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イ・ボミもマスクなしで会見!?韓国女子ツアーは入場制限せずにギャラリー3万人超え。日本の対応は…

金明昱スポーツライター
試合後にマスクなしで囲み取材するイ・ボミ(写真・sports W キャプチャー)

 先週行われた韓国女子プロゴルフ(KLPGA)ツアー「NH投資証券レディースチャンピオンシップ」の映像とニュースを見ていて、驚いたことがあった。

 一つは、ギャラリーの多さだ。5月13日から15日までの3日間で3万4100人が会場に訪れ、熱戦を見守った。

 最終日に2万386人も入ったのは、昨季賞金女王のパク・ミンジと韓国ナショナルチームのアマチュア選手(ファン・ユミン)の優勝争いに注目が集まっていたのもあるが、会場がソウル近郊の京畿道・水原(キョンギド・スウォン)にあり、交通の便が良いことも要因だろう。

 また晴天にも恵まれるなど、様々な条件が重なり、同大会の最多観客数を更新したという。

 今季の韓国女子ツアーは、開幕2戦目(4月14日~)からギャラリーを入れることが決められ、入場制限をなくした。

 これにはさすがに驚いた。というのも、コロナ禍の2年間はすべての試合が無観客で行われていたにもかかわらず、今年に入ってギャラリーを“制限しない”と決めたからだ。

 するとどうなったか――。日本と同じく女子ゴルフ人気の韓国では、一気にギャラリーが押し寄せた。

・4月14~17日「メディヒル・韓国日報チャンピオンシップ」:3700人

・4月21~24日「ネクセン・セイントナインマスターズ」:2万2278人

・4月28日~5月1日「クリスF&C KLPGAチャンピオンシップ」:1万5300人

・5月6~8日「キョチョンハニーレディースオープン」:1万1537人

・5月13~15日「NH投資証券レディースチャンピオンシップ」:3万4100人

 制限撤廃後の最初の大会となった「メディヒル・韓国日報チャンピオンシップ」は、郊外のゴルフ場ということもありギャラリーが少なかったが、その後は一気に膨れ上がっている。

 ちなみに韓国では、5月2日からは屋外でのマスク着用義務が解除されている。選手を追う大勢のギャラリーの映像と写真を見ると、ほとんどの人がマスクをしていて、すぐにマスクを外せない心理が見え隠れする。

今季の韓国女子ツアーはギャラリーの入場制限はしていない(写真・KLPGA)
今季の韓国女子ツアーはギャラリーの入場制限はしていない(写真・KLPGA)

韓国選手はマスクなしでメディア対応

 もう一つ、驚いたのは選手たちのメディア対応だ。

 先週の大会にはイ・ボミが出場していたのだが、韓国メディアとの共同会見の映像では、マスクを外してインタビュー対応をしていた。

 また、その日のトーナメントリーダーは、必ずプレスルームに呼ばれ、記者会見を行うが、選手たちはマスクをせずに笑顔で会見していた。

 選手たちもその方が楽なようで、韓国では取材活動にも日常が少しずつ戻ってきている様子が伝わってくる。では、日本はどうか。

 日本女子ツアーでは、今もメディア取材には制限がある。選手との取材はほぼリモートで、もちろんマスクは必須だ。

 また、昨年から少しずつギャラリーを入れているが、今年も一日の入場者数は基本的に5000人に制限されている。

 今季のワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップでは一日上限を8000人としていたが、すでに入場制限をなくしたJリーグやプロ野球に比べて、女子ゴルフは慎重な姿勢を崩していない。

試合後の会見で笑顔を見せる韓国選手のソン・ガウン。もちろんマスクなしだ(写真・KLPGA)
試合後の会見で笑顔を見せる韓国選手のソン・ガウン。もちろんマスクなしだ(写真・KLPGA)

 選手やトーナメントに携わるスタッフ、ギャラリーへの感染拡大防止の配慮もあるが、屋外でマスクをつけながらのプレーを観戦するならば、入場制限する必要はないようにも感じる。

 もっとも、今季の日本女子ツアーの入場者数を見ても、チケットの売上が一日の上限に達した大会はなく、客離れの雰囲気さえ漂う。

 人は環境に慣れるもので、入場制限がかかったままなら、客足も遠ざかるのではないだろうか。もしかするとこれまで足を運んできた人たちの中には、ネットのライブ中継やテレビ観戦の良さを知り、現場に行かなくなった人もいるかもしれない。

 いずれにしても、女子プロゴルフ界もそろそろ入場制限をなくしてもいい時期に来ていると感じるのだが、果たして――。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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