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NBA最強の鉄人誕生?! 42歳のビンス・カーターが前人未到の22年目シーズンに突入へ

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
ホークスと再契約したビンス・カーター選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【ESPNがカーターのホークス再契約を報道】

 ESPNが現地時間の5日、42歳のビンス・カーター選手が来シーズンに向けホークスと再契約したと報じた。

 1998年NBAドラフトでウォリアーズから全体5位指名を受け(直後にラプターズにトレード)、1998-99シーズンからNBAに在籍するカーター選手にとって、来シーズンは22年目のシーズンになる。これはNBA最長記録になるという。

 昨シーズンのカーター選手は自身にとって8チーム目となるホークスと契約。先発出場は9試合に留まったが、シーズンを通して75試合に出場し、1試合平均17.5分、7.4得点、2.6リバウンド、1.1アシストを記録するなど、貴重な控え選手として活躍していた。

 またカーター選手は4月の段階で、来シーズンも現役続行する意思を表明しており、今回の再契約はある意味既定路線といえるものだ。

【プリメーター選手での金字塔】

 カーター選手といえば、その全盛期は身長198センチながら人並み外れた跳躍力を誇り、豪快なダンクを決めるシューターとしてその名を轟かせた。彼のポジションは主に2番(SG)、3番(SF)であり、プリメーターで活躍してきた選手だ。

 ところが、これまでのNBA記録だった在籍21シーズンを記録してきた選手たちは、昨シーズン限りで現役引退したダーク・ノビツキー選手を含め、ケビン・ガーネット選手、ケビン・ウィリス選手、ロバート・パリッシュ選手──の4選手で、全員が4番(PF)もしくは5番(C)を任されてきたフロントコート選手ばかりだ。

 彼らは身長がある分、そのポジションの特徴から多少運動量が落ちても対応できる部分がある。だがカーター選手のポジションは、常に相当の運動量とスピードが求められるもの。その上で世界最強リーグでプレーし続け、22年目のシーズンを迎えられるということは、まさに脅威といっていいだろう。

【4つのディケードにまたがるのもNBA初】

 さらに前掲のESPNのツイートで解説しているのだが、もしカーター選手が来シーズンもシーズン途中で引退せずに2020年に入ってもプレーを続けることになれば、4つのディケード(「decade」。日本語で10年間)でプレーする最初のNBA選手になるという。

 これは非常に米国的な考え方ではあるが、つまり1990~99、2000~09、2010~19、2020~29──という異なる4つのディケードでNBAに在籍するということだ。

 これは単に長くNBAに在籍したというだけでなく、在籍していた時期も関わってくることなので、運もなければ達成できない大記録といえる。

 いずれにせよ、カーター選手がNBA史上最強の鉄人選手であることは疑いようのない事実であり、NBAファンはそんな彼のプレーを来シーズンも見られるのだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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