食費が削られていくなか、伸びるインスタントスープ そこから見える外食・中食
食費が削られていくなか、スープの消費額がアップ
インスタントスープが好調である。
2014年は前年比より102%の伸びを示し、774億円となった(富士経済2015年)。
これは2011年の震災を機に家庭で常備されるようになったと言われ、11年から毎年2桁の成長となっており、2011年から2015年には5倍である。とはいえ、2000年から2010年つまり震災前からの10年をみてみると、以前から家庭における支出額は増えている。
2000年に2077円だったのが、2010年には2403円でもわかる。最近のスープの商品力は高く、目を見張るものがあり、あさりの味噌汁などは1カップに入っているあさりの数を数え、驚いたものだ。そしてフリーズドライなどもお湯を注ぐとふわっと具材が広がり、口に含むと違和感がない。今では日常食としてインスタントスープが一般化されていることがうなづける。
最近の惣菜売り場を見てもわかるように、チルドケースの上段に様々なフリーズドライの商品がカテゴリー別に陳列され、その多さからも普段使いとして定着していることが伺える。それもあってか、手作り味噌汁は減少し、これら簡易なものに移行し、15年度の生産量は1億9927万食。前年比と比較すると17.4%増となっている(日本凍結乾燥食品工業会調べによる)。
ようやく動きだした中食でのスープ
では中食でのスープの立ち位置はどうだろう。
ロスを考えてか、売り場を見ると積極的ではない。特に夏場は、コンビニ、スーパー、いずれの売り場にも冷蔵ケースに並んでいないのである。今年の猛暑を考えると「夏場、冷蔵ケースにスープが並んでいると買うのになあ」と個人的に思ったものだ。スープは咀嚼能力が低下する高齢者にとって、栄養補給として力強い味方にも成り得る。その一方で売り手サイドでいうと、脇役的な存在であるスープに力を入れてもロスを考えると、どうしてもインスタントスープに頼ってしまっているのが多い。とはいえ、ようやく夏場でも売り場に並んでいるところもあり、中には「これは本格的」と思えるビスクなども見受けられるようになった。
外食では・・・
さて外食は・・・と考えてみると、スープ、つまり汁物の専門店でチェーンで関東から九州まで知名度も高く、店舗数が多いのは「Soup Stock Yokyo」
初出店のときより、じわじわと進化し、和と洋をうまく融合させ、「ちょっとした工夫でこのうまさ」というか、ごはんにも胡麻を混ぜることでコクが出し、和洋中、どのスープにもマッチし、違和感がない。
この他
チャウダーズ
北海道から九州沖縄まで網羅しているのが、ベリーベリースープ
多くの場合、洋のスープのお店が多い。
スープを食する時間というのは、夕食が圧倒的に多く、外食が低迷している時間帯というのはご存じディナーであり、スープをより深く追求すると再びディナーに光があたるかもしれない。
おいしさ 塩分濃度も関係する
最後にスープのおいしさとは・・・
人間が美味しいと感じる塩分濃度は、血液中の塩分濃度0・9%に近いと言われる。
以前、吉野家を筆頭にコンビニも含め、豚汁の塩分濃度を片っ端から測ったことがあった。
各豚汁を塩分計で測ると驚くことに、各社、極めて近い数値となり、唸ったものだ。
つまり各社、この前後となっていたのだ。
ということで、各社、試行錯誤でスープに挑んでいるようで、今後、まだまだ市場はあると思う。