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保育園入園、都市部の「入園決定率」が低下?

普光院亜紀保育園を考える親の会アドバイザー/ジャーナリスト
(筆者撮影)

保育園等の保護者でつくる「保育園を考える親の会」は、10月31日に調査冊子「100都市保育力充実度チェック」2024年度版を発表しました(「保育園を考える親の会」ホームページ参照)。

この調査は、保育園を考える親の会が毎年行っているもので、首都圏の都心通勤圏の市区、全国の政令市の100の市区を対象に、保育施設の整備状況、入園難易度、園庭保有率、延長保育や障害児保育などの実施状況、保育士配置の基準、保育の質の確保策などについて回答してもらい、作成しています。

国の発表している待機児童数は、2018年以降、減少を続けており、実際、各地でも4月に0歳児クラスの定員に空きが出ている状況を見ても、認可保育園等に入りやすくなってきていることは確かです。

ただし、待機児童数は、実際に認可に申し込んで入園できなかった児童数から、さまざまな数字(認可外で待機している児童数その他)を差し引いて算出されているため、「待機児童数ゼロ」と宣言している自治体でも、認可に入園申請をして不承諾通知(保留通知)を受け取っている家庭は多数あることに気をつけなければなりません。

「100都市保育力充実度チェック」2024年度版では、「入園決定率」という数字を調べているのですが、これがこの2年かでわずかに低下傾向になっていることも気になります。

「入園決定率」は、認可保育園等(認定こども園、小規模保育、家庭的保育を含む)を希望して入園申請をした児童数と、実際に認可保育園等に入園できた児童数を聞き、申込者のうち何%が入園できたのかの割合を求めた数字です(各年度4月入園)。つまり、受験でいうところの「合格率」のようなものです。

下のグラフで見るとおり、2022年にピークがあり、その後、微減しています。

100の市区それぞれの数字を見ても、前年よりも低下した自治体が、前年度と比較可能な91市区のうち60市区(65.9%)に上っており、入園事情が厳しくなった地域が多かったことがわかります。

育休延長制度の利用が増加したため、入園を希望しない入園申請者が増えている*という指摘もありますが、育休延長者の増加は今に始まったことではなく、また延長した人も復帰の際には入園しなくてはならず、育休延長者の増加だけでは説明がつきません。

*育休延長の申請には、認可保育園等に入園できなかった証明が必要なため。

自治体からの声を聞くと、育休延長制度普及前なら0歳児クラスに申し込んでいた層が、育休延長して1歳児クラスに申し込むようになり、0歳児クラスには空きが出ているのに、1歳児クラスの競争率が上がってしまった園が多くあるということです。

入園申請の受付が始まる時期ですが、1歳児クラスでの入園が必要な人は、このような動きに注意する必要があります。このような調査結果をふまえ、「保育園を考える親の会」は、11月10日(日)午前に保活相談もできる無料イベントを開きます(ホームページ参照)。

保育園を考える親の会アドバイザー/ジャーナリスト

保育制度、保育の質の問題に詳しい。保育園を考える親の会アドバイザーとして、働く親同士の交流・情報交換の場を支え、保育に関する相談にも応じながら、ジャーナリストとして保育や両立に関する執筆・講演活動を行っている。大学講師(児童福祉・子育て支援)、国・自治体の委員会委員も務める。最新刊は「不適切保育はなぜ起こるのか」(岩波新書)。ほかに、『共働き子育て入門』(集英社)、『変わる保育園』(岩波書店)、『保育園のちから』(PHP研究所)、『共働きを成功させる5つの鉄則』(集英社)、『保育園は誰のもの』(岩波書店)、『後悔しない保育園・こども園の選び方』(ひとなる書房)など多数。

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