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PS5の世界累計販売数1000万台突破を考察 ニンテンドースイッチと比べると…

河村鳴紘サブカル専門ライター
家庭用ゲーム機「プレイステーション5」=SIE提供

 ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、家庭用ゲーム機「プレイステーション5」(2020年11月12日発売)の世界累計販売数が7月18日に1000万台を突破したと発表しました。同社のゲーム機では「史上最速」だそうですが、考察してみます。

◇「史上最速」も想定内

 前世代のゲーム機「PS4」(2013年11月15日発売)の世界累計販売数1000万台突破のタイミング(数値の計測)は8月9~10日でした(発表は8月13日)。PS4の発売時期は、PS5とほぼ同じタイミングの「11月」のため、時期で見るとPS5の方が約20日「早い」計算になります。

 とはいえPS5は、PS4を上回る出荷数で推移したことは、ソニーの決算発表で都度触れられてきました。従って「史上最速」も想定内、順当と言えます。

 そして、世界で1000万台も売れたのに、いまだに日本などで「高額転売」のターゲットになっていることに驚かされます。私の周囲で手に入れた人が増えましたが、それでも店舗で陳列されておらず、まだ手に入りにくい状況なのは確かです。

 要するに「史上最速」で売っても「転売を何とかしろ」「数を積み増せ」「努力が足りない」と言われるわけです。もちろん、PS5をいまだに買えないユーザーからすると当然の要求なのですが、その一方で同情してしまうのも確かです。世界の半導体が不足している状況からすると、計画を大きく上回る増産も難しいのが実情。今回の発表でも、社長のコメントでPS5の品不足について言及しており、気を配っていることがヒシヒシと伝わってきます。

◇スイッチの1000万台突破は?

 各社の決算で公開されるゲーム機の「出荷数」と、SIEが今回発表した『実際に店で売れた数』の「販売数」は、意味が違います。「出荷数>販売数」となるからですね。ですが、参考データとして、任天堂の家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」(2017年3月3日発売)のケースを考えてみましょう。

 スイッチの「世界累計出荷数」が1000万台に達したのは2017年9~12月のタイミングというのは、任天堂の決算から分かります。そこから数字の流れを見て、「世界累計販売数」を推測すると、発売から8カ月前後ではないでしょうか。そうであれば、PS5と概ね似たペースですね。人気のゲーム機は、発売から勢いよく売れるということでしょう。

 少しだけ先の話をしましょう。PS4の世界累計販売数の2000万台突破の発表ですが、2015年3月でした。当然PS5は、順当に売れ続ければそれを上回ることになります。決算の計画では来年3月の時点で、世界累計出荷数は2260万台になりますから、数字の「帳尻」は合う感じです。

 そして今回よりも詳細が出るであろう、ソニーグループの2021年度第1四半期決算の発表日は、8月4日になります。

サブカル専門ライター

ゲームやアニメ、マンガなどのサブカルを中心に約20年メディアで取材。兜倶楽部の決算会見に出席し、各イベントにも足を運び、クリエーターや経営者へのインタビューをこなしつつ、中古ゲーム訴訟や残虐ゲーム問題、果ては企業倒産なども……。2019年6月からフリー、ヤフーオーサーとして活動。2020年5月にヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞。マンガ大賞選考員。不定期でラジオ出演も。

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