脱ぎ履きしやすい!おしゃれも忘れない!介護用の靴選びのコツ
![](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/dk/expert-image/pipi/article/00626078/top_1699080055504.jpeg?exp=10800)
田舎の民間病院で理学療法士として勤務しているぴぴです。
みなさまにひとつでもためになるような知識や情報をお届けしていきたいと思います。
今月のテーマ11月11日介護の日にちなんで「介護便利グッズ」です。
病院や施設で実際にスタッフが使っている便利な介護グッズや、障害のある方にも使いやすく工夫された福祉用具をご紹介します。
今日の「介護便利グッズ」
本日ご紹介するのは「靴」です。
わたしが介護用品として靴選びのお手伝いをするとき
・使用する人が自分で着脱しやすい
・介護する人が履かせやすい
・脱げにくい
・身体の変化に応じてある程度サイズを調節できる
の4点を意識しています。
今日は介護する人・される人どちらもが脱ぎ履きしやすい靴について、順番に解説していきます。
使用する人が自分で着脱しやすい
麻痺などで片手しか使えない状況だと、今まで何の問題もなく履けていた靴に履きづらさを感じることがあります。
介護用品として販売されている靴は、履き口がマジックテープで固定するタイプのものが多く、踵の部分に輪がついています。
まず履き口が広いと何がいいのか。
履き口につま先を入れ込むところまでは、片手が不自由だったり、足が動かしづらいという状況でもどうにかできることが多いのですが、踵が靴に納まる前に引っ掛かってしまうことがあります。
履き口が広くとってあることで、足の甲まですっと靴の中に納められるため、最後に踵を納める動作がとても楽にできます。
また、踵に輪がついた靴は、輪に指を引っ掛けることで、最後に踵を靴の中に納めるときにすぽっと履けるようになるのでおすすめです。
輪が小さくて指が引っ掛けられない場合でも、紐を結んで指を引っ掛けやすくするなどの工夫をすることもあります。
![徳武産業株式会社ホームページより](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/dk/expert-image/pipi/article/00626078/internal_1699064506532.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
介護する人が履かせやすい
靴を履く人が自分で履くことができない場合には、誰かが着脱のお手伝いをする必要があります。
外出のたびに足元にしゃがみ込んで靴を履くお手伝いをするわけですから、少しでも短い時間で簡単に着脱できるものがいいですよね。
こちらも、使用する人ご本人の着脱しやすさと同様、履き口が広い靴の方がスムーズに着脱できますよ。
![30代半ばのわたしですらしゃがんで靴の着脱介助つらいときがあるので、老々介護のケースでは地味にしんどい介護ランキング上位に入りそうな気がします](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/dk/expert-image/pipi/article/00626078/internal_1699064807730.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
脱げにくい
サイズの合っていない靴は使用中に脱げてしまうことがあります。歩いている途中で脱げてしまうと転んでしまうというリスクにもつながり、非常に危険です。
また、サイズが合っていないことで靴擦れを起こすこともあります。ケガの治りが悪くなる傾向にある疾患を持つ方や血液循環の悪い方の場合は、足先という全身の中でも血流の悪くなりやすい場所のけがが原因で感染症を起こすといった危険性もあります。
一般的な靴選びと同様に、つま先の部分に少しゆとりがあり、親指や小指の付け根が靴で圧迫されないものを選択しましょう。
身体の変化に応じてある程度サイズを調節できる
高齢者は急な体調の変化に伴って足が浮腫んでしまうなど、身体の変化が起こることがあります。疾患の種類によっては片足だけ過度にむくんでしまうということもあります。
![足がむくんで、ひどい場合には水風船のように膨らんでしまう方もいます](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/dk/expert-image/pipi/article/00626078/internal_1699064133764.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
ジッパーで履き口を閉めるタイプの靴だと微調整が難しいのですが、甲の部分がマジックテープで調節できるタイプのものは足がむくんでいるときは緩め、むくみのない日はしっかり閉めるといった調整が可能です。また、片足だけむくんでしまうというような左右差への対応も可能です。
足の冷えが気になって、冬場は靴下を重ねたり、厚手の靴下を履くという方も、ベルトの閉め具合の調節をすることで、靴の窮屈さを感じることが少なくなるようです。
靴そのもののサイズは変更できませんが、履き口の閉め具合を調整できることでフィット感がかなり変わります。
おすすめの靴
![徳武産業株式会社 ホームページより](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/dk/expert-image/pipi/article/00626078/internal_1699064615882.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
マジックテープ式で、履き口が広く、履く人も履かせる人もとても扱いやすい靴です。
また、カラーバリエーションが豊富なので、おしゃれが大好きな高齢者の方にも好みの色が見つけやすいです。
![徳武産業株式会社ホームページより こんなにたくさんの色から選べます](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/dk/expert-image/pipi/article/00626078/internal_1699080391429.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
足の甲のところについているマジックテープ、最初は用途がわからなかったのですが、入職2年目くらいでようやくわかりました。
靴を履くときに履き口はガバッと開くのですが、履くときに調節ベルトが靴の中に入り込んだりして扱いづらいという患者さんがいたのです。
ベルトの端っこを足の甲の部分にペタッとくっつけておけば履き口の邪魔をすることもなく、片手でも操作しやすいですよ。
![足の甲の「ベロ」と呼ばれる部分とベルトがベルクロ留めできるようになっています](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/dk/expert-image/pipi/article/00626078/internal_1699078962049.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
![ベルクロ留めしてからベロを開くと、こんなにガバッと開くんです!!](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/dk/expert-image/pipi/article/00626078/internal_1699079019956.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
まとめ
今回は介護する人・される人が脱ぎ履きしやすい靴についてお伝えしました。
介護用品と聞くと、どうしても機能面を重視してしまうことが多いのですが、毎日使うものなので、「履きやすいな」「歩きやすいな」に加えて「いい色だな」といったテンションの上がる要素を取り入れていただけると、いきいきと生活する活力になるのではないかなと思っています。
次回は「ソックスエイド」という福祉用品についてお伝えしようと思います。
少しでも理学療法士やリハビリテーションに興味を持っていただけたらうれしいです。