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【河内長野市】初詣や七五三でなくても見どころがいっぱい。加賀田神社の祭神や歴史をご紹介します。

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野に限った話ではありませんが、郷土の歴史を知るというのはとても大事なことだと思います。例えば郷土にある神社も正月の初詣や七五三のような定番の行事以外にもその歴史や由来を調べて理解した上で参拝するだけでもとても勉強になりますね。

先日も図書館で加賀田地区の民話という本を読んでいました。

古くから住んでいる方の話を集めたものですが、資料に目を通していると、やはりその場所に散策したいと思いますね。同じ市内なのでその気になればすぐに行けます。

そんな中、加賀田公民館でとても気になる歴史講座がありました。地元の加賀田神社を取り上げた内容ですが、半分の時間を座学、残りは実際に神社に見学に行くという内容のものです。

当日加賀田公民館に行きました。最初に座学ということで会議室の中に入ります。

満席に近いほどの人が集まって、みんなで座学を受講します。

こちらが当日の資料です。画像の絵は1599年の加賀田神社の境内です。折り曲げた状態で主に江戸時代から明治にかけての加賀田神社に関する情報が入っています。

加賀田公民館の館長さんによる挨拶です。

座学では、主に昔の記録を読みながらの内容です。講師は河内長野市図書館の鎌田和栄先生です。

ここまでなら、よくある「歴史講座」というだけで、知識としては勉強になりますね。しかしこの講座はここからが違います。

後半は実際に加賀田神社に行って実際の様子を見学しに行きます。

神社にいく途中も、古い加賀田小学校の話など、いろいろな話をしながら歩きます。

中には神社とは無関係ですが、古い建物の話が聞けるなど、座学にはない良さがあります。

神社の鳥居が見えてきました。目の前の鳥居は新しいですね。しかし鳥居の右側の柱に古びた柱のようなものが見えます。

こちらに年号が書いてあります。今の鳥居は新しく作り替えたものですが、このように江戸天保年間の鳥居だった柱が残っています。神社参拝だけなら特に気にせず気づかないようなことも、座学である程度学んだからこそ気付くものですね。

このような資料が配られています。狛犬や石灯篭などがいつごろのものなのか、一目でわかる表です。これを見ると、いつの時代のものなのかがわかります。

中央参道沿いにある狛犬です。ちなみにこちらの狛犬は明治19年1月とのこと。

これは狛犬の後ろ姿です。

参道沿いにある鳥居です。ここにもうっすらと年号が書いてありますが、わかりにくいです。資料だと貞享 (じょうきょう)3年長月と書いてあります。長月は旧暦の9月で、西暦に換算すると1688年10月ごろとなります。

ここに馬の額がありますね。加賀田神社に来ても今までこの意味がよくわからなかったのですが、この日の資料の中に明治時代に加賀田神社が村社となり、その上位の神社である郷社が小山田村の清崎神社と書いてあったのです。

今年小雨の中行なわれた馬かけ神事
今年小雨の中行なわれた馬かけ神事

清崎神社とはいまの小山田住吉神社なので、馬の絵が連想できました。思わず今年4年ぶりに行われた馬かけ神事を思い出しました。

江戸時代までの加賀田神社には、このあたりに薬師堂があったそうです。

薬師堂など仏教色の強いものは、明治の神仏分離令でなくなったようです。

石灯籠が並んでいますが、これらにもひとつひとつ年代が表に記されています。普段なら拝殿に向かってまっすぐに歩くのに、資料ひとつで見る目が変わりますね。

ようやく拝殿の下に着きました。

拝殿に上がると絵馬が飾られています。

絵馬については画像のように資料が貼り付けたあったので、いつでもどのようなものかわかりますね。

こちらは明治15年に氏子から奉納されてから、行方がわからなくなっていた楠木正成の絵馬。2016年ごろ、本殿修復工事の時に発見されました。さらに2018年に、クラウドファンディングを使って復元されたそうです。

拝殿を潜り抜けるといよいよ本殿が見えてきました。

社務所は普段は閉まっています。

元日の加賀田神社
元日の加賀田神社

但しお正月の時は、初詣客に対して接待が行われていました。

お正月よりは地味な普段の加賀田神社ですが、2016年に本殿装飾絵画修復工事完成したこともあり、他の神社よりも色合いが綺麗です。

加賀田神社の公式ページ(外部リンク)で確認すると、本殿に祀られている祭神は誉田別命(ほんだわけのみこと)、足仲彦命(たらしなかつひこのみこと)、息長足姫命(おきながたらしひめのみこと)、素盞嗚命(すさのおのみこと)の4柱とのこと。

本殿は、1981(昭和56)年3月31日に河内長野市指定文化財に指定されました。創建は不詳とのことですが、1480(文明11)年に社殿を再建との記録があるので、少なくとも543年以上の歴史があるそうです。

見上げると龍が見えますね。

こちらは猫のように見えますが、恐らく虎だと思われます。

さて、復元された楠木正成絵馬を複製したものを神戸の湊川神社に奉納したことがきっかけで、御霊が分霊され、楠公神社が加賀田神社の境内社として祀られています。

ということで、加賀田神社を公民館のセミナーの一環として見学しました。加賀田神社はいつもお正月の初詣に行き、ある程度どういうものか調べはしていましたが、やはり専門家の講師の話を座学で聞いたうえで、配布資料と共に見学すると、全く知らなかったことが見えました。

公民館のセミナーは無料や格安で参加できるものが多いので、郷土の歴史を少しでも学びたいと思えば参加してみてはいかがでしょう。ひとりで見に行くよりも、より知識が身につくし、とてもおもしろいと思いました。

先日届いた広報かわちながの11月号では多くの公民館で明日3日からセミナーの申し込みが始まるようです。中には歴史講座や歴史ウォークもあるようなので、お時間が許せば参加してみてはいかがでしょう。

加賀田神社
住所:大阪府河内長野市加賀田135
アクセス:南海三日市町駅から徒歩20分

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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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