【富田林市】川面の歴史が屋号!喜志駅近くで週3回営業、舌触り滑らかな絶品生プリンのぷりん工房剣先船
おやつや食後などで味わうスイーツのひとつ「プリン」は昔から誰もが好きなスイーツですね。喫茶店・カフェで食べられるだけでなく、スーパー、コンビニでも気軽に手に入ります。実は、喜志駅の近くで、週2回(11月からは週3回)生プリンの販売を行っている情報を得ました。
喜志で販売している生プリンは、駅近くのお店での間借り営業がメインとのことですが、訪問時は夕方だったので、ちょうど駅前のタバコ屋さん「Tobacco Shop TOKI」の前にテントを張って営業していました。後で知りましたが、夕方16:30〜20:00(火・金)まで営業するとのこと。
名前は「ぷりん工房」剣先船さんです。
剣先船さんの店主は、池内諒さんです。ひとりで生プリンの製造から販売まで行っています。
生プリンと普通のプリンとの違いについても、詳しい解説があります。大きな違いは蒸し器、オーブンを使った加熱で固める普通のプリンに対して、生プリンは冷蔵庫で冷やして固めるそうです。生プリンはとろけるような滑らかな食感、濃厚な味わいが楽しめるとのこと。
どのようなメニューがあるのか見てみましょう。ほうじ茶プリン(380円)は、京都・西川製茶場が独自の焙煎技術により芳醇な香りがする「ほうじ茶葉」と奄美諸島産サトウキビ原料100%「素焚糖」を使用したとのこと。
こちらは抹茶ぷりん(400円)です。国産茶葉で人気の「かおりちゃん」の宇治抹茶を使って、さわやかな旨味を楽しめる滑らかプリン。そしてこちらも奄美諸島のサトウキビ100%「素焚糖」を使用しています。
さっそく両方を購入して味わってみることにしました。
抹茶の方です。上にホイップが乗っているのがお得感がありますね。肝心の味わいですが、「抹茶」のほろ苦さと言うべき苦みが強力に口の中に広がりながらも、後からジワリとくる甘味が調和し、旨味が湧き出てきます。滑らかな舌触りも普段食べるプリンとは別物だと感じました。
ほうじ茶の方です。抹茶のような強力な苦みはありませんが、わずかながらのほろ苦さっぽくは感じました。やはり「お茶」が強く意識されます。下の滑らかさや後からジワリと来る甘味などは抹茶と同じで、どちらもおいしくいただきました。見た目以上にボリュームがあったのも特筆ものです。
とてもおいしかったので、ぷりん工房剣先船さんを紹介することになったのですが、それ以上にいくつかの疑問が湧きました。池内さんの情報を調べると、池内さんはもともとうどん屋を志していたということ。さらに生プリンという「洋菓子」を扱っているのに、「剣先船」と「和」や「イカ」を連想してしまう屋号がとても気になりました。
そこで池内さんに後日インタビューを申し込み、お店の間借りとして生プリンを提供しているという、「お食事処・酒処まんま」さんにお邪魔しました。
まんまさんは、池内さんのお母さんが経営している居酒屋さんです。お店は夕方から営業しているので、昼間11:00~15:00(火・金・土)は、間借りで店で営業しているとのこと。
剣先船さんとは直接関係ありませんが、まんまさんのメニューはこちらです。夕方17:00~22:00間での営業で、日曜日と祝日が定休日とのこと。駅近くなので、仕事が終わってから飲むのには最適ですね。
「まずはお茶でも」と池内さんは丁寧な手つきでお茶を淹れてくださいました。
こちらです。生プリンにはお茶を使ったものが多いためか、とても風味の良いお茶でした。さっぱりしつつ後味がすっきりしているのがとても良かったです。
お茶をいただきながら、お話を伺いました。池内さんは、意外なことにもともとは小学校の教師でした。最初から教師を志したわけではなく、大学の学部の関係で教育実習で小学校に行ったとき、教師になることを決めたとのこと。
こうして小学校の教師になった池内さんでしたが、実際に教師をしながら少しずつ「ここが自分の場所ではない」と感じるようになったとのこと。「定年まで勤めるのは違う」と思ったそうです。
楽しいことや辛いこと、いろいろありましたが、教師の仕事を10年で辞めた後、料理人を志します。料理人と言っても具体的にはうどん屋さん目指そうと考えました。池内さんによると、幼いころから料理を作るのが好きで、大人になってからお母さんの居酒屋(まんまさん)のメニューを参考に、いろいろなジャンルの主にお酒に合う料理を自分で再現して作ったそうです。
そんな池内さんは、上記にも書きましたが、当初はうどん職人を目指しました。理由は池内さんがうどん好きだからです。〆のラーメンならぬ〆のうどんが好きなのだそうです。さらに興味深いことを。「うどんが好きなことに加えて、熱が出た時、例え食欲がなくてもうどんなら食べられると思ったからうどん職人をやろう」と考えたとのこと。
池内さんはうどんについて、4、5年位前から主に大阪のうどん店に食べ歩きながら独学でうどん作りを学びました。実際にうどんを打ってみたり出汁をとってみたりしたのです。
やがて池内さんは、食べ歩いた店の中から素晴らしいと思った名店に、頭を下げて修業をさせていただくことにしました。最初の店は、ミシュラン掲載もあった上本町の饂飩工房うばらさん(外部リンク)。何回も食べに通って、顔を覚えてもらえた時お願いしたのです。
