#オフサイド AI判定 がサッカーをつまらなくする。カタールW杯で消えた幻の初ゴール
KNNポール神田です。
サッカーW杯はフランス大会(1998)、日韓大会(2002)、ドイツ大会(2006)、南アフリカ大会(2010)を現地のライブストリーミングで担当してきたが、ブラジル大会(2014)、ロシア大会(2018)は移動距離の大変さで脱落した…。ITの進化とW杯を四半世紀にかけて追いかけてきた…。
今回のカタール大会(2022)は、ABEMA が無料生中継の全64試合の放映権利を獲得し全試合をネットでも視聴できるようになった。
ABEMA FIFA WorldCupチャンネル
https://abema.tv/video/genre/fifaworldcup
さらに、『4画面』という『画面編成』をリアルタイムで楽しめるようになった。
これもすべて、サイバーエージェントの『ウマ娘』の2021年のヒットのおかげだと思う…。
ABEMAのFIFA効果に期待がかかる。
■高額になった『放映権』は200億円超え…
開催費全体でも31兆円と高額に、過去最高のブラジル大会(2014)の2.1兆円の15倍の規模となる。
■幻のエクアドル開幕戦のW杯初ゴール!
2022年11月20日SUN 開会式直後のホストのカタールVSエクアドルの初戦が開始となった。
カタール vs エクアドル 試合ハイライト|グループA
https://abema.tv/video/episode/16-76_s10_p90
前提として、テレビでも、ABEMAでも、FIFAから提供されている公式映像のみを放送し解説している。カタールの現場でも、スタジアムからの視点は一方向なので、判定はピッチにいるレフリーのみが判断を委ねるしかない。
特に、オフサイドのラインはテレビで視聴していても角度があると、非常にわかりにくい…。ピッチの真横でないとわからないからだ。
ゲーム開始後、3分経過、その時間が訪れる。
FKを獲得したエクアドルがゴール前へ送ったキックは、エクアドルのエストラーダ選手のヘッドが当てた…。そして、誰もが、その後の連携による初ゴールに湧いた。しかし、その後、
『半自動オフサイド技術(セミ・オートメーテッド・オフサイド・テクノロジー(SAOT))』によって、判定は『オフサイド』となった。幻となったエクアドルのW杯初ゴールだった。
テレビの解説者も、いったい何が起こったのかがわからなかった…。ゲーム開始後3分のオフサイドが、5分経過した時にVTRで流された…。
3Dのアニメーションで再現…。ヘディングする前のエクアドルのエストラーダ選手の右足がわずかに飛び出ていた。
FKで群がる両チームの選手。通常の人間であればヘディングする選手の頭には注目すれど、足元には目が行き届かないはずだ。さらに、カタールのゴールキーパーが飛び出しているので、オフサイドラインがどこかの判断が本当にむずかしいはずだ。
ABEMAでの4画面でも監督の表情を読みとれるが、両監督ともにゴールのシーンでも冷静。また、判定結果でも冷静だった。
しかしだ…。もしも、この厳格な『半自動オフサイド技術(SAOT)』で、オフサイドを判定しはじめると、ほとんどのゲームで、『オフサイド』シーンが大量生産されてしまうことだろう。
そう、フォワードもディフェンダーも、何十年ものサッカー歴の中で、感覚的にかつ直感で『オフサイドライン』を意識してトレーニングしてきているからだ。つまり、『半自動オフサイド技術(SAOT)』の反応する『オフサイドライン』を意識できる選手は稀有な存在だ。2022年のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)でも採用されている。
そして、選手がこの『半自動オフサイド技術(SAOT)』のラインを感覚的に理解できるには練習の際から導入してトレーニングしない限りわからないはずだ。
テクノロジーによってより、精緻にデータを把握できるが、人間の感覚では、とうてい理解できないような計測データは、果たしてスポーツのような場面でも必要だろうか?
どうみても、オフサイドには見えなかった幻のゴールシーンは、今大会を機に増えることだろう。サッカー史の中で、目視によっておこなわれてきたオフサイドが、人間の感じるラインとの『差』を明確にだしはじめると…サッカーの点数の機会はさらに減ることだろう。
サッカーは結果を楽しむだけではなく、どう人間が連携して、鉄壁をこじ開けて、得点を得ることを楽しむスポーツだ。
主審はイタリアのオルサート。VARはイッラティ。
キックオフのカウントダウンも、654…で、あれれ…キックオフ開始。
321の興奮のスタジアムは拍子抜けだ。さぁ…番狂わせも含めて、波乱万丈のトーナメントが始まった。何よりも、寝不足の時間が少なくなる今大会は、テレビとABEMAの2つを比較しながら見る余裕さえ生まれた。
テニスのラインを見極めるVARは、たくさんの得点のうちのひとつで、肉眼との差を埋めてくれるものだ。
しかし、サッカーの場合のオフサイドのVARは誰もが経験していない厳しい判定となる。少なくともオフサイドが甘くなることはない。確実にオフサイドはアラートが鳴る。
目視で当然、オフサイドとは思えないシーンがオフサイドで中断されるというシーンが続けば…サッカーをつまらなくするのは明確だ。