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『鎂』『氦』『砷』――なんて読む?【記者も知らなかった漢字】

コティマムフリー記者(元テレビ局芸能記者)

 突然ですが、この漢字、読めますか?――『鎂』。

「金(かねへん)に美しい」と書くこの漢字。筆者は初めて目にしたのですが、この漢字に出会ったのは、とある取材先でした。

 それは、茨城県古河市にある株式会社宮本製作所。会社の入り口でこの漢字に出会ったのです。

宮本製作所外観:筆者撮影
宮本製作所外観:筆者撮影

 宮本製作所といえば、『洗たくマグちゃん』という洗濯補助用品が代表商品です。もしかしたらお使いの方もいらっしゃるかもしれませんが、『洗たくマグちゃん』はメッシュ生地の中に高純度のマグネシウムが入っています。

洗たくマグちゃん:筆者撮影
洗たくマグちゃん:筆者撮影

 このマグちゃんを洗濯機に入れることで、洗濯に使用する水と高純度マグネシウムが反応し、水道水が弱アルカリ性に変化。マグちゃんだけでお洗濯ができるのです(もちろん、洗剤との併用も可能です)。洗って干すことで約300回繰り返し使えることや、洗濯排水汚染の軽減も目指せることから、サステナビリティやエコの観点から宮本製作所の取り組みを取材に行きました。

洗たくマグちゃんシリーズ:筆者撮影
洗たくマグちゃんシリーズ:筆者撮影

 ――はい。今、さりげなく答えを書いてしまったのですが、『鎂』という漢字は、この一文字で『マグネシウム』と読むのです。恥ずかしながら筆者は、この日『鎂』という漢字を目にするまで、『マグネシウム』が漢字表記できることを知りませんでした。

メッシュ生地の中に入っている鎂(マグネシウム):筆者撮影
メッシュ生地の中に入っている鎂(マグネシウム):筆者撮影

 この記事では、執筆記事1万本以上、取材経験5000回以上の元テレビ局芸能記者で現・フリー記者のコティマムが、『ニュース記事に使われている何気ない言葉』を解説。今回はちょっと趣向を変えて、取材現場で出会った珍しい漢字から、元素漢字の一部をご紹介します。(構成・文=コティマム)

マグネシウム加工中の“偶然”から生まれた洗たくマグちゃん

ザ・マグネシウム:筆者撮影
ザ・マグネシウム:筆者撮影

 ちなみに、『鎂』という漢字が使われているこちらの写真↑写真提供:宮本製作所の箱は、『ザ・マグネシウム』という商品。

 宮本製作所のオフィスの入り口には、商品や賞状などが飾ってある棚があり、そこに『ザ・マグネシウム』も展示してありました。『鎂』という珍しい文字が飛び込んで来たのでお話を伺ったところ、『ザ・マグネシウム』は洗濯に使うものではなく、なんと入浴雑貨でした。

写真提供:宮本製作所
写真提供:宮本製作所

 メッシュ生地に約1000gの高純度マグネシウムが入っており、湯船に入れて使います。弱アルカリ性のお湯でお風呂タイムを楽しめるそうです。『マグネシウム』は必須ミネラルなので、入浴にも相性がいいのかもしれませんね。

写真提供:宮本製作所
写真提供:宮本製作所

 今回、マグネシウムを加工する工場も見学させていただいたのですが、人生で初めてこんなにたくさんの『マグネシウム』を目にしました。

マグネシウムの塊:筆者撮影
マグネシウムの塊:筆者撮影

 宮本製作所はもともと、“下請けの町工場”が原点。自動車部品の下請けとして、マグネシウムや鉄の加工をしていました。

宮本製作所オフィス:筆者撮影
宮本製作所オフィス:筆者撮影

 その作業の中で、マグネシウムの削りカスをドラム缶の中に入れておいたところ、ドラム缶に雨水が溜まっていきました。すると、「マグネシウムの削りカスが入ったドラム缶」と、「鉄くずが入ったドラム缶」では“汚れ具合”が違うことに従業員が気づいたそうです。

マグネシウムの削りカス:筆者撮影
マグネシウムの削りカス:筆者撮影

「マグネシウムの方はボウフラがわいていない」「雨水なのに油汚れが落ちている」ということに気づき、二代目の現代表である宮本隆氏が『洗たくマグちゃん』を立ち上げました。現在ではマグネシウム加工、洗たくマグちゃん、コインランドリー向け装置の3事業を展開しています。

