が1976年に開業。DIY(ドゥ・イット・ユアセルフ=自分でつくる・修理する)をコンセプトに幅広い生活雑貨を集めてファンを獲得し、現在に至るまで国内で80店舗以上を展開してきました。
名古屋では三重交通系列の三交クリエイティブ・ライフがフランチャイジーとなり、1986年に東急ハンズANNEX店が、2000年にはJRセントラルタワーズ内に東急ハンズ名古屋店が開業。今回オープンした「ハンズ名古屋松坂屋店」は、昨年10月に閉店したANNEX店の移転リニューアルと位置づけられます。
カインズグループ入りし、ロゴも新たになったハンズがどう変わるのか? 買収の発表以来、ファンにとっては大いに気になるこの疑問を、早速現地で確認することにしました。
売り場が1フロアに集約され広々とした印象
「ハンズ名古屋松坂屋店」は百貨店の松坂屋名古屋店南館の地下1階。ANNEX店がビルの5~8階だったのに比べると、広々とした印象です。1フロアになったことで買い回りがしやすくなる。あるいはジャンルごとにフロアが分かれていた旧店舗の方が商品を探しやすい。このあたりは意見が分かれそう。購入するものが明確に決まっている場合には旧店舗の構成は便利ですが、とりあえずあれこれ見てみたいという人は新店の方が楽しめるのではないでしょうか。
広く感じるのはフロア面積のせいだけではありません。通路幅がかなり広く、なおかつ商品を陳列する什器の高さも低いので、非常に見通しがよいのです。この高い視認性の効果で、ますますいろいろな商品を見てみたいと思わせられます。また、通路が広くなったために、これまでになかったカートが導入されているのもポイントです。
独自の視点で商品をピックアップするスポットが店内各所に
ハンズらしいこだわりの商品セレクトにふれられるコーナーも随所に見られます。各分野の中から特に専門性の高い商品をピックアップした「フカボリスポット」は店内の各所に。「よきもの」と銘打たれたコーナーは、さらにこだわりのモノづくりに着目した、「東急ハンズ名古屋店」のオリジナルコーナー「男の書斎」をピンポイントで抽出したようなコーナーです。
「KOMOREBI SPOT」(コモレビスポット)は店内に2か所ある休憩スポット。ベンチには販売中の機能クッションを置いてあったり、コスメグッズをお試しできたりと、ひと休みしながらも商品にふれられる場になっています。
特に目を引いたのが「a!ttention」(アテンション)というイベントコーナーです。「暮らしの中のとっておき」をテーマに、シーズンごとに多彩なブランドを名古屋松坂屋店のスタッフがセレクト。第1弾は「東海3県のモノづくり」と題し、愛知・岐阜・三重の小規模ながら丁寧なモノづくりをしている工房などの商品を集めています。ハンズらしいセレクト力に加えて、名古屋ならではの独自性も強く感じられる意欲的なコーナーです。
さらにハンズのPB商品の品ぞろえも熱く、こだわりや専門性の高いモノに出会える、という点ではハンズらしさは十分に感じられました。
一番の変化は“DIY無し”。各自のハンズ観が印象を左右
もちろん変わったところも。最も大きな変化はDIY系の商品がないこと。古くからのファン、コアユーザーはこれだけで寂しさを感じるかもしれません。
ただし、同店は百貨店内のテナント出店のため、従来のハンズより女性客が多いことが見込まれ、そんな客層に合わせたとも考えられます。
いずれにしても新しい「ハンズ」の第一歩は名古屋からスタートしました。もちろん「変わった」面もあれば「変わらない」ままの特徴もあり。「他にはないモノをあれこれ見つけられるのがハンズの魅力」「DIYがあってこそハンズだ」「スタッフが商品について詳しく頼りになる」…など、変化の度合いをどう感じるかは、それぞれが抱いている「ハンズ観」が基準になりそうです。
(写真撮影/すべて筆者)