「高齢ドライバー」って、そもそも 何歳以上をさすのか知っていますか?
今朝も高齢ドライバーによる事故のニュースが相次いで報道されていました。
日テレNEWSによれば、10日午後6時前、鹿児島県指宿市のトンネル内で83歳の女性が運転する軽乗用車がセンターラインをはみ出し、対向してきた軽乗用車と正面衝突。この女性と助手席に乗っていた夫(89)が死亡、後部座席に乗っていた女性(83)は両足の骨を折るなどの重傷を負いました。
対向車を運転していた男性(32)に今のところ大きなけががなかったことは幸いでしたが、もし対向車がバイクや自転車だったら大変なことになっていたでしょう。
私自身もバイクに乗ります。トンネルの中は特に逃げ場がないので、対向車がいる場合は運を天に任せるしかない恐ろしさがあります。
また、10日午後4時ごろには、埼玉県狭山市の交差点で、横断歩道を渡っていた小学生の列に乗用車が突っ込み、4人が軽傷を負うという事故も起こっています。
時事通信社の報道によると、自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)容疑で現行犯逮捕された女性(65)は、「太陽がまぶしくて、前がよく見えない状態だった」と供述しているそうです。
いずれの事故も、最低限の交通ルールが守られておらず、被害者側にとっては防ぐことが難しい事案です。
先日、『【高齢ドライバーの重大事故】原因は「運転操作不適」』にも書きましたが、高齢ドライバーの中に一定の割合で、運転操作が正しく行えない人がもしいるとすれば、どう対処してよいのか……、深刻な問題と言えるでしょう。
「高齢ドライバー」の定義は65歳以上
ところで、「高齢ドライバー」とはいったい何歳以上の人をさすのか、みなさんはご存じですか?
最近、私の身近な人たちにその質問を投げかけてみたところ、「70歳以上?」「75歳以上?」「いや、還暦過ぎたら高齢者でしょ?」など、意外にも答えがバラバラでした。ここで一度整理してみたいと思います。
実は、警察庁がまとめている交通事故統計では、高齢運転者を65歳以上と定義づけて数字をカウントしています。厚生労働省も高齢者を65歳以上と定めていますが、それと同じですね。
ただ、ちょっとややこしいのは、「もみじマーク」、つまり高齢運転者標識や、免許更新時の高齢者講習を受けなければならないドライバーの年齢との関係です。
「もみじマーク」は70歳以上の努力義務
もみじマーク(高齢運転者標識)は、70歳以上の高齢者が車を運転するとき、車の前後に付ける運転者標識です。
これは、今から21年前、1997年10月30日の道路交通法改正により、75歳以上を対象とした努力義務規定の標識として導入されました(つまり、高齢者事故の問題は今に始まったことではないということです)。
当時は「枯葉マーク」などと呼ばれ、批判を浴びたこともありましたね。
その後、マークのデザインをはじめ、対象年齢や表示義務に関する法律がコロコロと変わりました。
ここまでの経緯に関する詳細は省きますが、現在は、
70歳以上の高齢運転者が普通自動車を運転するときは、その車の前と後ろの定められた位置に高齢者マークを付けるようにしましょう。(*地上0.4メートル以上1.2メートル以下の位置に前方又は後方から見やすいように表示するものとする)
ということになっています。
もみじマークを付けた車を見かけたら、周囲の車はその車を保護する義務があり、無理な幅寄せや割り込みなどの行為は行なってはならないことになっています。
これは初心者マークの車への対応と同じで、「初心運転者等保護義務違反」に問われるので、気を付けてください。
ちなみに、反則金や処分点数は以下の通りです。
● 反則金
大型車(中型車を含む) 7,000円 普通車・二輪車6,000円 小型特殊 5,000円
● 行政処分点数 1点
高齢者講習前の認知機能検査は75歳から
高齢者の運転免許証更新については、昨年2017年3月12日に規定が変わり、さらに高度化されましたので、この点についても最新情報を確認しておくことが必要です。
警察庁のHPには、『運転免許証の更新期間が満了する日の年齢が75歳以上のドライバーは、高齢者講習の前に認知機能検査を受けなければならない』と、明記されています。
また、75歳以上の運転者が、信号無視、通行区分違反、一時不停止などの違反行為をしたときには、『臨時認知機能検査』を受けなければならないという新たな決まりも導入されました。
やむを得ない理由がないにもかかわらず、こうした検査を受けなかったり、医師の診断書の提出命令に従わなかった場合は、免許取り消しや停止となります。
というわけで、なにげなく使用する「高齢ドライバー」という言葉ですが、以上のように、
●警察統計では 65歳以上~
●もみじマークは 70歳以上~
●免許更新時の認知機能検査は 75歳以上~
と、その内容によって、年齢のレベルはさまざまであることを覚えておきましょう。
ただ、老化現象は年齢で簡単に区切ることはできず、個人差があります。
冒頭で紹介した2つ目の事故の場合、65歳の女性は「太陽がまぶしくて、前がよく見えない状態だった」と供述していました。
一般論ではありますが、老眼や白内障の影響で人一倍まぶしさを感じる人は多く、すでに40~50代から自分でも気づかぬうちに症状が出ている人も多いそうです。
まだ大丈夫だと思っていても、知らず知らずのうちに車の運転に影響が出ているかもしれません。年齢にとらわれず、運転能力に支障が出ていないかどうか、客観的にチェックすることが大切です。