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NY原油9日:米原油在庫の減少観測を受けて、期近主導で大幅続伸

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油7月限 前日比2.00ドル高

始値 58.31ドル

高値 60.38ドル

安値 58.23ドル

終値 60.14ドル

米原油在庫の減少観測を手掛かりに、期近主導で急反発した。

前日は石油輸出国機構(OPEC)総会を受けてOPECの大量供給に対する警戒感が強まる中、売り優勢の展開になった。国際原油需給の緩和リスクが改めて強く警戒された結果である。ただ、本日は10日に発表される米原油在庫の減少観測が警戒され、期近主導で上昇した。原油在庫の市場予測は前週比-150万バレルとなっており、米国内在庫の取り崩し傾向が続くとの見方が、改めて原油価格の下値をサポートしている。

この時期の米原油在庫は減少トレンドを形成するのが例年のパターンである。ドライブシーズン入りで製油所向け原油需要が拡大することで、夏に向けて在庫の取り崩しが進み易くなる。今年もこの季節トレンドに沿った動きが観測されているが、今週の統計でも改めて原油在庫の取り崩しが進むとの見方が、下値サポート要因に。ただ、米国内の需給緩和状態が大きく修正を迫られるような状況にはなく、このまま上昇トレンドの形成につながるのかは疑問視している。

最近は、「国際需給の緩和見通し」で売られ、「米国内の在庫取り崩し観測」で買われる、不安定な値動きが続いている。ドル相場が方向性を欠いていることも、原油相場に対する戻り売り圧力を一服させている。もっとも、ドル高回帰、国際需給緩和の流れには変化がないと考えており、60ドル水準は売り場との評価を維持している。ドル反落リスクには注意が必要だが、このままドルが急落前の高値水準を回復すれば、50ドル台割れを試すことも十分に可能な相場環境と評価している。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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