和歌山箕島球友会が都市対抗野球の第1次予選突破! 穴田選手も奮闘中です
19日は、西宮市の大阪ガス今津総合グラウンドへ社会人野球の試合を見に行ってきました。いや~もうスタンドが寒くて寒くて…鳴尾浜より厳しかったかもしれません。なんせ冷たい強風が吹き抜けますからねえ。それでも何とか頑張って見た甲斐があり、もと小虎・穴田真規選手の所属する和歌山箕島球友会が勝って予選を突破しています。
行われたのは第85回都市対抗野球大会の大阪・和歌山第1次予選。都市対抗の本大会は7月ですが、その前にそれぞれの地区(近畿の場合は大阪・和歌山、兵庫、京都、滋賀、奈良)で、クラブチームや専門学校チームによる1次予選があります。そこで勝てば来月、今度は企業チームも参戦する『近畿地区第2次予選』に進出するというシステム。ただし京都、奈良、滋賀は2次予選の前に京滋奈予選を突破しなくてはなりません。
大阪・和歌山第1次予選は順当にクリア
和歌山箕島球友会は12日の初戦(2回戦)、大阪HDベースボールクラブに15対1で7回コールド勝ち。この時、穴田選手は途中出場ながらソロホームランを打っていました。ついで19日は準決勝、勝てば決勝と2試合連続。アマ野球ではごく普通のことなんですよね。
まず準決勝は履正社学園戦、11時プレーボールでした。先攻の和歌山箕島球友会は1回、いきなり1死満塁のチャンスを迎え穴田選手が先制のタイムリー!その後も打ちまくり、そこに相手守備の乱れもあって、6回にはなんと一挙12得点!最終的には18対1で7回コールド勝ちです。穴田選手はタイムリーのあと遊飛、三ゴロ失策、二ゴロ失策、空振り三振、最後は2死満塁で右飛でした。
13時57分から始まった決勝はNSBベースボールクラブとの対戦。1回1死一、三塁で4番の水田選手が先制のタイムリー。また一、三塁となって穴田選手は右犠飛!4回はタイムリーやエラーなどで3点を加えて、なおも1死一、二塁で穴田選手を迎えますが空振りの三振。6回の第3打席は1死二、三塁で8球粘るも…空振り三振。
本当に寒すぎたため決勝もコールドゲームを希望したんですが、そうはいかず。でもホームランで1点返されただけで5対1の勝利!和歌山箕島球友会が近畿地区第2次予選へ駒を進めました。「ここまではね。ピッチャーの頑張りもあって勝ってきたようなもの。まだこれからですよ。近畿地区予選が大事」と西川忠宏監督。昨年のクラブチームチャンピオンの箕島にとって1次突破は当然の結果、単なる通過点です。
出だしはよかったのに…
穴田選手については「彼もこれからです。ゲームにどんどん出て。プロに3年いても、そんなに試合は出られなかったでしょうしね。実戦経験が他の選手に比べてそう多くない」とのこと。確かに同年輩の社会人や大学の選手と“経験値”の差はあるかもしれませんね。今は試合に出られることが嬉しくて仕方ないと。「そうでしょう?これから、どんどん変わっていきますよ」と西川監督。
2試合で10打席に立ち、9打数1安打2打点という結果に「反省ばっかり」と穴田選手は悔しそうでした1打席目はチャンスで打ったのにねえ。「出だしは最高!きょうは6くらいするかと思いましたよ(笑)」。1試合目、大量リードしてからのフルスイングは1発狙い?「はい、狙っていましたけど集中力がちょっと…」。ダブルヘッダーは不向きなのかな。「いや、野球が向いてませんね」
すると間髪を入れず「向きまくり!」という声が。「野球にメッチャ向いてます」と言いながら笑うのは背番号9の甲斐大貴(かいひろき)内野手でした。穴田選手より入団は先ですが、年は1つ下。「向いていないどころか向きまくりでしょう。穴田さん、野球が大好きですよ。練習からそれが出ていますから。それに、おもしろいし優しいし、めちゃくちゃ面倒をよくみてくれる。野球も教えてくれます」と大絶賛。
チームメイトの穴田評
また「野球に対する姿勢とか、尊敬することばっかりですね。守備の時、グラウンドに穴を見つけるとすぐ埋めにいったり。細かいとこまで神経が行き届いています」と甲斐選手。そりゃ褒めすぎでしょう。細かいところに?行き届く?予想外の言葉が次々に、というのも失礼ですよね、この日はご両親も一緒に観戦させていただいたのに。すみません。
穴田選手のお父さんが試合中、スタンドに入ったファウルボールを投げ返そうとしたけど金網のフェンスをうまく越えなくて3回ほどやり直しました。試合後、息子に「1回で入れんとあかんやん!」と突っ込まれて苦笑いのお父さん。その場を去りながら甲斐選手に「兄です」と済まし顔で自己紹介したんですよ。甲斐選手が「えっ?」と振り向くとニヤニヤ。それを見て否定せずニヤニヤ笑っている穴田選手。「親子ですよ、親子」と甲斐選手には言っておきましたが、訂正するまでもなくソックリです!
穴田選手と一緒に入団した、背番号10の野田晃平外野手は同じ1993年生まれで、学年は1つ下。「入った時から結構仲良くて、練習も一緒にしています。バッティングのこととか、いろいろ教えてもらって。いい先輩ですよ」。穴田選手も「甲斐と一緒に写るのは嫌や~」なんて逃げていた写真撮影なのに、野田選手を見つけると「のだこうへい!」と呼びつけての2ショット。まあ結果的には両方とも楽しそうでしたけど。
近畿地区第2次予選は5月12日に組み合わせ抽選が行われ、15日スタート。その前に和歌山箕島球友会は社会人野球日本選手権対象大会である『JABAベーブルース杯大会』に出場します。これは5月2日から4日間、岐阜県の長良川球場と大垣北公園野球場での開催。予選の同じブロックは東芝、JFE西日本、そして昨年タイガースで一緒だった林啓介投手がいる西濃運輸という顔ぶれ。なかなか手ごわそうですね。
「頑張れよ、待ってるよ」と筒井コーチ
3月末にマツゲン有田球場でカナフレックス戦を見た時、いい守備をしていたと言ったら「やればできるんです。試合に出たらやれる。筒井コーチに聞いといてください」と答えた穴田選手。帰って阪神の筒井壮ファーム内野守備走塁コーチに伝えました。でも「ショートを守っていて背走しながらフライを…」まで聞いて「落とした?落としたんや。あいつはー!」と思いきり笑います。いやいや捕ったんですよ。
「そんなこと言っていましたか(笑)。その通りですよ。穴田はできる子です!頑張れよと言うといてください。またこの世界で一緒にやろうなって」
それは何よりも励みになる、嬉しい言葉。
「そのつもりでやっているはずですから。待ってるよって、伝えてください」
思わず涙が出そうになりました。
育成選手ゆえ、公式戦の遠征に参加できず鳴尾浜で残留することも多かった穴田選手。いつも同期の阪口選手と一緒に筒井コーチのノックを受け「あな!てつ!」とゲキを飛ばされていました。穴田選手のお父さんも「スタンドで見ていたら“お父さん、息子を何とかしてください”って言われたことがあります」と思い出し笑い。そんな筒井コーチのエールに応えられる活躍を、私も祈っています。