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女子W杯のグループステージをデータで総括 ラウンド16で日本が対戦するオランダの意外な特徴とは?

村上アシシプロサポーター・著述家・ビジネスコンサルタント
ラウンド16で日本対オランダが開催されるバンクーバーのBCプレイス

女子ワールドカップのベスト16が出揃った。各組のシード国が全て1位通過を果たし、グループステージは概ね順当な結果となった。

なでしこジャパンも内容は決して褒められたものではないが、3連勝で1位通過を決めた。ワールドカップ初出場の3カ国相手に、全て1点差での勝利というのは正直物足りないが、前回女王として最低限の結果を残したと言えよう。

決勝トーナメントの組み合わせは以下の通りとなった。国名の後の括弧内は最新のFIFAランキングを示している。

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前回のコラムでも述べたが、日本は組み合わせに恵まれた。FIFAランキング1位のドイツ、2位のアメリカ、3位のフランスが全て、トーナメントの反対側の山に行ったことで、FIFAランキングにおける格上とは決勝戦まで当たらない形となった(日本はFIFAランキング4位)。

加えて、1位通過したことで決勝トーナメントの4試合をバンクーバーとエドモントンのカナダ西地区の2都市のみで戦えるようになったことも好材料だ。既にグループステージの2試合を戦っているバンクーバーは、気候も穏やかで過ごしやすく、現地在住の日本人も多く観戦に来るので、ある意味ホームのような雰囲気で戦うことができるだろう。

ここで、FIFAの公式サイトが出している各試合のスタッツを集計して、16カ国のグループステージ3試合の戦いぶりを総括する。

グループステージ3試合平均のポゼッション率はブラジルが1位 シュート数はドイツが1位

まずは3試合平均のポゼッション率のデータを見てみよう。

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日本と同じく、無傷の3連勝を飾ったブラジルがポゼッション率平均61.3%で、16カ国中最も高い数値となった。日本は5位で、ラウンド16で対戦するオランダは13位という結果だ。

対戦相手のレベルや90分間の試合展開によってポゼッション率の傾向は変わるので一概には言えないが、それぞれの国がボールを支配して進めるチームなのか、相手に主導権を握らせてカウンター狙いのチームなのかを大まかに把握できるだろう。

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続いてシュート数のデータでは、ドイツが1試合平均30.7本という驚異の数字を叩き出し、枠内シュート数も含めて堂々の1位となった。タイやコートジボワールの格下国相手に稼いだ部分もあるが、FIFAランキング11位のノルウェー相手にも27本のシュートを打っており、3試合を通して圧倒的に攻め立てた格好だ。

日本はシュート数平均が16カ国中9位、枠内シュート数平均が16カ国中12位とやや低調な数値となったが、それでも3試合ともに勝ち切るあたり、前回女王の風格が漂う。オランダはシュート数、枠内シュート数ともに16カ国中14位で、下位に沈んでいる。

日本とラウンド16で対戦するオランダの意外な特徴とは?

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最後に打たれたシュート数と枠内シュート数を見てみよう。日本とラウンド16で戦うオランダがどちらの数値においても、16カ国中最もシュートを打たれているという意外な特徴が導き出された。

オランダはFIFAランキング12位、決勝トーナメントに進出した16カ国の中でも10番手に位置する中堅国で、グループステージも1勝1分け1敗で勝ち点4を獲得し、失点も2点のみというチームだが、データで見ると対戦相手にフィニッシュまで持ち込まれる機会が最も多い国、という結果になった。日本がラウンド16に挑む上でひとつの目安としたい。

このオランダと対戦するラウンド16は、日本時間で6月24日(水)午前11時キックオフだ。筆者は初戦からカナダ入りしているが(ほぼ毎日現地レポートをしているブログはこちら)、当然ラウンド16もスタジアムのゴール裏から声を枯らして応援するつもりだ。

プロサポーター・著述家・ビジネスコンサルタント

1977年札幌生まれ。2000年アクセンチュア入社。2006年に退社し、ビジネスコンサルタントとして独立して以降、「半年仕事・半年旅人」という独自のライフスタイルを継続。2019年にパパデビューし、「半年仕事・半年育児」のライフスタイルにシフト。南アW杯では出場32カ国を歴訪する「世界一蹴の旅」を完遂し、同名の書籍を出版。2017年にはビジネス書「半年だけ働く。」を上梓。Jリーグでは北海道コンサドーレ札幌のサポーター兼個人スポンサー。2016年以降、サポーターに対するサポート活動で生計を立てているため、「プロサポーター」を自称。カタール現地観戦コミュニティ主宰(詳細は公式サイトURLで)。

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