最初はうどんのトッピングを中心に作業をしていましたが、修行に入って1週間ほどでようやく「うどん打ちをやってみるか?」と声がかかり、うどんを打たせてもらいます。うどんを打つことはとても難しい作業でしたが、苦労の末、1ヶ月でうどん打ちをマスターしたといいます。
うばらの師匠からはうどん作り以外のことも教わったと池内さん。具体的には段取りよく作業することや掃除の仕方などです。そして最も大切なこととして「食べに来てくれるお客さんをがっかりさせないこと」を学びました。
さらに、池内さんは2軒目のお店として滋賀県長浜市にあるうどん馳走山石土平さん(外部リンク)でも修行をしました。すでにうばらさんの経験もあった池内さんは、3日目からうどんを打ち始めることになったとのこと。
長浜での滞在は、なんと車中泊をしながら修業を積んだといいます。
こうしてうどんの名店2軒でうどん作りを習った池内さんですが、いざ独立開業となるとうどん作りの設備などの問題が出てきて、すぐに開業を実現できませんでした。
結果的に、先に生プリンのお店を始めることになったのですが、その理由を伺うと、山石土平さんのデザートメニューに自家製なめらかプリンがあり、それも習ったことから。そこで「うどん店をするのが無理なら」と、先に生プリンの製造販売を行うことにしたのです。
店を始める前、自宅で作った生プリンを友達に食べてもらって反応を見たところ、高評価だったこともプリン店開業の背中を押しました。菓子製造許可など生プリン屋として営業するために必要な手続きを経たのち、「ぷりん工房 剣先船」として、まんまさんの間借りでスタートすることになったのです。
同店の生プリンのこだわりは次の通りです。
- 極力添加物を無くす(製造上やむを得ないものを除く)
- 防腐剤を使用しない(ただし、賞味期限は2・3日)
- 国産原料にこだわる
有名日本茶メーカー、宇治森徳さんと関係があるお友達がいるためもあって、プリンのフレーバーでお茶を使う機会が多いそうです。
砂糖についても奄美のサトウキビを原料としたものにこだわりました。そのほか池内さんは、現在は違いますが、卵についてもいつか富田林の卵を使えればと考えているそうです。
こうして池内さんは「うどん屋は当分保留」と決め、生プリンの開発に力を注ぎました。ちなみに池内さんはうどんとプリンの両立には否定的で、その理由は以下の通りです。
- プリンを求めるお客さんに失礼に当たる
- うどんと両立したらプリンの質が悪くなる恐れがある
つまり池内さんは、生プリンの店を盛り上げるために頑張って行こうと決めたわけですね。
実際に生プリンのお店として営業をスタートした池内さん、プリンへの反応は大好評。応援してくれる方も多いそうで、喜志駅前「Tobacco Shop TOKI」店頭でも販売することになりました。さらに池内さんは、実際に製菓の世界に入ってから初めて気づいたことがあるといいます。
それまで池内さんは「菓子店は買うだけの場所」だと思っていたのですが、そうではなく、その味が良ければ常連さんが増えるだけでなく、「店や自分を応援してくれる」ということに気づいたそうです。
そして、池内さんはこう語りました。
- 「お客さんへの感謝の気持ちを忘れない」
- 「美味しいと思って食べに来てくれる人をがっかりさせない」
これらは、うどんの修業時に学んだことですが、うどんも、プリンもお客さんの期待を裏切らず、感謝の気持ちを持つことについては共通なんだと、お話を伺いながら感じました。
さて、あとひとつ疑問があります。それは屋号の「剣先船」についてです。生プリンの店というより、どちらかと言えばうどん屋さんのほうが近そうな屋号のネーミングについて質問しました。すると池内さんは地元である川面(かわづら)の歴史が由来と説明してくれました。
江戸時代石川沿いにある喜志村(川面)をはじめ、旧大和川の亀の瀬(現、柏原市)から久宝寺川(長瀬川)を経由して大坂・京橋まで物資を運んでいた船を剣先船と言います。池内さんはかつて地元の物流事業で活躍した船の名前を屋号につけたのです。
加えて「物流・移動」という点に着目し、池内さん自身も各地を修行をしながら移動し、最終的に喜志で生プリンを製造・販売しているというニュアンスも含めているそうです。池内さんの地元愛に満ちた屋号だったわけで、この秋に行われた地元「川面町」の地車に参加したのは当然のこと。
「こちらは新発売のものなので」と、最後に池内さんから特別にご相伴に与らせていただきました。黄金なめらかさつまいもプリン(400円)です。
味わってみました。剣先船さんの生プリンの滑らかさはすでに理解していましたが、今回はさつま芋チップスと芋けんぴが載っています。サツマイモの食感とプリンの食感の違いを感じつつサツマイモの甘さが口の中に広がりました。やっぱり美味しいですね。
池内さんは食材をケチらず量も惜しまない生プリンをこれからも作り続けたいと締めくくりました。11月からは、これまでの火曜日、土曜日に加えて金曜日の営業もスタートしました。芸大生からも人気があるという剣先船さんの生プリン、これからも期待したいお店のひとつだと思いました。
ぷりん工房剣先船
住所:大阪府富田林市旭ヶ丘9-22 お食事処酒処まんま内
営業時間11:00~15:00
定休日:日・月・水・木(火・金・土のみ営業)
※火・金16:30~20:00は喜志駅前「Tobacco Shop TOKI」店頭にて販売
アクセス:近鉄喜志駅から徒歩3分
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