現役夫婦世帯の持ち家率は79.5%…持ち家・賃貸住宅の割合をさぐる
![](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00085987/top_image.jpeg?exp=10800)
・二人以上世帯のうち勤労者世帯における持ち家率は79.5%(2017年)。年上ほど持ち家率は高くなる。
・逆に若年層ほど家賃や地代を支払っている世帯率は高くなる。29歳以下では56.3%。
・持ち家の人でも若年層ほど住宅ローンを支払い中の人は多い。
家計のお財布事情を推し量る指標の一つが住宅に関わる支払い。住まいが持ち家か賃貸か、持ち家ならばローン支払い中か否かで大きな違いが生じる。その実情を総務省統計局の調査の一つ「家計調査」の公開調査結果から確認する。
賃貸住宅の場合は毎月家賃の支払いがあり、更新時には家賃に加えて更新料の支払いが必要になる。一方持ち家の場合はローンを組んで購入すれば月々・ボーナス払いでのローン返済の負担がある。持ち家でも一括購入をしたり遺産などで取得した、あるいはローンを完済していればローンの負担は無いが、固定資産税や修繕費などが発生するため、負担がゼロでは無い(ただし同規模の場合、やはり家賃と比べれば負担は軽い)。
そこでまずは、世帯主の年齢階層別に見た持ち家率をグラフ化する。ローン完済組・支払い途中組を合わせた、単純な持ち家率。年金生活者などの状況を含めて確認する際には全世帯を対象に検証すべきではあるのだが、家計調査では「住宅ローン支払い世帯比率」が値として計上されているのは二人以上世帯のうち勤労者世帯(原則として現役夫婦世帯)のみ。そこでその世帯に限って精査を行う。つまり、例えば年金の受給と貯蓄の切り崩しで生活を営んでいるような年金生活世帯は対象外となる。
![↑ 世帯主の年齢階層別持ち家率(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別)(2017年)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00085987/image01.gif?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
若年層世帯の方が持ち家率は低い。世帯主が29歳以下の夫婦世帯では持ち家率は平均の半数に満たない。一方、定年退職後の70歳以上の世帯で多少持ち家率が落ちているが、これは資産を整理して子供などに譲渡し身軽になった上で、賃貸住宅などに住むケースが少なからずあることを意味する(勤労者世帯であることから、退職後に嘱託やアルバイトなどをしているのだろう)。
持ち家に居住していない世帯としては、親の住居に間借りする形で住む場合もあるが(親と同一世帯を構成している場合は今件精査対象にはならない)、多くは賃貸住宅での生活となる。家賃・地代を支払っている賃貸世帯の全体的な傾向としては当然、持ち家世帯とは正反対の形になる。
![↑ 家賃・地代を支払っている世帯率(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別)(2017年)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00085987/image02.gif?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
世帯主が29歳以下の勤労者夫婦世帯では半数以上が賃貸住宅に住んでいる。ところが50代以降になると賃貸住まい率は1割前後にまで減少する。高齢者になるとやや値が上がるのは上記の通り、手持ちの資産を売却した上での賃貸住まい組の増加によるものだろう。
さて肝心の「持ち家世帯で、ローンを支払い終えた・ローン支払いの必要が無い世帯の方が家計の負担が軽いのでは」の話。次のグラフは持ち家世帯のうち、ローンを支払い中の世帯と、支払い済み・支払い不必要世帯に分けた積上げ型の棒グラフ。結果としては世帯主の年齢が上がるほど、ローン返済の必要が無い・終えた持ち家世帯率が増えている。
![↑ 持ち家率(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別、住宅ローン状況別)(2017年)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00085987/image03.gif?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
世帯主の年齢階層別に、生活の苦しさ・楽さを見る際には単なる収入の額(可処分所得ではない)だけではなく、どのような住まいに住んでいるか、ローンの支払いは済んでいるのかも考慮しなければならない。住宅ローンの観点でも、やはり若年層世帯はふところ事情が厳しい、と判断せざるを得まい。
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