じわじわと広がる、今までとは違うクリスマスの過ごし方とは?
環境意識の高い北欧では、「ヴィーガン・ファッション」や「ヴィーガン・クリスマス」など、動物・地球・人にも優しいサステイナブルなライフスタイルが徐々に広まっている。
ノルウェーでは1年の中で、最も「みんなと毎年同じことを」をするのが12月だ。定番のクリスマス料理を食べ、同じようなテレビ番組を見て、プレゼントを交換する……。
家族や親せきなどに大量のプレゼントを購入する習慣があるため、「クリスマス・ショッピング」事態が楽しみでもあり、精神的・金銭的ストレスになるとも言われ始めた。必要ではないプレゼントももらうので、クリスマス後にお店に返品することさえ普通だ。
大量生産・大量消費は排出量の増加にもなるので、環境に良いとは言い難い。
クリスマス料理は、肉料理をお腹いっぱいに食べることになる。ベジタリアンやヴィーガンの暮らしをしている人にとっては、食生活が異なる家族との食事が、12月の悩みとなることも、現地ではニュースになり始めた。
- 「もっと地球負荷の少ないプレゼントはないものか?」
- 「ヴィーガンのクリスマス料理はないものか?」
そう思う人たちが年々増えてきて、「ヴィーガン・クリスマスマーケット」などが徐々に増えてきているのだ。
12月3週目の週末、首都オスロで開催された2つのイベントを取材した。
サランラップの代用品とは?
「環境派のための、もうひとつのクリスマスマーケット」は、若者を中心とする環境団体Spireが主催。
参加費が無料のワークショップでは、オーガニック・フードラップやエコラップともいわれる、蜜蝋(みつろう)のビーズワックスラップ作りが大人気だった。
洗って何度も使え、ゴミを減らし、プラスチックであるサランラップの代用品ともなる。持続可能な開発目標(SDGs)の実現例としても定番だが、お値段が高いのが悩みだ。
日本でもノルウェーでも、3000円は簡単に超えるので、興味はあるけど、手を出していない人は多い。
オスロは国連が選考する2019年の「欧州グリーン首都」だったため、エコなイベントを自治体が金銭的に援助していた。
そのため、参加費は無料で、ビーズワックスラップを自分で作るイベントが1年を通して各地で行われていた。初めて試してみて、その良さを知る市民も多かっただろう。ビーズワックスラップに関しては、このような自治体の援助も最初の導入時期には必要なのかもしれない。
ビーズワックスラップの簡単な作り方は、小さく丸い形となった蜜蝋をナチュラルショップなどで購入し、クッキングシートに布を広げ、アイロンで布の上にまいた蜜蝋を溶かし、乾かすだけ。
量り売り用のマイバッグは手作りできる?
もうひとつ、初めて参加して、「いいなぁ!」と思ったワークショップが「野菜や果物など、量り売り用のエコバッグ」だった。
スーパーなどで、野菜、果物、穀物などを量り売りで購入する場合、入れ物として、どうしても薄いプラスチックの透明袋を使うことがある。その代用品として、何度も使える小さいエコバッグが出始めている。
しかし、ノルウェーでは、マイバッグを持っている人はたくさんいるが、量り売り用の小型マイバッグまで持っている人は、まだ少ない。
その量り売り用バッグを手作りするテーブルがあったのだ。穴が開いている布に、自分で紐を通すという簡単な作業でできる。こちらも参加費無料。
エコなクリスマスプレゼントが、意外と簡単にできることを体験できる。
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さて、次に訪問したのは、「ヴィーガン・クリスマス祭」だ。環境に優しいクリスマスの祝い方は可能だとして、現地の公共局でも大きくニュースとなった。
動物性の肉やミルクは使わずに、おいしい料理を
植物性の代替肉を使ったクリスマスプレート。お皿やフォークなども、植物の葉や堆肥化可能なプラスチック素材で作られている。
ヴィーガンな生活用品を贈り物に?
プラスチックを避けにくいのが、化粧品やボディケア用品だ。容器がプラスチックであることが、どうしても多い。探すだけで
時間もエネルギーもかかる、プラスチックフリーの生活用品も売られていた。
ライフスタイルや価値観が異なる家族が集まるクリスマス時期は、小さな悩みも多くなる。
「楽しく、エコなクリスマスは可能だ」と体験できるこのような催しは、今後も増えていくのだろう。
Photo&Text: Asaki Abumi