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アメリカ合衆国では53%の人が政治面で対立する人と政治的な会話をするとイライラを感じる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 政治的な話では感情的な対立に発展してしまうことも多いが。(写真:アフロ)

他人との意見のやり取りは情報交換や新しい考え方を知ることができるなどの有意義な成果を得られることもあれば、価値観や視点の違いなどからストレスを感じさせる結果に終わることもある。主義などで対立する要素が多い政治関連の話では、対立構造が明確化している場合が多く、異なる考え方を持つ人同士の間で会話をすると、ストレスを覚えてしまうことも少なくない。今回はアメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerが2018年11月に発表した調査報告書「More Now Say It’s ‘Stressful’ to Discuss Politics With People They Disagree With」(※)を基に、同国の実情を確認する。

次に示すのはアメリカ合衆国の二大政党である民主党と共和党の支持者それぞれに対し、自分と異なる政治面での思惑(多分に民主党支持か共和党支持に区分される)を持つ人と政治的な会話をした際に、通常どのような感情を抱くか、「ストレス・イライラ」「興味深さ・有益さ」いずれかで選んでもらった結果。どちらか一方のみでしかないのは考えにくいが、通常はどちらの感情をより多く抱くことになるのかで選択してもらっている。なおトランプ現大統領は共和党、オバマ前大統領は民主党の所属。トランプ氏は2017年1月から大統領に就任している。

↑ 政治面で同意できない意見を持つ人との間で政治的な会話をした時に通常抱く感情(アメリカ合衆国、支持政党別)
↑ 政治面で同意できない意見を持つ人との間で政治的な会話をした時に通常抱く感情(アメリカ合衆国、支持政党別)

直近の2018年10月の時点ではストレスを感じる人が53%、興味深さを覚える人は45%。ネガティブな感情を抱く人の方が多い。同様の質問を行った2016年3月時点(オバマ前大統領の治世時代)と比べるとストレスを感じる人が増え、相対する選択肢における回答率の大小が逆転してしまっている。

これを支持政党別に見ると、共和党支持者は前政権下でも現政権下でも、政治面で同意できない人との間での政治的会話でストレスを覚える割合はほとんど変化が無い一方、民主党支持者は現政権下でストレスを覚える人が12%ポイントも増える形となり、ストレス派が興味深さを覚える派を上回ってしまっている。

要は、共和党支持者は自分の支持する政党の大統領の下でも支持しない政党の大統領の下でも、政治面で同意できない相手との間の政治的な会話で感じるストレスにはさほど違いは無いが、民主党支持者は自分の支持する政党の大統領下ではストレスを感じる人は少なく、支持しない政党の大統領下では多くの人がストレスを感じていることになる。

オバマ前大統領以前の大統領治世下での調査結果が無いため断言は早急な感はあるものの、共和党支持者よりも民主党支持者の方が、政治面での考えについて頑なさを持っているように見える。少なくとも現状では民主党支持者は共和党支持者よりも政治的対立をしている人との政治的な意見交換において、あまり愉快な思いをしていない、頑なな姿勢を示しているようではある。

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※More Now Say It’s ‘Stressful’ to Discuss Politics With People They Disagree With

直近分は2018年9月24日から10月7日にかけてアメリカ合衆国内に住む18歳以上の人に対してインターネット経由で実施されたもので、有効回答数は10683件。回答者は居住地に基づいたランダムな選別が行われ、該当者には手紙で確認を取り、インターネット環境が無い人には電話で確認を取り了承があった場合はインターネットへのアクセスができるよう、タブレット型端末が送付されている。以前の調査も同様の方法が用いられている。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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