洗たくマグちゃんシリーズ:筆者撮影
洗たくマグちゃんシリーズ:筆者撮影

 お洗濯が「マグネシウムと水だけ」で完結し繰り返し使えるため、洗剤や柔軟剤の香りが苦手な方や、環境に配慮したい方には使いやすいアイテムといえます。また洗剤を使ってお洗濯したい方にとっても、洗剤と併用することで洗浄率がアップします。

『鍺』や『砷』――他にもたくさんある元素漢字

 さて、今回『鎂』という漢字を目にしたことで、「他にも珍しい漢字があるのでは?」と思った筆者。『マグネシウム』は元素なので、元素の漢字表記を調べてみました。

 すると、化学の時間に覚えた元素表「スイヘーリーベー……」の118種類の元素名のすべてが、漢字で表記できるものでした。ただ、これは中国圏の表記が漢字一文字で表すもので、日本の元素表は片仮名で表記されます。

出典:フォトAC
出典:フォトAC

 元素の属性によって部首が変わり、金属の元素には「金(かねへん)」、常温で気体の元素気体には「きがまえ(気の上の部分)」、常温で固体・非金属の元素には「石(いしへん)」、常温で液体の元素には「さんずい(海の左側)」がつきます。

アインスタイニウム
アインスタイニウム

『マグネシウム』と同じ金属の元素では、ナトリウムが「金+内」で『鈉』チタンは「金+太」で『鈦』ゲルマニウムは「金+者」で『鍺』などなど。「金(かねへん)」と合わせることで93種類の漢字がありました。

 見た目がかわいいなと思ったのは『金+愛』で『鑀』の『アインスタイニウム』。“アイ”にかけているのでしょうか。ちなみに筆者は高校時代に化学の模試が16点だった超文系人間なので、『アインスタイニウム』がなんなのかさっぱり分かりません。

ラドン
ラドン

「きがまえ」の元素は、12種類。「スイヘーリーベー…」の一番目の『水素』は『氢』と書きます。続く『ヘー』の『ヘリウム』は、「きがまえ+亥」で『氦』。フッ素は「きがまえ+沸の右側」で『氟』「きがまえ+冬」の『氡』は『ラドン』など、珍しい漢字がありました。

アスタチン
アスタチン

「石(いしへん)」がつく非金属の元素は11種類。『ヒ素』が「石+申」で『砷』、ヨウ素が「石+典」で『碘』、その他に「石+厄」の『砈』で『アスタチン』「石+田」の『鿬』で『テネシン』などがありました。

 液体の元素は2つ。『臭素』は「さんずい+臭」で『溴』と表していましたが、水銀は「さんずい」では表しておらず、「工+水」で『汞』と書いていました。

 どんなに長い名前でも漢字一文字で表せるって、面白いですね。

まとめ

 今回調べた元素の漢字は中国圏での表記なので、日本で使用することは滅多にないでしょう。ただ今回、宮本製作所を取材したことで『鎂』という漢字を知り、新たな言葉の発見をすることができました。

ザ・マグネシウム:筆者撮影
ザ・マグネシウム:筆者撮影

 こちらの記事では言葉の側面から『マグネシウム』を取り上げましたが、宮本製作所での取材の様子や取り組みは、筆者のブログ【洗たくマグちゃんを取材してきました!驚きのマグネシウム】に詳しく掲載していますので、よろしければご覧ください。

 言葉に関する記事については、「『あの日は空が真っ赤だった』――夕焼けの色、どう表す?」もご覧ください。

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※今回の記事は、宮本製作所さまに掲載の許可と原稿確認をいただいた上で公開しています。取材時に『洗たくマグちゃん』の商品の一部を提供していただいています。本記事制作にあたって はガイドラインに基づき公平中立に制作しています。

フリー記者(元テレビ局芸能記者)

元テレビ局芸能記者で、現・フリーランス記者。歌舞伎や舞台、芸能イベント、企業・経営者を取材中。記者目線ならではの“言葉のお話”や、個人的に取材したおもしろ情報を発信していきます♪執筆記事1万本以上。取材は5200回以上。現在は『ENCOUNT』、小学館『DIME WELLBEING』、舞台評、企業HP制作など多岐に渡り執筆中。過去媒体にテレ朝ニュース、キャリコネニュース、音楽雑誌『bounce』など。24年11月に合同会社パラレルコネクトの設立メンバーに。メディアやインフルエンサーと企業をつなぐサポートもしています!

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