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【アイスホッケー】 昨夜の試合で飛び出した究極のゴール! 「スティックの裏側」と「顔面シュート」!!

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
アイスホッケーのゴールシーン(Courtesy:@olympicchannel)

 アイスホッケーの魅力は、何と言っても、鍛え抜いた肉体をぶつけ合う激しいボディコンタクト!

 その激しさから、日本では「氷上の格闘技」とも呼ばれています。

 しかし、ファンを最も沸かすのは、やはり得点の瞬間。

 世界各国のトッププレーヤーが集うNHL(ナショナルホッケーリーグ/北米の31チームが加盟)と、「KHL(コンチネンタルホッケーリーグ/ヨーロッパと中国の7か国から25チームが加盟)という二大リーグで、くしくも昨夜(現地時間)は「究極のゴール」と呼ぶべき得点シーンが見られました !!

▼NHLの試合で飛び出した究極のゴール

 まずNHLの試合から筆者が選んだ「究極のゴール」は、ピッツバーグ ペンギンズのシドニー・クロスビー(FW・31才/白#87)が見せた ↓ こちらのシュート。

 強力なシュートが武器のアレックス・オベチキン(ワシントン キャピタルズFW・33才)と並んで、10年以上にわたり「NHLのビッグ2」と並び称されてきたクロスビーは、オベチキンと異なり卓越したスキルが最大の魅力です。

▼スティックの裏側でシュート

 ご覧いただいたシーンは、ゴールラインに近い角度のないところから、スティックの裏側を使ったシュートでした。

 このゴールのポイントは、「バックハンドシュート」であったこと!

 アイスホッケーのスティックは、シャフト(軸)の端にあるグリップの下を握り、反対側のブレードと呼ばれる部分を氷面に置いて(パックが浮くこともあるので、状況によっては近づけて)プレーしますが、ブレードは真っ直ぐではなく、先端が少しカーブしています。 

アイスホッケーのスティックは先端部分のブレードがカーブしている(Courtesy:@Lumber_Jack_Joe)
アイスホッケーのスティックは先端部分のブレードがカーブしている(Courtesy:@Lumber_Jack_Joe)

 これはカーブしている部分でパックをコントロールしながら、パスやシュートをすることができるようにしているためです(カーブの幅には規定があります)。

 しかし、クロスビーのシュートは、彼が使っているレフトハンド(先端のカーブが上から見ると右側に向かっている=左利き用のゴルフクラブをイメージしてください)のスティックでは裏側となる「バックハンド」を使ったゴール。

 ゴルフに例えれば、利き腕と逆のクラブでプレーをしながら好スコアを出したようなものと、言えるでしょう。

▼KHLの試合で飛び出した究極のゴール

 一方のKHLでも、昨夜の試合で「究極のゴール」が見られました。

 サラバト ユーレェイフの ティム・ハーティカイネン(FW・28才/緑#70)の得点シーンです。

 ハーティカイネンは、NHL(エドモントン オイラーズ)でもプレーをしていましたが、レギュラーポジションを手中にできず、ヨーロッパへ戻り、サラバトと契約してから6季目を迎えました。

 フィンランド出身だけに、華麗なパスワークを武器にしているかと思いきや、身長186センチ体重103キロというサイズを武器に、プレースタイルはヨーロッパに戻り、KHLを戦いの場に戻してからも変わりはなく、こんな ↓ プレーで得点をもたらせました。

▼顔面でシュート!!

 このゴールのポイントは、一目瞭然で「顔面シュート」!!

 もちろん、ハーティカイネンも「顔面シュート」を狙っていたわけではなく、相手GKを守りづらくさせるために、ゴール前でのスクリーン(GKの視野を妨げようとするプレー)を仕掛けていたのです。

 アイスホッケーの試合では、顔に限らず手にはめているグローブや、装着している防具などに当たったパックが、ゴールに入るシーンを時として見かけます。

 このような際、手に当たったパックをゴールへ向けて叩くような「故意の動作」がレフェリーによって認められなければ、得点となります。

▼「オウンゴール」

 さらに加えて、アイスホッケーでは通常の得点とは異なり、「オウンゴール」によって得点が与えられるシーンも見られます。

 オウンゴールが発生した際、NHLに限らずアイスホッケーの公式戦では、「オウンゴールによって得点が加わったチームの中で、最後にパックに触った選手(上記の動画では白#59)」に得点が記録されます。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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