吠える飼い犬を「お仕置き」と言って角材で殴打… 「しつけ」と「虐待」の違いを考える
神奈川で11年間にわたり飼い主(70代)A氏から角材などで殴られるなどの虐待を受けていた柴犬が、保護されました。
今日は、動物の「しつけ」と「虐待」の違いを知るために、その犬を保護した中日のコーチ・門倉健さん一家の素晴らしさとはなにかも踏まえて、一緒に考えてみましょう。まずは、この柴犬は、どのような状態だったのかを見ていきましょう。
保護される前の柴犬の様子
中日コーチ門倉健が保護 飼い犬を角材で「11年間虐待疑惑」画像より
要約すると、この柴犬は、A氏の庭で飼われていました。その犬は、外から様子が見える位置にいたので、A氏は柴犬がほえると近所に迷惑だと思い角材で殴っていたそうです。さらにクワで脅かしたり、ムチで叩いたりなどの虐待行為が日常的に行われて、11年間続いたそうです。近所の人が、その様子を動画で録画して警察に提出したので、A氏宅に捜査が入りました。
犬好きの人からみれば、なぜA氏が日常的にこのような虐待をしていたのか、よくわかりませんね。それでは、A氏の言い分をもう少し見ていきましょう。
なぜ、A氏は柴犬を角材で叩いたのか?
【独自】角材で飼い犬殴る男性に直撃 虐待に「わたしはそうは思わない」より
A氏は、70代で古い人間なので、ほえるなどの行為は、近所に迷惑になると思い、角材で殴っただけで、「なんら虐待ではない」と言っています。自分の犬のしつけのため、お仕置きのつもりでやったのに、何が問題だと言いたいのでしょう。
人さまの犬を殴ったわけではなく、自分の飼い犬なのだから、とやかく言われたくないとA氏は思っているのでしょうね。
ほえるというちゃんとした理由があるのだから、納得がいかないのでしょう。
A氏を擁護するつもりはないですが、外で柴犬を飼って11歳まで生きているのでフィラリア症の予防などはしっかりされていたのでしょう(その薬を飲んでいないと、数年で亡くなっていますから)。おそらく、餌も与えていたことでしょう。A氏なりのかわいがりかただったのかもしれませんし、愛情表現がよくわからないのでしょう。それでは、何が問題かを見ていきましょう。
自分の飼い犬を殴って何が問題なのか?
動物にも動物の権利があります。動物愛護法で守られているのです。愛護動物を虐待や捨てる(遺棄する)ことは犯罪です。ら2019年6月に動物愛護法が改正され、罰則は厳しくなりました。具体的に説明すると、以下が違法行為です。
・愛護動物をみだりに殺したり傷つけたりする
・愛護動物に対し、みだりに身体に外傷を生ずるおそれのある暴行を加える
・餌や水を与えずに酷使するなどにより衰弱させる
・愛護動物を遺棄する
動物虐待とは、動物を不必要に苦しめる行為のことをいいます。
正当な理由なく動物を殺したり傷つけたりする積極的な行為だけでなく、消極的な行為も虐待になります。いわゆるネグレクトと呼ばれる行為も含まれます。具体的には以下です。
・必要な世話をしない
・ケガや病気の治療をせずに放置する
・充分な餌や水を与えない
このような動物愛護法があることをA氏が知らなかったかもしれません。
動物虐待と幼児虐待は、似ている?
動物虐待と幼児虐待は、似ているところもあると、言われています。幼児虐待のニュースを見ると、親は「しつけのために」子どもに食べさせない、子どもを一晩中ベランダに出したというような話をニュースで耳にします。
動物も「しつけ」と「虐待」は違います。この判断は、飼い主の判断に委ねるところになります。
常習的に飼い犬に暴力をふるうと動物虐待になり動物愛護法に違反する疑いがあるのです。
飼い主は、動物にも動物の権利があることをよく知って、飼育してもらいたいです。
中日のコーチ・門倉健さん一家の凄さ
虐待を受けていたその柴犬は、中日のコーチも務める門倉健さんの一家に一時的に引き取られ、ポン太ちゃんと名付けられて幸せに暮らしているそうで、本当によかったです。洋犬ではなく、柴犬は日本犬なので、なかなか難しいのです。
・飼い主には懐くけれど、他の人には懐くのに時間がいる
・シャンプーが嫌い
・虐待されていた子は、心を開くのに、時間がかかる
上記の理由がありますが、門倉家では、預かったときは、ずっとシャンプーをされていなかったので、ニオイがしたそうですが、きれいにされていい子になっているそうです。
犬は話すことはできないですが、瞬時にこの家は、虐待がないとわかって、だんだんと心を開いていったのでしょう。
今後、あらたな里親を探すそうですが、ポン太ちゃんは、11歳で高齢なのでこれから病気もしやすい年齢ですが、おだやかなシニア期を過ごしてほしいです。
まとめ
動物虐待には、体を叩いたり蹴ったりする「身体的虐待」、他にも「心理的虐待」「性的虐待」「ネグレクト」があります。
「虐待」は飼い主が自分の感情にまかせて動物をコントロールしようとすることです。犬と暮らしているとイライラしてしまうのは特別なことではなく、よくありますよね。
自分なりに気持ちを切り替えて、動物は動物愛護法というものがあり、むやみに叩いたりする行為は、違法だと知ってほしいです。たとえしつけのためでも。