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ウクライナ軍のドローンに逃げ惑うロシア軍兵士「ドローン恐怖症」5つの症状とは

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

「ドローン恐怖症(Dronephobia)」

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。現在ウクライナ軍では小型でどこにでも手に入りそうな民生品ドローンに手榴弾や小型爆弾を搭載して、上空からロシア軍を見つけると手榴弾や小型爆弾を投下して攻撃を行っている。

そしてウクライナ軍の有志で結成されたドローン部隊エアロロズヴィドカ (Aerorozvidka)が上空のドローンから逃げ惑うロシア兵の様子を公開し「ドローン恐怖症(Dronephobia)」と紹介し、ドローン恐怖症の症状の様子を5つ紹介していた。

ウクライナ軍ドローン部隊によると

「ドローン恐怖症」の患者は、以下のような症状がみられる。

(1)ビックリして突然、飛び跳ねる

(2)静かだった状態から、パニックに陥る

(3)あらゆる方向に走り回る

(4)耳の中でブンブンという音や騒音が残る

(5)症状が悪化すると上空をよく見上げる

ウクライナ軍ではドローンによるロシア軍への攻撃シーンや爆弾投下シーンの動画や破壊した戦車などの残骸の写真も公開している。

攻撃ドローンは「Kamikaze drone(神風ドローン)」、「Suicide drone(自爆型ドローン)」、「Kamikaze strike(神風ストライク)」とも呼ばれており、標的を認識すると標的に突っ込んでいき、標的を爆破し殺傷力もある。日本人にとってはこのような攻撃型ドローンの名前に「神風」が使用されるのに嫌悪感を覚える人もいるだろうが「神風ドローン(Kamikaze Drone)」は欧米や中東では一般名詞としてメディアでも軍事企業でも一般的によく使われている。今回のウクライナ紛争で「神風ドローン」は一般名詞となり定着した。

ウクライナ語では「Дрони-камікадзе」(神風ドローン)と表記されるが、ウクライナ紛争を報じる地元のニュースで耳にしたり目にしたりしない日はないくらいだ。このような神風ドローンは戦車や基地、軍事施設などへの攻撃に使われることが多い。将校クラスが乗っている車などが神風ドローンの標的にされることはあっても、地上の兵士一人一人が直接標的にされることはあまりない。

爆弾を上空から落としたり、ドローンごと標的に突っ込んでいき爆破させる攻撃ドローンだけでなく、小型の民生品ドローンでも簡単に上空から攻撃ができる。手榴弾や小型の爆弾では戦車全体の破壊はできないが、部品の破壊もできる。

また手榴弾を上空から投下するので殺傷力もある。死に至らせなくともロシア兵の手足が吹っ飛んでしまうような大けがを負わせるほうが、そのような負傷兵の介護が必要となるため軍全体へのダメージは大きい。

ドローン迎撃のシステムや地対空ミサイルなどで破壊することも可能だが、この動画のように1人で周辺に何もないところにいる兵士にとってはドローンの迎撃はすぐに出来ない。このような状況で上空のドローンの攻撃の標的にされてしまったら、逃げ場もなく命を落とすリスクも高いので「ドローン恐怖症」の症状が発症してしまう。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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