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自治会加入はライフライン

工藤啓認定特定非営利活動法人育て上げネット 理事長

今年度、地元自治会の班長になりました。推薦されたわけでも、選挙で当選したわけでもありません。持ち回りなので数年から十数年に一度担う役割です。(参考:立川市自治会連合会

ざっくりですが、任されたタスクは3あるようです。

1. 自治会費の徴収

基本的には昨年度自治会加入者より今年度の会費を徴収することですが、新規加入者のリクルーティングも兼ねているようです。営業先リストも、目標数もありません。新たに担当エリアに引っ越して来たひとや、加入希望を聞いたとき声をかけるくらいです。

2. 資源回収

基本的に毎月一度、ダンボールや古新聞、古紙などをトラックで回収、分別して業者に渡します。先日、第一回があったので参加してきました。

3. 回覧板を回す

こちらも毎月一回、会合が開かれる際に配布する資料をもらい、回覧板にはさんで回します。回覧先は決まっているため、どこかで自分のところへ戻ってきます(時折ミッシング案件になるとか)。会合に参加できなくても、誰に言えば資料がもらえるのかなど、予想外にきっちり仕組み化されています。

それに加え、夏祭りや歳末夜警があります。自治会費徴収は年間一回で、資源回収も班長だからといって強制でもなく、可能な限りお願いしますということでした。子連れもいたので、次回は子どもたちを連れて行きます(むしろ、年配の方に遊んでもらっていてよさそうでした)。その意味で、負担感が強いのは毎月の回覧板配布かもしれませんが、最初の世帯に回せば、どこかで自宅に戻ってくるはずです。

平成23年度立川市自治会加入率
平成23年度立川市自治会加入率

立川市自治会ハンドブックによれば平成23年度立川市自治会加入率は47.65%ですが、私が加入しているエリアは60%を超えていると聞きました。

引継ぎのための会議と、今年度最初の資源回収に参加して感じたのが「自治会参加はライフライン」になり得るということです。いまのエリアに引っ越してきてから自治会加入をしていますが、自治会活動に直接かかわるのは、自治会からもらう屋台で使える購入券を握り締め、子どもたちと夏祭りに行くくらいです。回覧板が回ってきますが、ほとんど見ることもなく次の世帯に届けてました。

しかし、資源回収のとき、地域を支えてきた年配の方々へ積極的に話しかけ、自治会活動に関するヒアリングをかけました。まず、ほとんどの活動の終了後には、食事やお酒が振舞われるということです。実際、資源回収が終れば、お昼の時間をまたいで宴が開かれました。好きなものを好きなだけ食べ、お酒でもジュースでも飲みたいものを飲みます。出入りも自由なので、さっと食べて変えることもできます。多くの場合はかなり余るようで、残り物を持って帰ることも可能です。

食べ放題、飲み放題、残り物は持ち帰ることができる。さっさと帰宅もできますし、周囲とのコミュニケーションを楽しむことも自分次第です。自治会によりますが年会費が数千円と考えればコスパは高いです。子どもを連れて行くこともできますし、家族で参加されているひとたちもいました。

今回は様子見として子どもたちを連れて行きませんでしたが、他の子連れ班長を見ると、もともと近隣住民の集合体ですが、老若男女多くの参加者に可愛がってもらえます。年配の方は孫のように接してくれ、同世代とは情報交換ができます。保育園や地元小学校、中学校の話はかなり将来の参考になりました。その上で、名前はともかく子どもたちの顔が地域のひとたちにインプットされます。子どもたちを四六時中見られるわけもなく、近隣住民に顔を知ってもらっているというのは安心、安全の面からも、自治会(や地域の集まり)加入者という枠組み以外で、あれだけの人数、地元のひとたちと関係性を作ろうとすれば結構なコストが必要になるのかもしれません。

途中で帰らなければならなかったため、その旨を告げると役員の方に「ちょっと来て」と呼ばれたため、怒られるのではないかと不安になっていたところ、「はい、お疲れさま」と洗剤をもらいました。別の方に聞いたところ、いろいろな自治会イベントで余る物品があるようで、会合参加者に振舞われるようです。

班長になっても実際の稼動時間は少なく、活動に参加をすれば食事や飲み物、物品の提供が受けられます(役員や班長でなくても活動に参加すれば同じです)。祖父母や子どもがいれば、安心や安全のためのソーシャルキャピタルを獲得することができます。

これは役員の方から聞いたことで、実際に本当なのかはわかりませんが、自治会加入をしているとと災害などがあったとき、行政経由の支援(配給など)が名簿確認をしてちゃんと受けられるということでした。自治会は任意組織とはいえ、行政との結びつきが強く(法人だと社会福祉協議会などのレベルだそうです)、該当エリアの住民情報(名簿)を押さえているのは自治会等ということで、確実に物資など必要なものを届けるためのパスになっており、それだけでも加入の価値があるとおっしゃっていました。確かに、市役所が機能しないような状況に陥ったとき、住民が住民であることを確認できるひとつの手段として自治会名簿が機能し得るのは説得力がありました。

年間数千円とは言え、その資金を支払うことが難しい家庭の場合はどうするのかと思ったのですが、自治会ごとに定められた会則によって免除などもできるようです。自分の所属する自治会にも確認をしようと思います。

町内会の規約によって規約に生活保護者の免除等のことが記載されていれば町内会費の免除対象になりますが町内会に入るには任意になりますので

入りたくなかったら入らなくても良いです。

出典:YAHOO!JAPAN知恵袋「生活保護家庭から町内会費を徴収していいものでしょうか?」

認定特定非営利活動法人育て上げネット 理事長

1977年、東京都生まれ。成城大学中退後、渡米。Bellevue Community Colleage卒業。「すべての若者が社会的所属を獲得し、働くと働き続けるを実現できる社会」を目指し、2004年NPO法人育て上げネット設立、現在に至る。内閣府、厚労省、文科省など委員歴任。著書に『NPOで働く』(東洋経済新報社)、『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『若年無業者白書-その実態と社会経済構造分析』(バリューブックス)『無業社会-働くことができない若者たちの未来』(朝日新書)など。

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