間も無くゴング! 26戦全勝24KOのウエルター級vs.元IBFスーパーライト級王者
SHOWTIMEでのオンエアが決まり、注目を集めるウエルター級戦のゴングまで、残すところ数時間となった。26戦全勝24KOと勢い付く23歳のジャロン・エニスは、前日計量を146.4パウンドでパスした。
対する16勝(12KO)1敗1分けの元IBFスーパーライト級王者、セルゲイ・リピネッツ(32)も、146.8パウンドの体を作った。
リピネッツは試合2日前のZoom会見で、こんな言葉を残した。
「パーフェクトな状態で、トレーニングキャンプを打ち上げた。簡単な作業ではなかったよ。しかし、かつてない厳しいものだったからこそ、100パーセントの自分でリングに上がれる。
私が不利だという人が多いが、誰に何を言われようと雑音は気にしない。自分の出来る限りの仕事をするだけだ。それに、エニスは若い」
古里のロシアに日本人が住んでおり、リピネッツは「侍」なるニックネームを授かっている。侍よろしく、口数が少なく、感情を表に出さない。
同会見で、私はエニスに質問した。
ーーーあなたの故郷であるペンシルバニア州フィラデルフィアからは、ジョー・フレージャー、ティム・ウィザスプーン、メルドリック・テーラー、バーナード・ホプキンスなど、数々の名王者が生まれました。そういう土地が、あなたに齎したものとは、何でしょう?
この会見では銀縁の丸い眼鏡をかけて登場し、大学生のような雰囲気を漂わせていたエニスは答えた。
「確かに、たくさんのグレイトチャンピオンが生まれ育った市だよね。彼らが築いた遺産が、今でもきちんと存在している。そういったものを継承していくのも、自分の目標なんだ。もっともっとフィラデルフィア出身の世界王者が生まれるだろう。もちろん、自分もその一員になりたいと思っている」
前座に組まれたIBFスーパーフライ級タイトルマッチ、王者ヘルウィン・アンカハスvs.挑戦者ジョナサン・ロドリゲス戦も、両者共にリミットを下回り、無事に行われる。
両者の対戦は当初、2019年11月に予定されていたが、挑戦者のビザ発給が遅れ、2020年4月に延期された。が、新型コロナウィルスの影響で再延期となる。今回、ようやく実現するが、ロドリゲスは一度目の計量で、0.4パウンド、オーバー。慌てて下着を脱ぎ、マスクも外してリミットいっぱいの115パウンドとなった。
アンカハスはチャンピオンらしく、114.8パウンドで一発OK。
ロドリゲスが見せた心の隙が、9度目の防衛戦となるアンカハスに対し、どのような影響を及ぼすかが見物だ。
また、WBAウエルター級タイトル挑戦者決定戦としてセミファイナルに組まれたエイマンタス・スタニオニスとトーマス・ドゥロルメとの一戦も興味深い。リオ五輪に出場し、プロ転向後は12戦全勝9KOのリトアニア人、スタニオニスは米国に移住して研鑽を積んでいる。
対するプエルトリカンのドゥロルメは、25勝(16KO)4敗1分けのプロ叩き上げ選手だ。
刻一刻とゴングが近付いている。今日のSHOWTIMEの興行は、かなり楽しめそうだ。