校庭で政治の話をしよう。コンドームをどうぞ。ノルウェー高校の模擬選挙「選挙広場」とは?
ノルウェーでは選挙の年になると、「いつか投票するの日」のために、学校で政治家と一緒に政治を勉強し(社会科)、投票の練習をすることができる。
高校での「模擬選挙シーズン」では、各政党の青年部による「学校討論」が行われる。討論後は、校庭で「選挙広場」というものがオープンしている。
「選挙討論」の後の、「選挙広場」ってなに?
学校討論では、各青年部の代表の討論を「聞く」ことが中心。
右派左派の政策の違い、若者のための政策は何を掲げているのかを知り、意見が違う相手と「どう議論するのか」を学ぶことができる。
聞いているだけだと、自分の考えを言葉にしたくなったり、もっと直接質問したくなるものだ。
そこで、「選挙広場」では、各青年部の党員たち(生徒と同じ世代)が、学校の玄関や校庭などに政党のスタンドを立てる。
「政治のおしゃべり」空間が校内にできるのだ。
若者に人気!コンドームを無料配布
広場では若い世代が喜ぶものが無料配布されていて、コンドームや文房具、お菓子が目立つ。
ほとんどの政党でコンドームが無料配布されている。大人向けの市内の選挙小屋(スタンド)では、避妊用具はあまり見かけないので、学校という場所ならではの光景となる。
スウェーデンの政党の青年部も言っていたが、若い世代はコンドームの無料配布をとても喜ぶのだ。
若い世代が必要なものを無料配布、そこに党の価値観をどう練り込むか?
校内で政党に勧誘してもOK
会員を増やすことも青年部の狙いだ。ノルウェーでは政党の党員になることは日本よりも敷居が低い行為。
どこの政党でも、青年部の党員になれば、自動的に母党の党員としても登録される。
友達が政党スタンドに立っていることもある
党員の多くは10~20代で、学校の生徒自身が政治活動をしていることもある。「友達が政党スタンドにいた」ということは珍しくないのだ
政治と若い世代を近づける「若者向けの話題」
政党のパンフレットやシールを見ていると、現地で話題の「学校政策」や若い人が関心を持っている話題は何なのかを知ることができる。
政治がわかりやすく説明されるので、自分の考えも育てやすい、
青年部は、「若い世代と政治の間にある距離」を小さくするエキスパートだ。
「投票できるなら、したかった!」
選挙広場を歩いていたのは、おでこに地球の絵を描いていた高校生のガブリエルさん(17)。選挙討論の感想を聞いて見た。
ガブリエルさん「不公平だった!」
あぶみ「どうして?」
ガブリエルさん「だって、この学校はもともと左派寄りの学生ばかりが多い。右派が何を主張したって、どうせ生徒は同意しない。どの政党が模擬選挙で勝つか、そんなの、みんな分かっていたじゃないか」
ガブリエルさん「未成年だから今年は国政選挙で投票できないけれど、投票できるものならしたかった!緑の環境党にね」
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自分と同じ世代の党員が討論していて、対面で話すことができる。「政治」という世界のおもしろさに一歩を踏み出しやすい工夫が、学校選挙にはたくさん詰まっていた。